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「不如帰〜HOTOTOGIS〜」

Media :ファミリーコンピュータ専用ROMカートリッジ
Maker :アイレム
種別 :戦略型戦国シミュレーション
発売日:1988年


 ファミコン史上最高の戦国シミュレーションゲーム。
一見、信長の野望タイプのゲームだが、信長の野望シリーズと根本的に違うの
は、信長が経営を主にし、物量作戦が最も有効なゲームであるのに対し、不如
帰は戦術がメインのゲームである。

 このゲームが発売されたのは、信長の野望戦国群雄伝が光栄から発売される
約半年前のことだが、群雄伝で始めて採用された家臣団というシステムも取り
入れられていたし、全領地からの一括税収システム、戦術画面における「士気」
値の採用、官位システムなど、当時の信長の野望の先を行く数々のシステムが
取り入れられていた。

 このゲームの最大の特徴は、信長の野望のように物量作戦が有効ではない、
という点が挙げられる、優秀な武将が率いる寡兵は無能な武将が率いる大軍を
難なく壊滅するこができるのだ。
また、軍団には士気があり、この士気が0になると何人残っていてもその軍団
は壊滅してしまうというシステムも後に光栄のシミュレーションゲームに取り
入れられているが、このゲームでは既に採用していた。


 当時このゲームをやり込んだユーザーが集まると話題になるのが、オープニ
ングの「予告編」なるデモ画面である。
デモ画面では、ゲームに登場する名だたる武将がキャッチフレーズ付きで紹介
される、このキャッチフレーズというのは、例えばプロレスのアントニオ猪木
なら「燃える闘魂」というようなもので、織田信長の場合「中世最大の天才」
上杉権信なら「神の心 悪魔の軍略」といった具合に戦国ファンなら思わず胸
がときめいてしまうような秀逸なコピーが多かった。

 余談だが、上杉謙信が好きなおいらに言わせると、このゲームに出てくる、
上杉謙信の顔グラフィックはゲーム史上最高にカッコ良いのである。


 おいらも昔から戦国時代大好き人間だったので、当然このゲームは発売日前
からチェックして、発売日にディスカウントショップで購入したが、購入前、
友人との間で以下のような会話が取り交わされたことがあった。

「お前、やっぱり、不如帰買うんだろ?」
「もちろん。」
「でもさ、店で「ホトトギスください」っていうの嫌じゃない?」
「ああ・・・。」

 実際、ちょっと恥ずかしい。
余談だが、こういう「店で注文しにくいタイトルのゲーム」というのは他にも
いくかあるが、おいら的に最も注文しにくいタイトルのゲームのというはプレ
イステーション用ゲームとして発売された「動画でパズルだ、プップクプー!」
ではないかと思う。

 こういう場合、やはり客は店員に向かって
「すみません、「動画でパズルだ、プップクプー!」下さい。」といわなけれ
ばならないのだろうか?
さすがにそれは言いにくいので、勝手な想像だが、このゲームの販売風景はこ
んな感じではないかと思う。、

「ホラ、アレ、動画のやつ、ある?」
「はい? 何というタイトルですか?」
「いた、だから、パズルのやつだよ!」
「はぁ・・? あのタイトルは・・?」
「なんでわかんないかな、ほら、あれだよ!プップクプー!のやつ!!」
「ああ、これですね?」

 というような光景が全国のそこかしこで繰り広げられていたのではないかと
思うが、そもそも、かなり地味なゲームなのでこのゲームをそこまで熱望した
客がいたかどうかは今もって謎に包まれている。


 さて、不如帰に話を戻すと、このゲームは現在でも通用するほどのレベルの
高い作品だったが、惜しむらくは発売されたハードがファミコンのみ、という
点である。
その為、せっかく家臣団が持てるといっても5人までという制約がある。
全国を治めるほどの大名の家臣が5人というのは少な過ぎるし、国が大きくな
るとその5人を防衛の為に分散させなければならないのは辛いものがあった。
さらにファミコンの為、武将の名前が全て平仮名で表記され、当時偶然家来に
した可児才蔵は「かに さいぞう」としか表記されなくて、当時この人のこと
を知らなかったおいらはてっきり蟹の一種だと思っていた。

他にもファミコンのハードの制約に合わせて本来やりたかった事も随分削った
のではないだろうか?
もし、パソコン版に移植されていたら、家臣数の問題もクリアできたし、経営
面でももう少し新しい要素がいれられたはずである。
ファミコン史上最高の戦国シミュレーションの名作だと思っているだけに、未
だにその点だけが悔やまれてならない。



AXL 2001

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