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フィールドコンバット

Media :アーケード、Family Computer
Maker :JALECO
種 別:シューティングゲーム
発売日:1985年


 今にして思えばジャレコのファミコンソフトのパッケージというのは綺麗だ
った。
これは単に絵の質が良かったとか、センスが良かった、という話ではなくて、
ジャレコの初期ファミコンソフトのパッケージは全てアニメのセル画が使われ
ていた為に、商品パッケージイラストとして描かれた他会社のパッケージとは
質感も違っていたし、色も鮮やかだった。
そして何よりアニメ世代の子供達に訴えるものも大きかったのではないだろう
か。

 というわけで、実際のところ、おいらがこのソフトを購入したのは店頭でパ
ッケージを見て、セル画調のイラストにまいってしまったのが原因だったよう
な気がする。

 このゲームは自機ジェネシスを操作して敵を倒しながら画面上へと進軍し、
最上部に陣取る敵の司令部を破壊すれば1ステージクリアとなる、ステージク
リアタイプのスクロールタイプのシューティングゲームなのだが、色鮮やかな
パッケージイラストの方にはゲームには個性豊かなジェネシス乗組員達まで描
かれていたのだが、残念なことにこの乗組員達はゲーム中には一切登場せず、
結局のところそこに期待して購入したおいらはのっけからこのゲームに対して
悪い印象を持つことになってしまった。


 さて、このフィールドコンバットには一つ非常に特徴的なシステムがある。
それは通常のショット以外にキャプチャービームを使って敵を捕獲することが
出来、さらに捕獲した敵キャラクターを自軍戦力として即時戦場に投入するこ
とが出来る、というシステムだ。

 戦力として戦場に登場した自軍兵器を操作することは出来ず、彼らは彼らの
判断により各自敵と戦ってくれるのだが、またまた残念なことに彼らの判断と
いうのは大抵の場合「どのようにして迅速かつ確実に敵の数を減らしてやろう
か!」といったことよりも、「明日は運動会だから水風呂に入って風邪をひい
てやろう!」だとか「お小遣いがなくなったから来月のお小遣いを前借りしち
ゃおう!そして来月は再来月の分を前借して、再来月は・・・」という程度の、
いわば小学校低学年並の判断能力しかないらしく、積極的に戦っているという
よりは、画面内を適当に歩き回った末にたまたま敵と出会って万止むを得ず戦
闘をはじめる・・・といった感じのことしか期待できない。


 実のところ、このゲームを効率的に進めるためには下手にキャプチャービー
ムなどを使うよりもショットによる敵破壊を真剣に行った方がよほど有益のよ
うな気がしてならないのだが、うまくできているもので、仮にそういった進め
方をするとゲームとしては地味過ぎて全く面白くない作品となってしまうので、
プレイヤーはなんとなく「自己保身」だとか「資産の有効活用」というような
ことを考えつつ、結果的にはデザイナーの思い描いた通りにキャプチャービー
ムを駆使し敵軍自軍入り乱れての闘いが繰り広げられるようになっているのだ。


 しかし、そういった「いまひとつ」の部分を差し引いても、この当時のファ
ミコンの、しかもシューティングゲームで、ここまでシミュレーション的要素
を取り入れたゲームは他になかったし、あまり役には立たないとはいうものの
ちまちまとした兵士や戦車などがそれぞれ敵味方に分かれて勝手に戦っている
様というのは、なんとなく箱庭的というか、大ラジコン大会的な風情もあって
なかなかに忘れがたいゲームであることは確かなようだ。



AXL 2003

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