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「ハンバーガー/バーガータイム」

Media :アーケード、FAMILY COMPUTER,DISK SYSTEM,電子ゲーム等
Maker :data east
発売日:1982年(アーケード)
種 別:画面固定型アクションゲーム


 「ハンバーガー?、どんなゲームだっけ?」と首をかしげた貴方のために始
めに断っておくと、いわゆる「バーガータイム」と呼ばれているゲームのこと
なのである。

「なーんだ、バーガータイムか」
で、終わってしまいそうだが、とにかくその「バーガータイム」なのである。

 知らない人のために簡単に内容を説明しておくと、このゲームは初期アーケ
ード作品で、固定画面型のアクションゲーム。
内容は、というとまず画面に5段(階)くらいの床があり、その間を梯子を利
用して自由に行き来できるようになっている。
さらにその床には、バンズ、ミート、レタス、チーズなどのバンバーガーを構
成するパーツが埋め込んである。
主人公であるシェフ(コックさんの格好をしている)を操り、バンズやミート
などを「上から踏みつける」ことで一段下に落としていく。
1列全てのパーツを床から下に落とすことで、下に置いてある皿の上に全ての
パーツが落ち、ハンバーガーが完成する。
全ての列のハンバーガーを完成させると1ステージクリアとなるのだ。

 尚、お邪魔キャラとして、ウィンナー、ピクルス、目玉焼きなどが登場する。
シェフはこれらを避けながらハンバーガーを完成させなければならないが、も
し前後を彼らに阻まれた場合には、ペッパー(胡椒)攻撃で、一撃に彼らを麻
痺させ、通り抜けることができる。

 また、敵キャラが下にいる時に上からバンズやミートなどを落として潰して
しまったり、パーツ上に敵キャラがいるときにパーツを落下させることで、敵
キャラを下に落とす(さらにこのときは、パーツが余計に落下する)というテ
クニックも存在する。


 このゲーム自体は、アーケード黎明期からそれなりに知られたタイトルだし、
ファミコンにも移植され、その後「スーパーバーガータイム」なる続編もアー
ケードで発売されているので、ある程度昔のゲームに詳しい人なら誰でも知っ
ているタイトルだろう。

 そして、おいら的に言わせて頂くと、このゲームはあまり好きではない。
何故なら、非常に難易度が高いからだ。
まずこのゲームでは、主人公の動きが非常に遅い。
特に梯子を登り降りするときのスピードは絶望的である。
しかし、ウィンナーや目玉焼きなどの敵キャラクターは容赦なく迫ってくるし、
それを避ける為に、サイドビューアクションゲームでは必須ともいえる「ジャ
ンプ」というアクションができない。
パックマンのように逆転アイテムがあるわけでもない。
攻撃方法は「ペッパー」のみである。
しかも、ここが大事なことなのだが、このペッパーという攻撃アイテムには「
使用回数制限」があるのだ。
ゲーム開始時に5回、その後はボーナスアイテムを取るたびに1回分増えるが
なんとステージクリアしても回数補充はないのだ。
つまり、先へ行けば行くほど苦しくなる。

 つまり、あまり爽快感がなく、操作性も悪く難易度の高いゲームなのである。
しかし、それでも今回このゲームを取り上げたのは、このゲームが持つ圧倒的
な「美味しそうぶり」である。
とにかくこのゲームは美味しそうである。
食材をこのような形で扱ったゲームは当時あまり他にはなかったし、扱った食
材は子供達の大好物のハンバーガーだ。
小学生当時のおいらはこのゲームに登場する「ハンバーガー」の美味しそうぶ
りにやられてしまい、いまだにおいらの頭には「バーガータイム」=「美味し
そう」という図式が生きている。

 そのお陰で、おいらはゲーム的に決してこのゲームのことは好きではないの
だが、「バーガータイム」と聞くだけで頬がゆるんでしまうのである。
おいらにとって「バーガータイム」とは「好き」と「嫌い」が激しく交錯する
「憎いあンちくしょう」的な一本なのだ。


 最後に、一般に「バーガータイム」といわれているこのゲームのタイトルの
謎について。
「ハンバーガー」というのは、アーケード版のしかも日本版のみにつけられた
タイトルで、海外版ははじめから「バーガータイム」というタイトルになって
いる。画面タイトルは日本版もバーガータイムで統一されているらしいので、
「ハンバーガー」という正式タイトルがつけられたのは恐らく日本版のインス
トカード(テーブルゲームなどで操作説明のために画面横に貼ってあるカード)
のみではないかと思われる。

 その後、1985年にファミコンに移植されるが、これはメーカーのデータイー
ストではなくnamcoからnamcotレーベルで移植されている(この時期、他にdec
o作品の移植としては「ザ・ビッグ・プロレスリング」のアレンジ移植「タッグ
チームプロレスリング」がある)、ところが1988年に移植されたファミコン・
ディスクシステム版の「バーガータイム」はnamco製ではなく、データイースト
からの移植になっている。
namcoの場合、最後までディスクシステムオリジナルのゲームを1本も開発して
いないが、旧作のディスクシステムへの提供はある程度行っている。
にも関わらずデータイーストがわざわざ自社でこのタイトルを提供した理由は
よく分からないが、namcoは、ディスクシステム普及による任天堂のサードパー
ティ統制制作に強力に反発したメーカーであることから、単に必要最低限以上
のゲームに供給したくなかったのかもしれない。

 そして前述したが、データイースト自身が開発したアーケード版の続編、「
スーパーバーガータイム」が登場することとなるが、「ハンバーガー」という
タイトルが使用されたのは、オリジナルアーケードの日本版、それもインスト
カードだけ、ということになる。
恐らく、画面タイトルに表示される「バーガータイム」の方はユーザーの印象
に残ってしまった為だろう。

 ちなみに、日本発売のもので「バーガータイム」というタイトルが始めて付
けられたゲームは、namcoのファミコン版ではない。
実はそれより以前に、バンダイからLSIゲームとして「バーガータイム」という
タイトルで移植版が発売されているのだ。



AXL 2001

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