レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

「ファンタシースター2」

Madia :MEGA DRIVE
Maker :SEGA
種 別:2D_RPG
発売日:1990年


 セガが誇る名作RPG、ファンタシースターの続編。
とはいってもファンタシースターシリーズで名前が売れているのは、初代と、
Dreamcastになってから発売されたオンラインで、その間に発売されたものに関
してはあまり評判を聞かない。

 初代ファンタシースターはSEGA MARK3用のRPGとして発売され高い評価を得た。
当時気鋭の新ハードだったメガドライブ用のキラーソフトの一本としてセガが
投入してきたのが、このファンタシースター2である。

 今もその名残はあるが、当時は何といっても売れ筋はRPGだった。
そしておいらもRPGは好きである。
よくRPGの欠点として挙げられることのひとつに「無意味なレベル上げ」と
いうものがあり、最近は極力レベル上げを排除し、普通にゲームを進めればつ
まずくことなく最後まで進めるようなものが主流になってきている、勿論、こ
れはこれで素晴らしいことだとは思うのだが、実はおいらは「レベル上げ」と
いう「作業」もかなり好きなのだ。

 特にやることがない時に、例えていうなら、今から6時の「ちびまるこちゃ
ん」が始まる迄は、まるでやる事ないな、という日曜の昼下がり、おいらは好
きな音楽か、さもなくば稲川淳二のこわい話か、はたまた、三遊亭円生の円生
百席か、場合によっては、ビバリーヒルズ高校白書を延々6時間録画してある
ビデオテープを用意してゲームを始める。

 好きな音楽だか怪談だか落語だか、ケリー・テイラーだかを聞きながらひた
すらレベルを上げる。
これが意外と楽しくて仕方がないのだ。

 異常体質だと言われればそれ迄だが、オマエは果たして何の為にこの世に生
まれてきたのか?と問われたら、おいらは即座に「ぼーーーーっとする為に」
に答える。
とにかくおいらはぼーーーっとすることが好きなのだ。
しかし、一口にぼーーーっとする、といっても、街の真ん中でぼーーーっとし
ているわけにもいかず、例え部屋にいても、ただ、ぼーーーっとする、という
ことは意外と難しいことなのだ。

 部屋の真ん中に座って「さあ、ぼーーーっとするか」と思っても、人間とい
うのは、本質的に「ただ、ぼーーーっとする」ということを潔しとしない。
心のどこかで時間の無駄ではないか、と思ってしまうのだ。
本当の意味でぼーーーっとする為には、逆に申し訳程度に何かの単純作業を行
いながら、の方が「ぼーーーっ」の境地に容易に達することができるのだ。
例えば、梱包罪としてお菓子などについてくる、あの「プチプチ」、あれをひ
たすら潰していく、というのも「ぼーーーっ」の境地に至るには効果的な手段
である。

 しかし、あれもただ、潰していたのでは面白くない。
その点、RPGのレベル上げというのは取り合えずやっていれば、いつしかレ
ベルが上がる、「ぼーーーっ」としたことへの見返りが得られるのだ。
ただ、延々同じBGMを聞いているのは苦痛なので、あとは好きな音楽でもか
けていれば、果てしなくぼーーーっとすることが出来る。



 というようなわけで、おいらはベタベタのオーソドックスRPGも結構好き
なのだ。
よっぽどバランスが狂っているとか、ストーリーが死んでいるとかでない限り
文句をいわず黙々と遊んでしまう方である。


 しかし、このゲーム、つまりファンタシースター2は非常によくない。
徹底的によくない。
このゲームの欠点として、レベル上げが非常に辛い、つまり時間がかかる、と
いうことが挙げられるが、その点は、RPGを半ば時間を潰すツールだと認識
しているおいらからすれば、それほど気にならないし、ライバルだったPC-Eng
ineのRPG「邪聖剣ネクロマンサー」だって、その点は相当なものだった。


 では、どこがいけないのか?
それを説明する前に簡単にストーリーを説明しておくと、この2の舞台は1の
1000年後の世界。
舞台設定はSFで、どこか他の星を舞台とした、いわゆる未来世界のお話である。
マザーブレインによって統治されているその星に突如、バイオモンスターが発生
し、主人公は仲間と共にバイオモンスターと戦う・・・というのが導入部である。

 おいらは決してSFは好きではないのだが、だから嫌だ、というわけではな
い。問題はこのゲームのシステムで、普通のRPGと同じくこのゲームでもモン
スターにやられれば味方は死ぬ。
パーティが全滅すればゲームオーバーだが、全滅しなかった場合は、仲間を蘇生
することができる。
どのRPGでも取り入れているシステムだ。

 しかし、一旦死んだ人間がそうコロコロ生き返っていいものか?
このゲームは敢えてそういう疑問をぶつけてきた。
勿論、ウィザードリィだって、ラプラスの魔だって蘇生は簡単なものではないし、
場合によっては蘇生に失敗することもある。
だが、そういう方法は、システムそのものに大きな影響を与えてしまう。
そのことがゲームの敷居を高くしてしまい、それだけで既にドラクエタイプのラ
イトユーザー向けRPGではなくしてしまうのだ。
そこで・・・かどうかは分からないが、ファンタシースター2はシステムや難
易度に一切影響を与えることなく、この矛盾を解決するという手法を取った。

 それは、一度でも仲間が死亡すればもうその仲間は決して生き返ることはで
きないが、舞台が未来社会である為に、死んだ仲間をクローン人間として再生
することができる、というものなのだ。

 クローン人間といっても別に赤ちゃんになってしまうわけではなく、レベル
も武装も全て死ぬ前のままの姿で蘇る。
やっていることは、ドラクエ等と全く同じなのだが、その理由として「クロー
ン人間」という理由をつけたのだ。


 しかし、はっきりいって、おいらはこの点は非常に嫌だった。
だって、クローン人間て・・・感情移入できないじゃないですか?
どうせやってることは同じなわけだし、何故敢えてプレイヤーのやる気をそぐ
ような方向性を提示したのか、その意図が全くわからない。
これとよく似たゲームにスーパーファミコン用の「バトルロボット列伝」とい
う「スーパーロボット大戦」の亜流作品があるが、これも架空世界の戦争にガ
ンダムのアムロやシャアが参戦してくる・・・というストーリーだが、実は彼
らは本体ではなく、データをコピーしただけだった・・・という無茶苦茶な設
定があり、一気にやる気を削がれたが、「いわなきゃ分からない」ようなこと
をわざわざ言ってしまうあたり、ファンタシースター2と同じく「一言多い」
ゲームである。


 気にならない人にとってはどうでもいい事なのかもしれないが、とにかく、
おいらにとってはこの点がダメで、その上、このゲームのダンジョンは広すぎ
た。
別に、ダンジョンの規模が大きい、というわけではなく、縮尺そのものがデカ
過ぎるのだ。
例えば、普通のRPGのダンジョンでの一本道がキャラクター3人分程度の幅
だとするなら、このゲームでのそれは、大げさに言うと10人分くらいの幅が
とってあるのだ。
この大きさだと、普通クラスの構造のダンジョンであっても、一回りするのに
物凄く時間がかかり、プレイそのものが非常に冗長になってしまう。
おいらは、基本的に「ダンジョンなんかこの世からなくなればいい」と思って
いるタイプの人なので、この点もダメだった。


 そんなわけで、メガドライブ本体購入当初から期待していた本作品だが、大
体4日くらいであっさりと放り出し、いまだにクリアしていない。



AXL 2002

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