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北斗の拳 世紀末救世主伝説(PS版)

Media :PlayStation
Maker :バンダイ
種 別:3D 格闘アクションゲーム
発売日:2000年


 先日、ふと思い出して古い本や漫画を詰め込んだダンボールを開いてみた。
ダンボールの中を漁っていると、懐かしい本に混じって見覚えのない一冊の漫
画本がおいらの目に飛び込んできた。

「北斗の拳 第一巻「心の叫びの巻」」

 どんな巻だ?という気がしないでもないが、とにかくそこにあったのは、ジ
ャンプコミックスの北斗の拳第一巻。
しかし、前にも書いた通りおいらは基本的に北斗の拳という作品をちゃんと読
んだことはないヒト、なのだ。
リアルタイムの頃にジャンプで飛び飛びに原作を読んだのと、テレビアニメの
方をこれまた飛び飛びで見たくらいの知識しかない。
勿論、自分から単行本を買った覚えもなかったので、どうしてここにこんなも
のがあるのか、しばし悩みつつ、いつ頃発行されたものなのかを知る為に本の
奥付に目を通してみた。

1987年6月15日 第33刷発行

奥付にはそう記してあった、1987年といえば、おいらが中学3年生の頃である。
・・・・ああ。
しばらく考えた後で、ひとつだけ思い当たる節があることに気付いた。
言われてみれば少年時代に一度だけ「北斗の拳を集めよう!」と唐突に決意し
た覚えがあったのだ。
しかし、結局はこの第一巻を買っただけで、恐らくは当時既に15冊以上刊行
されていた物量に圧倒され、しがない中学生稼業であるところのおいらは購入
資金が続かず断念したのだった。

 そんな記憶にひたりながら、十何年ぶりかに読んだ北斗の拳は圧巻だった。
第一巻では、ケンシロウの登場からシンとの対決の直前までが描かれているが、
おいらの目を釘付けにしたのは、ケンシロウでもシンでもなくハート様であっ
た。
ハートは北斗の拳名物脇役の一人で、かなり後に発売されたスーパーファミコ
ン版の北斗の拳6や7にも登場している。
身長も体重も桁外れで、「脂肪が厚いので秘孔を突く事が出来ない」という殆
ど冗談のような体質で「拳法殺し」の異名を持つオトコであり、凶暴な外見と
は裏腹に、基本的にはジェントルメンで、ザコにすら虫けら同然に扱われてい
る一般市民にも真摯な態度で接するが、血を見ると性格が豹変し「いてえよー!」
と叫びながら無差別殺人鬼と化す。
思えば、小学校時代にクラスに一人は普段は大人しいのに、泣くと突如として
強くなり、椅子や机を振りかざして大暴れする、というタイプの子がいたが、
あれは今にして思えば、ハート様体質だったのだな・・・と要らぬ記憶の扉を
開ける存在でもある。

 久々に北斗の拳を満喫したおいらはあまりの面白さに今度こそコミックスを
集めてみようかな、とも思ったのが最愛のハート様の出番は一巻であっさり終
わっていることを思うと、結局はまたもや買わず終いになりそうである。


 そんなわけで、いまだちゃんと通して原作を読んだことが無い癖に、微妙な
ところで、北斗の拳から離れられないおいらなのだが、思えば、北斗の拳を題
材としたゲームの方も、我ながら原作も読んでないのになんでまた・・・と思
うくらいに手を出してきた。

 今回紹介する「北斗の拳」は比較的最近リリースされた作品で、メーカーは
バンダイ。
キャラクターゲームが多いことで知られる同社だが、意外なことに北斗の拳ゲ
ームは今作がはじめて。
プラットフォームはPlayStationで、基本的にはポリゴンを使った格闘アクショ
ンゲームとなっている。

 この作品はPlayStation1用のゲームとしてはかなり末期に発売されたものの、
一部では発売前から色々な意味でかなり話題になっていた作品である。
発売当時、おいらの友人の間で話題沸騰となっていたのが、テレビアニメーシ
ョン版の北斗の拳のオープニングアニメをそのままポリゴンで再現したという
妙に力の入ったオープニングムービーだったのだが、PS1をプラットフォームに
していることや、ポリゴングラフィクの出来の問題などで、お世辞にも美しい
とはいえないグラフィックで再現されたテレビ版オープニングが言うに言われ
る不可思議な雰囲気がつきまとい、一体、どうして素直にアニメのムービーを
挿入しなかったのだろうか、と思ったものだ。


 ゲーム内容の方はといえば、メインとなるストーリーモードの他に、対戦モ
ード、世紀末シアターの三種類に隠しモードとして「ザ・あべし」というモー
ドがついている。

 ストーリーモードでは、原作のラオウ編のストーリーに沿って進む、3D格
闘アクションゲームで、戦闘だけではなく、会話などもしっかり再現されてい
る。
世紀末シアターは、ストーリーモードで使用されたムービーに音声を好きなよ
うに組み合わせてプレイヤー独自のムービーを作成できるというお遊びモード
だが、馬鹿馬鹿しいながらも思わずハマってしまう。
隠しモードの「ザ・あべし」は、ひたすらザコを倒し続け、何人倒せるかを競
うモードだが、秘孔を突かれて破裂するザコの断末魔の種類が病的なまでに豊
富で、「あべし」「ひでぶ」は言うに及ばず、倒しても倒しても次から次へと
新しい断末魔を披露してくれる。
有名な「あべし」をはじめ、ある意味流行語にすらなった北斗の拳に於ける断
末魔の叫びが好きなだけ堪能できる、という世紀末シアター同様、余程のファ
ンでなければ考えもつかないようなモードだが、ただひたすら断末魔を聞きな
がら淡々とザコを倒し続けるというのは、言うに言われぬ中毒性があり、是非
とも体験していただきたい。


 とはいえ、おいらはこのゲームを友人から借りてプレイした為、隠しモード
で遊ぶことは出来たものの、自力でクリアすることは出来なかった。
どうしても一ヶ所抜けられないところがあって、最終的には挫折してしまい、
またもやラオウ編を通しで体験する、という中学生時代からの夢を果たすこと
はできなかったが、最近になって密かに購入して再挑戦してみようかな、と思
っている1本である。



AXL 2003

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