レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

「ベースボール」

Media :FAMILY COMPUTER
Maker :任天堂
種 別:野球ゲーム
発売日:1983年12月


 ファミリーコンピュータ初の野球ゲーム。
今みるとタイトルといい、画面といい、内容といい、全てがオーソドックスで
地味なので、本体同時発売ソフトの1本として誤解されている向きもあるが、
このソフトが発売されたのは、本体発売から半年後の83年暮れのこと。
ファミコン用任天堂スポーツゲームとしては最初に発売されたソフトであり、
おいらが生まれて初めて買った野球ゲームでもある。
球団は「どこかでみたような」という程度の架空球団で、選手名に至っては名
前さえ出てこない。
非常にオーソドックスな作りで、後のファミスタ以降の野球ゲームと比べると
隔世の感があるのだが、当時は家庭用ゲーム事情からいうと、大体みんなこん
な感じだった。

 むしろ、一つのハードに大して2種類以上の同じジャンルのスポーツゲーム
が存在することの方が特異で、後にナムコがファミスタを発売した時、「ベー
スボール」があるのに、そんなことをしてもいいのだろうか?とびびってしま
った。


 おいら的には最も激しくやり込んだ野球ゲームがこれなのだが、これにはち
ょっと事情がある。
おいらがファミコン本体を購入したのが83年の10月。
本体と同時に、ポパイとドンキーコングJr.とマリオブラザーズを手に入れ、
後にドンキーコングも買ってしまったので、あとは麻雀、五目ならべ、ポパイ
の英語あそびしかソフトが存在せず、早い話がゲームはやりたくても買うゲー
ムが無かったのである。その年の暮れクリスマス商戦向けにリリースされたの
は、このベースボールとドンキーコングJr.のさんすうあそびのたった2本だけ
で、「さんすうあそび」とはいうもの、きっと面白くない「あそび」に違いな
いと敏感に察知してしまったおいらが、クリスマスに買ってもらったのがこの
「ベースボール」なのである。

「欲しくても、買うゲームがない」というのは最近の青少年にはちょっと想像
がつかないかもしれないが、83年当時は、パソコンはともかくとして家庭用ゲ
ーム機というのはどこも似たような感じだったのだ。
それが証拠にクリスマスにベースボールを買ってしまったおいらは、正月にお
年玉を貰っても、本当に買うゲームがなくなり、かなり悩んだ挙句に「五目な
らべ」を買ってしまった、という悲しい思い出がある。


 さて、ベースボールを手に入れたおいらだが、実はおいらはこのゲームを手
に入れるまで野球のルールを知らなかった。
野球そのものに関しても、ナイター中継を最初から最後まで観た、などという
ことは、それまでになかったし、またあれから20年近く経った現在までを含
めても一度も無い。
選手の名前の知識どころから球団の名前すら怪しいものである。
だから、おいらにとっては、球団名や選手名が入っているか、いないか、とい
うことはどうでもいいことで、これでも随分と楽しめたのである。
オーソドックスなゲームなので、これといった話はないのだが、友人を呼んで
わざわざノートにスコアボードを書いて対戦したり、ペナントレースを開催を
開催して途中飽きたり・・・とそれなりに楽しめたゲームだった。
そして、何よりもおいらの場合、このゲームに出合っていなければ間違いなく
現在まで野球のルールを知らなかったと思うので、なかなか有意義なゲームな
のである。



AXL 2001

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