レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

「うる星やつら〜ラムのウェディングベル〜」


Media :FAMILY COMPUTER
Maker :JALECO
種 別:スクロール型アクションゲーム
発売日:1986年10月


 かなり謎の多いゲームである。
簡単に説明すると、ステージ1の場合、プレイヤーは幼稚園児時代のラムを操
り、幼稚園をエスカレーター等を利用し、上へ上へと昇っていき、最終的に屋
上まで出ればクリアーとなる。
どうして屋上に行かなければならないのかといえば、その幼稚園が火事になっ
ており、火の手が下の階から上階へ向かって上ってくるので、同じ階に留まっ
ていると、炎に包まれ1ミスとなってしまうからなのだ。

 アクションは、定番のジャンプと電撃攻撃、とはいってもやたらにスパンの
短い電撃で、イメージとしてはキン肉マンマッスルタッグマッチにおけるブロ
ッケンJr.の毒ガス攻撃のような感じである。

 ステージが進むごとに、小学校、中学校、高校となり、最後は結婚式場とな
(るらしい)り、ヒロインのラムも小学生、中学生と成長していく(らしい)
実はこのゲームは全然先に進めなかったので先のステージのこは知らなかった
りするのだが、殊「おいら的あの頃ゲーム」に限っては、そんなことは今には
じまった話ではないので気にしないで欲しい。

 逆にいうと幼稚園から始まり、最後は結婚式場まで火事に見舞われるという
あまりにも悲惨な人生を告白したゲームであるともいえる。


 ちなみに多くのゲームがそうであるように、このゲームの場合も設定上の根
拠は何もなくても、当然のようにラムの邪魔をするキャラが出てくる。
面堂家で飼われているタコを筆頭に、ランのメッセンジャードール、クラマの
小天狗に、コタツ猫などなど、原作を知らない人には全く分からないであろう、
マニアックなチョイスだが、原作を知っているとこういうものが何の脈絡もな
くラムの幼稚園や小学校時代に現れるという不自然さが気になって仕方がない、
というどっちつかずぶりにジャレコ一流の哀愁が漂う。
 ついでにいうと、おいらですらも一体何なのか分からない空飛ぶ不思議な敵
キャラも出演しており、さらに謎が謎を呼ぶ作りになっているのも見逃せない
ところだ。


 そもそも、これを言ってしまうとこのゲーム自体が成り立たなくなってしま
うが、あんなに苦労してエスカレーターを乗り継いで上の階に逃げなくてもラ
ムが空を飛べることくらいは、一度でもこの漫画を読んだことがある人間なら
誰でも知っているにも関わらず、あの設定で全力投球してきたジャレコの真意
は謎に包まれている。

 実はこのゲームそのものは、アーケードゲームの「モモコ120%」というゲー
ムをキャラクターを変えたアレンジ移植作品である。
その為に本来空を飛べるラムが飛べなかったりするのだ、という説明も分から
なくもないが、問題なのは、オリジナル版の「モモコ120%」というゲームだ。
このゲームのBGMはファミコン版と同じ、つまり「うる星やつら」の曲が使われ
ているのだ。

 こうなってくるともう分からないことだらけである。
ジャレコはそもそもどちらを先に企画したのか、元々、「モモコ120%」という
ゲームの企画があって、それをファミコンに移植する段階で売上アップの為に
「うる星やつら」とのタイアップを狙ったのだとすると、オリジナル版に「う
る星やつら」のBGMが使われていることの説明がつかなくなる。

 では、逆に始めはアーケード版の「モモコ120%」もファミコン版と全く同じ
「うる星やつら」として開発されていたが、何らかの理由により、アーケード
版で「うる星やつら」のキャラクターが使用出来なくなった為、急遽キャラク
ターの入れ替えを行い、その際にBGMだけが間に合わなかった(ちょっと現実
的な話ではないが)とすると、そもそも、原作の設定を無視したゲームシステ
ムが不自然になってくる。


 それこそ「卵が先か、ニワトリが先か」のような無限連鎖的な話だが、今と
なっては真相を知ることは難しいだろう。


 さて、肝心のゲームとしての出来だが、かなりひどい。
どこがどう、というよりも、このゲームをプレイしているだけで開発チーム
の「投げやりさ」がひしひしと伝わってくる、といえばある程度イメージし
て頂けるかもしれないが、そういうゲームである。
ゲームのBGMはアニメ版「うる星やつら」の「ラムのラブソング」だが出来る
ことなら、長渕剛の「ろくなもんじゃねえ」に変更して欲しいほどレベルの高
いクソゲーである。

 本来こういうキャラクターゲームの類は、ある程度は原作のファンが買って
くれる、というメリットがあるが、それに甘えて粗悪品が数多くリリースされ
ている。

 逆にファンの立場からすると、自分の好きなキャラクターが登場している以
上ゲーム内容はそれこそメーカーに下駄を預ける形で購入しなければならず、
そこに甘えて粗悪品を濫造するなどということは、人としての道に外れている
のではないか、とおいらは思うのだ。

 キャラゲーといえばバンダイだが、おいらがいまいちあの会社を好きになれ
ない理由はそんなところにあるような気がする。



AXL 2001

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