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「星をみるひと」



Media :FAMILY COMPUTER
Maker :HOT B
発売日:1987年
種 別:2D RPG

 「星をみるひと」は綺羅星のように、または雨後のタケノコのように無数に
存在するファミコン用2D RPGの1本である。

 システム的にはごたぶんに漏れず、ドラクエタイプの可もなう不可もないRPG
なのだが、ゲームバランスが極端に悪いという点と、作りこみが非常に甘いと
いう嫌な特徴を持っている。

 ゲーム開始地点をうろうろしているだけでいきなり中堅クラスのザコに遭遇
し、「ああ」も「うう」も無くゲームオーバーになってしまうことも決して少
なくないし、このゲームを語る上で必ず言われるのが、「最初の街が目には見
えない」という点である。

 どういうことかと聞かれても困るが、本当に最初の街が見えないのだ。
このゲームはいきなりフィールド画面から始まるのだが、ゲーム開始と同時に
左に1歩移動したところに最初の街は存在する、しかし、視覚的には街を表す
シンボルマークなど存在せず、他の普通の地形と同じパーツが遣われている為
ゲーム開始と同時に「なんとなく左でも押してみるか!」という人以外は漏れ
なく遭難するのだ。

 最初の街が見えないことの理由は不明だが、その街に入ると住人が「みんな
で力をあわせて見えなくしているのです」と断言する為、確信犯であることだ
けは間違いない。
これ以外にも他の街から外に出ると最初に街にワープするだとか、とにかく作
りこみの甘さが目立つ、というより明らかにベータ版に至る前に強引にリリー
スしたようなフシさえみられる出来なのだ。


 さらに87年当時のファミコンRPGということで、バッテリーバックアップなど
というハイカラなものは望むべくもなく、パスワードコンティニュー制をとっ
ており、ゲームの内容ではなく、その理不尽さにおいてクリアが非常に難しい
RPGの1本に数えられている。


 しかし、良くも悪くもアクの強いゲームであることだけは確かで、どういう
わけかゲーム中の表記が全て平仮名で統一されていたり(カタカナは意図的に
排除されている)、敵のモンスターに「もっこし」などという一度聞いたが最
後一生忘れられない何らかの十字架のような響きをもったモンスターが存在す
るなど、絡みつくような存在感だけは無視できないゲームである。



AXL 2002

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