レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

北斗の拳(FC版)

Media :FAMILY COMPUTER
Maker :東映動画
種 別:スクロール型格闘アクションゲーム
発売日:1986年


 ファミコン初の北斗の拳ゲーム。
プレイヤーは主人公ケンシロウを操り、ザコ敵を倒しつつ、ハートやサウザー
などの中をボスを撃破して最後はラオウと対決する、というのがおよその内容
である。
しかし、このファミコン版北斗の拳は評判が悪かった。
そしてその「悪い評判通りのゲーム」だった。

 同じ頃、セガ・マーク3用に出来の良い北斗の拳ゲームがセガにより開発・
販売されたことにより、さらにクソゲーとしての知名度を高めてしまったゲー
ムである。

 しかし、世の中には実は面白いゲームなのにクソゲーのレッテルを貼られて
いるゲームというものも存在するので、念のためにこのゲームの何がよく無か
ったのか、ということをひとつづつ検証していこう。

 まず「画面が悪い」
電源を入れてスタートボタンを押す。
ゲームが始まるとテレビ画面に、
「やっちまった!」という感じのゲーム画面が映し出される。
それを見たプレイヤーはすかさず、
「やりやがったな!!」と思ってしまう。
この辺からしてこのゲームは非常にヨクナイのである。

 具体的に、何が「やっちまった」のかというと、早い話が「例えようもなく
汚らしく、生理的不快感を催すゲーム画面」なのである。
勿論、ファミコンというハード性能を考えれば、劇画調の「北斗の拳」を完全
に再現することが不可能なことくらいは分かっている。
画面が汚いゲームだって、他にもたくさんある。
しかし、北斗の拳の画面はそれら「ちょっと画面が汚いゲーム」達とは明らか
に一線を画している。
一言でいうと、「画面がバグったのかと心配になるような汚さ」なのである。
それがまた、「廃墟と化した未来」を描いている為に「かなり、普通ではない」
という雰囲気をかもし出してくれる。
こういう画面を持つ他のゲームをひとつ挙げろ、というなら、おいらは、「ス
ーパーモンキー大冒険」を挙げたい。
それくらい「普通ではない画面」なのである。


 次に言えるのが「システムが悪い」ということ。
このゲームの基本となっているパワーアップシステムは「あべしシステム」と
もいうべきへっぽこシステムで、これは特定のザコ敵をパンチで倒した時のみ
敵が爆発した直後に「あべし」という文字(!)がふわふわと飛んでいくので
それを集めてパワーアップする、という、「この度はご愁傷様でした。」とし
か言いようの無いシステムである。

 ちなみに、全体的に「バランス良く完成度の低い」本作品だが、一応合成音
声で喋る、というところだけはちょっと力が入っている。
といっても敵が爆発する時に「あべし」と喋るだけで、明らかに力の入れ所を
間違っている、というそしりは免れないが、これがまたゲーム中の「気味の悪
い雰囲気作りに一役買っている」のである。

 当然、画面には何人ものザコ敵が同時に現れるので、それらを順番にやっつ
けていくと、合成音声の「あべし」が次々に発せられ常にテレビからは「あべ
し、べしべしべし・・・あべし、べしべしべし・・・あべし、べしべし・・」
という声が流れ続けるという寸法である。

 さらに悪いことは重なるもので、このゲームは単純に左方向にスクロールし
ていけば、ゲームが進むというわけではなく、特定の場所でビルの中に入るな
どして正しいルートを進まないと先には進めないようになっている。
全く、悪いことには頭の回るものである。
一応、正規の分岐点の前では、リンだかバットが表示されており、道しるべの
役割をしてくれるのだが、後半になると、これが全く信用できなくなる。
アクションゲームとしてはかなり粘着的に分かりにくいマップ構成の為、おい
らはいまだにクリアしたことがないのだ。


 尚、東映動画はこの続編として続々と北斗の拳ゲームを作り続け、最終的に
はスーパーファミコン版で「7」までリリースしたが、その中に佳作すら一本
もない、という、「何らの腹いせ」としか思えない行動を取ってくれたのだが、
実は、ファミコン版北斗の拳2は結構好きだったりするのである。



AXL 2001

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