レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

キャプテン翼

Media :Family Computer
Maker :Tecmo
種 別:SLG+RPG
発売日:1988年


 「キャプテン翼のゲームが出る!」
という話を聞いた時、おいらは虚しく半笑いであった。
これが恐らくあと3年早ければ、おいらも「ウソウソ!?マジマジ!?」など
と言いつつ発売日におもちゃ屋に駆け込んだことだろうが、このゲームが発売
された1988年、既においらは高校一年生になっていたし、キャプテン翼に対す
る情熱もかなり冷めていたからだ。

 その上、既にファミコンブームも後期に入っていたこの頃、おいらは「キャ
ラゲー」というものに夢を描くことは出来なくなっていた。
古くはキン肉マン・マッスルタッグマッチに胸をときめかせ、うる星やつら・
ラムのウェディングベルを妹から奪い、北斗の拳でも一生懸命あべしも集めた
がそれらは全て裏切られてきたのだ。

 中には面白いキャラゲーもあったが、全体からみればあくまでも少数派であ
ったし、大体キャプテン翼をゲームにしたらどんなものが出来上がるが、ちょ
っと考えるだけで充分に予想できた。

 システムはファミコンで任天堂が発売したスポーツのゲームのサッカーのよ
うなサイドビュー画面で、プレイヤーは「翼といわれれば翼かな・・・?まあ、
否定はしないけどさ・・・」という程度のグラフィックで描かれた「翼」くん
率いる南葛サッカー部を操り、単に色違いで描かれた若林や若島津、はたまた
日向小次郎などのチームと戦う面クリア型の平凡なサッカーゲームに違いない。

 そんなゲームに一円の金も払うことなく真っ直ぐに人生を生きていきたいも
のだ、と思っていたおいらは、ファミコンでキャプテン翼のゲームが出る、と
聞いても虚しく半笑いするしかなかったわけである。


 そんなわけで、おいらはこのゲームが発売されてもゲーム画面すらも見るこ
となく、主として「スーパー大戦略」だの、「不如帰」だのに興じていたのだ
が、この年の夏休みに、友人の家に遊びに行った際、このゲームを持っていた
友人に薦められてちょっとプレイしてみたおいらは斬新なゲームシステムに度
胆を抜かれることとなった。


 なんとこのゲーム、非アクションタイプのコマンド選択型なのだ。
ドリブルだけを簡易ゲーム画面上でリアルタイムに行うことを覗いてはパスも
シュートもコマンド選択式で、小学校時代胸をときめかせたキャラクター達の
必殺シュートすらも網羅していたのだ。

 チームキャラクター達にはレベルというものが設定されており、試合をする
ことでこのレベルが上がり、より強くなる、キャラクターにはそれぞれ「ガッ
ツ」と呼ばれる行動値もあり、この制限によって大量にガッツを消費する必殺
シュートの乱打には歯止めがかかっているなど、キャプテン翼という世界を表
現するにあたって非の打ち所がないシステムになっていたのだ。

「凄い・・・このゲームは凄い・・・」

 友人宅から帰った後も、おいらはうわごとのようにそういい続け、無意識の
ままその足で中古ショップでこのゲームを購入してしまった。


 自由自在にキャラクターを操り必殺シュートで得点する快感に加え、戦えば
戦うほど強くなるというRPG的な要素がドツボにハマり、それこそ遊び倒し
てしまったが、どういうわけかゲーム中盤に一ヶ所だけアドベンチャーパート
が入っており、このパートをうまくクリアしないと翼の名パートナーであると
ころの「岬くん」が登場しないのには参った。

 ゲーム本編に比べて、このパートだけは妙に難易度が高く、失敗すると岬君
が登場しないまま後半戦を戦わなければならないので、かなり苦労する為、こ
こだけはいい印象はないものの、後は本当に完璧なキャプ翼ゲームだった。


 余談だが、その後、PC-Engineで、「マニアックプロレス」などという泣く
子も黙りそうなプロレスゲームがハドソンから発売されたが、その作品でもこ
のシステムを踏襲していた。



AXL 2003

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