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「パックマン」

Media :アーケード、MSX,PC-8801,FM-7,X1,MZ-1500,Family Computer,
PlayStation,GAMEBOY,GAMEGEAR,Windows等
Maker :namco(PC版移植は主に電波新聞社)
種 別:ドットイート・アクションゲーム
発売日:1980年


 オリジナル版の発売から四半世紀が経とうとしている今日でも定番アクショ
ンゲームとして移植され続けているナムコの看板ゲーム。
モンスターの追跡から逃れながら迷路内に散らばるエサを全て食べ尽くせばス
テージクリア、という単純なルールながら、普段は触れるとミスになってしま
うモンスターを時間制限付きながら逆にこちらが食べてポイントにしてしまう
ことの出来るパワーエサの存在で、それまでのドットイートアクションとは一
味違う戦略性の高いゲームにしているのが特徴である。


 ・・・・とは言うものの、だ。
実はおいらはこのゲームがかなり不得意である。
仮にも1980年、アーケード版発売当時からゲーセン、LSIゲーム、液晶ゲーム、
ファミコン、プレステ・・・とたくさんのプラットフォームで数限りなくプレ
イし続けてきたにも関わらず、初めてのプレイ以来全くといっていいほど腕の
方は進歩していない。

 パックマンには敵として色違いの四種類のモンスターが登場するが、実はこ
のモンスター達は単に色が違うだけではなく性格、つまりパックマンを追いか
ける行動パターンが個別に設定されている。
赤のアカベイは真っ向勝負型でひたすらパックマンを追いかけるが、ピンクの
ピンキーは待ち伏せをする頭脳派、青のアオスケは、気まぐれで真面目にパッ
クマンを追いかけたかと思えばあさっての方向に行ってしまうこともあり、オ
レンジ色のグズタに至ってはその名の通り、全くのマイペースで好き勝手に動
いている。

 このモンスターそれぞれの性格設定というものが当時では非常に斬新だった
上に、それぞれの憎めないキャラクターを際立たせ、さらにはパックマンとい
うゲームの戦略性を高めることにも貢献している。
つまり、プレイヤーは単純に逃げ回ってさえいれば良いわけではなく、モンス
ターの性格から行動パターンを予想することにより、それぞれ対処法を変えて
いく必要があるのだ。


 これくらいのことはパックマンを知る人なら誰でも知っている話だと思うし、
当時のゲームセンターあらしにも書いてあった、また、パックマンを何らかの
カタチで扱ったありとあらゆる書物にも書かれていたので、おいらだってその
当時から知ってはいたのだ。
知ってはいたのだが、実際、おいらがパックマンをプレイするにあたってこれ
らのデータを活用できた試しは一度もない。

 大抵の場合、ゲームがはじまると「とにかく逃げなければやられてしまう!」
という強迫観念から「アカベイがどーだ、とか、ピンキーかあーだ」というよ
うな細かい情報を思い出している余裕が全くなくなり、果ては各モンスターの
名前すら忘れ果ててひたすら逃げ回るだけなので、全く上達しない。

 というか、角で前後二匹のモンスターに挟まれそうになった時に「むむ!前
にいるのはグズタだから大丈夫だ!」などという判断能力をおいらが身に付け
ようと思ったら、高野山にでも登って最低三年くらいは何らの修行をしないこ
とには到底不可能である、ということに最近になって気付いてきた。


 というわけで、おいらとしてはいまだに非常に苦手なゲームの1本ではある
のだが、それを差し引いても、このパックマンの登場はなかなかに刺激的な出
来事だった。
その当時の他の多くのゲームがどちらかといえば殺伐としたシューティングゲ
ームだったのに対して、パックマンは非常に明るい雰囲気を持ったゲームであ
り、内容もコミカル、キャラクターも愛嬌たっぷりであり、namco特有のセンス
の良いBGMも手伝ってこれが一つ置いてあるだけでゲーセン自体が明るくな
るような、いわゆる華のあるゲームだった。

 ゲームセンターで大流行したパックマンは、当時の多くのパソコンや液晶ゲ
ーム、LSIゲーム機などにオフィシャルもパチモノも含めて膨大な数が移植さ
れることとなる。
今にして思えば、液晶ゲームやLSIゲーム機のようなものにパックマンを移植
するのはかなり無理があると思うし、実際当時のそれらのゲームでは迷路が簡
略化され、エサそのものの数も数えるほどに減らされてしまったが、それでも
当時の少年達は「家でパックマンを遊ぶ」という夢を叶える為にそれらを求め
た。

 家庭用ゲーム機で、やっと充分なクォリティの元に発売されたのは1984年発
売のファミコン版で、さすがにより複雑なゲームが一般化した84年当時の感想
としては「今更パックマン?」という気持ちもないではなかったが、それでも
ほぼオリジナルと同じパックマンが家で遊べるという魅力には効しがたく、結
局購入してしまった。


 アーケード黎明期を代表する傑作として記憶されているパックマンだけに、
続編もかなりの数に登っており、Ms.パックマン、スーパーパックマン、パッ
ク&パル、パックランド、パックマニアと数多くの続編がリリースされたが、
オリジナルの出来が良すぎた為か、パックランドのように全く別のゲームとな
った一部のゲームを除いた正当進化形の中で初代を上回るインパクトを残すゲ
ームが出てこなかったことが残念である。



AXL 2003

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