レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

船木誠勝 HYBRID WRESTLER 闘技伝承


Media :SUPER FAMICOM
Maker :テクノスジャパン
種 別:育成型プロレスゲーム
発売日:1994年

 UWFというプロレス団体を最初に作ったのは初代タイガーマスクこと佐山
聡と前田日明だった。
当初は「ユニバーサルプロレス」と呼ばれていた第一次UWFは佐山と前田の
考え方の違いから解散。

 その後、前田日明が藤原喜明、高田延彦らと旗揚げしたのが第二次UWFで、
これが「UWFブーム」を起こすこととなる。
ところがその第二次UWFも1991年に崩壊。
前田は格闘ネットワークRINGSを、高田はUWFインターナショナルを藤原
は藤原組をそれぞれ旗揚げするが、藤原組からさらに主力選手だった船木誠勝ら
が退団した旗揚げしのがハイブリッドレスリングを標榜する総合格闘技団体、パ
ンクラスである。
尚、高田のUWFインターはその後経営難から倒産し、現在話題のPRIDEへ
と引き継がれている。
ゲーム内にレスラーとして船木は登場するものの、他のパンクラス所属選手は一
人も登場せず、他のレスラーもパンクラス系の総合格闘技系ではなくいわゆる普
通のプロレスラー的なステレオタイプで固められている。

 スーパーファミコンでは、他にもリングス、UWFインターの公認ソフトもそ
れぞれ発売されているが、何といっても異色中の異色ソフトが本作「ハイブリッ
ド・レスラー」だろう。


 このゲームの最も特異な点はプロレスゲームでありながら世代交代が可能な点
なのだ。
ゲームの目的は、世界にはスタイルの違う大きな格闘団体があり、それぞれの団
体でのベルトを獲って三冠王になること、だが、このゲームには年齢というパラ
メーターが設定されており、30歳くらいから少しづつ体力等のパラメーターが
下がっていく。
その為に、女性と結婚し子供を残し、自分が引退した後は自分の子供に三冠統一
の夢を託すことが可能になっている。

 勿論、後にも先にもこんなシステムを採用したプロレスゲームはこのソフトし
かない。
元々、パンクラスが標榜するハイブリッドレスリングとは、色々な格闘技の素養
を総合したレスリング、つまり「雑種的レスリング」というような意味で付けら
れたキャッチフレーズだったはずだが、殊このゲームに関して言えば、ダビスタ
的ハイブリッドのことを指すようだ。


 ちなみに結婚が可能な女性も一人ではなく複数設定されており、それぞれ年齢
や職業などが違う。
つまり下っ端レスラーでは結婚できないが、レスラーとして名を挙げていくこと
で結婚をOKしてくれる、いわばグレード制が採用されている。
恐らくこれが後で生まれてきた子供の能力に影響するのではないかと思うのだが
考えてみれば失礼なゲームである。


 実はこのゲーム、いたるところでクソゲーとして叩かれているが、おいらに言
わせて貰えればスーパーファミコンのプロレスゲームとしか見る限り決して出来
は悪くないのだ。

 成長と子供への能力継承を前提としたゲームの為、レスラーに成長的要素があ
るのは、好き・嫌いが分かれるかもしれないが、スタイルの違うプロレス団体が
複数存在することにより、普通のプロレスルールの他にもパンクラスルールでの
試合が可能だったり、街中で殴りあいたまに酔っ払いが乱入してくるストリート
ファイト形式、キン肉マンの対ロビンマスク戦そっくりの断崖絶壁の上に作られ
た空中リング、砂漠に作られたリングなど非常に試合形式が多彩なのだ。

 はっきり言って冠にまで持ってきた船木誠勝やパンクラスがいいように置き去
りにされている感は否めないものの、プロレスゲームだけでなく格闘系ゲームに
定評のあるテクノスジャパンが開発しているだけあり、プロレスゲームとしては
なかなかよく出来ている。
システム面にかなり大きな癖はあるものの、プロレスゲームの中では隠れた佳作
といって差し支えないだろう。



AXL 2003

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