レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

「花のスター街道」


Maker :ビクター音楽産業
Media :Family Computer
種 別:横スクロールアクションゲーム
発売日:1987年


 いざ買ってみたゲームがつまらなかった。
ゲームをしたことのある人間であれば、誰しも一度は経験することだ。
発売前からそれこそ夢にまで見て、いざプレイしてみたら期待ハズレだった・
・・・というパターンもあるだろうし、店頭で見てちょっと面白そうだったの
で、購入してみたらひどい目にあった・・・・というパターンもある。

 余談だが、後者のパターンで最近ひどい目にあったゲームはPSの「ラーメ
ン橋」というゲームだ。
着眼点は悪くないがあまりにも単調な上に冗長過ぎてほとんどゲームとして成
り立っていなかった。

 そんな風に「つまらないゲーム」にブチ当たってしまった時、人はどうする
か?、例えばそれが中古や特価で大した金額でないとしたら、笑って諦めるこ
ともできるかもしれない。
しかし、そのゲームに過大な期待をしていたか、そうでなくても、結構バカに
ならない金額を支払ったものであれば、そう簡単にはいかない。

 その為、期待して購入したゲームがつまらない、ということはユーザーとし
ても容易く認められることではないのだ。
またまた具体例を挙げて申し訳ないのだが、例えば「Zガンダム・ホットスク
ランブル」だったら、とりあえず「画面にZガンダムが出てくる」という点に
無理矢理にでも意義を見出そうとする。
「うわー、凄いな、コクピット視点もあるしなー、ゲームの内容はちょっとア
レだけど、少なくともこれがあればカミーユ・ビダン気分を味わうことは出来
るもんなー、これからのおいらの人生には「カミーユ・ビダン気分」がプラス
されるんだなー」と必死で自分を納得させようとするのだ。

 しかし、実際のところは「カミーユ・ビダン気分」など、その後の人生にお
いてまるで必要な「気分」ではないし、そうやってかろうじて自分を納得させ
られるのも長くて三日程度である。

 しかし、少年時代、なけなしの小遣いの大半をはたいて買ったゲームが自分
の期待を大きく下回るようなものであった場合、多くのユーザーは虚しくも自
分を慰めるしかないのだ。


 さて、「花のスター街道」である。
このゲームのメーカーはビクター音楽産業。
誰がどう考えてもゲームメーカーとしてよりも、CDやレコードの方が有名な
会社であり、大学の入試で「ビクター音楽産業が発売したゲーム名を挙げろ」
などと書かれた日には正解率は3%以下になると断言できるほどゲームメーカ
ーとしてはマイナーなところである。

 ちなみに別ブランドだが、ビクター音産が関係しているパソコンゲームに「
ディレクター物語」という物凄いゲームが存在するのだが、そのゲームにして
もこの「花のスター街道」にしても、少なくとも一般的な意味では決して面白
いゲームではない。

 ディレクター物語の場合、おいら知る限り初めて「アイドル育成」というジ
ャンルで発売されたゲームなのだが、その育成方法は何度やってもまるで分か
らず、どうやら一般的に想像される数値育成よりもアドベンチャー的なフラグ
育成を重視しているところまでは分かったのだが、問題はそのフラグというか
奇妙キテレツな世界観で、その理解不能ぶりと独特ぶりは「消えたプリンセス」
級だった。

 残念ながら詳しいことはほとんど忘れてしまったのだが、曲を作って貰う為
にアイドルを作曲家宅に預けたら妊娠させられてしまい、もっと凄いのはその
状態でもゲームは続行していたという点だ。


 さて、話を「花のスター街道」に戻して、簡単にゲームの内容を説明してお
くと、プレイヤーはアイドル歌手になることを夢見て田舎から上京してきた主
人公(二人)を操作して、東京の街を横スクロールのジャンプ・アクションで
進んでいく・・・というものだ。

 この当時のアクションゲームとしては至極一般的なシステムに思えるが問題
がひとつある。
それは「田舎から上京してきた主人公(二人」」という点である。
そう、つまりこのゲームには主人公が二人いるのだ。
しかも、交代制や残機制で存在するのではなく、同時に画面に現れるのだ。
つまり、プレイヤーはひとつのコントローラーで同時に二人の主人公を操作し
なければならない。

 この二人の主人公は常に同じ動きをする。
バイナリィランドを知っている読者はあれを想像して頂ければ良いのだが、画
面構成はサイドビューのジャンプアクションである。
ジャンプアクションである以上、足場の乏しい場所での連続ジャンプというシ
チュエーションが結構頻繁に存在する。

 操作のややこしいこのシステムで、そんな時はどうするのか?
結論からいうとどうしようもないのだ。
いや、上手い人ならなんとかするのかもしれないが、少なくともおいらはどう
しようもなかった。
バイナリランドはトップビュー、左右対称の画面を2画面作ることで二人のキ
ャラクターを同時に操作させるというシステムに意味を持たせていたが、「花
のスター街道」の場合、そんなことははじめから考慮されていない。
もしかしたら既に忘れられていたのかもしれない。
難易度としては、普通のジャンプアクションゲーム程度の画面でナゼか主人公
が二人おり、どちらかが穴に落ちたり敵キャラクターに触れた時点で1ミスと
なるのだ。

 どうしてもその様が想像できない、という方は、スーパーマリオブラザーズ
を思い浮かべて、マリオの後方1キャラクター分空けた位置に常にルイージが
存在すると思って欲しい。
難易度が高い、というより極端にゲームがやり辛いのが分かって頂けるだろう。

 このゲームはかなりマイナーなゲームなので一般的な知名度は決して高くな
いが、不幸にも当時購入してしまったユーザーにとっては、たけしの挑戦状に
優るとも劣らないトラウマを植え付けられる恐れがある、そんなゲームなのだ。



AXL 2002

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