レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

「エキサイティングサッカー」

Media :アーケード
Maker :アルファ電子
種 別:サッカーゲーム
発売日:1983年

 プロレスゲーム以外のスポーツゲームのレビューを書くのはかなり久しぶり
になる。いや、久しぶりどころか、おいらが過去に書いたレビューでこれに該
当するのは、ファミコンのベースボールくらいなので、約100本中、やっと2本
目なのだ。

 さて、非常にマイナーなゲームである。
おいらの知る限り他のハードに移植されたという話は聞かないので、このゲー
ムを知っている可能性があるのは、1983年当時にゲームセンターに通っていた
経験を持つ人だが、例えその当時通っていたとしても、それほど印象に残るよ
うなゲームでもないし、決してアーケードゲームを語る上で「忘れちゃいけな
いこの1本!」というほど有名でもないので、プレイ経験があったとしても思
い出すことすら難しい知れないが、要は、試合に買った時に、自分が選んだチ
ームの国家が流れるサッカーゲームのことだ、といえば、少しは思い出してく
れる人がいるかもしれない。
しかし、例えそれで思い出せなかったとしても、別段アナタの恥になるわけで
もなければ、今後の人生に於いて何の影響を与えるわけでもない、そんなゲー
ムだ。


 まず、画面構成から説明すると、後にファミコン用ゲームとして任天堂がリ
リースした「サッカー」
あれを縦にしたような画面構成となっている。
任天堂サッカーは、ゴールが画面の右端、左端にあるサイドビュー構成だが、
こちらは上下にゴールのあるトップビュー構成を取っている。
サイドとトップという違いはあるものの、それ以外の点では非常にこの2本の
ゲームには共通点が多く、シュートを放つ時に、ターゲットカーソルがゴール
前に出現し、それを使ってシュート地点を決める点も同じ、プレイ感覚にもあ
まり大きな差はない。

 要はゲーム開始時に、好きなチーム(国)を選び、ゲームを開始し、勝ち抜
いていく勝つたびに国家が演奏されるのは上に書いた通りで、基本的なゲーム
の流れとしては、スライディングでボールを奪い、ドリブル、パスを繋いでタ
ーゲットカーソル使ってシュートを決める。

 まあ、当時のサッカーゲームとしてはどちらも基本的な作りになっているの
で無理はないかもしれないが、このエキサイティングサッカーは、おいらがゲ
ームセンターで、はじめて見たサッカーゲームだった。
もしかしたらこれ以前にもあったのかもしれないが、ゲームセンターで初めて
このゲームに出会ったおいらは、「ついにサッカーのゲームが出た!」と非常
に感激し、友人と共にプレイしまくったことを覚えている。

 現在、日本で開かれているワールドカップですら一試合も見ていないおいら
がこんなことを書くのはおかしいかもしれないが、少なくとも、1983年当時の
おいらはサッカーが好きで好きで仕方なかったのだ。
Jリーグがはじまる前の日本のサッカーというのは一般的には、かなりマイナ
ーなスポーツのひとつだったが、少なくとも、おいらの周りの小学生男子は皆
例外なくサッカーの大ファンだったのだ。
いや、厳密にいうとそうではなく「サッカーのようなもの」が好きだった、と
いうだけなのだが。

 つまり、おいら達が当時憧れていたのは、少年ジャンプに連載されていたサ
ッカー漫画の「キャプテン翼」のことで、当時のおいらはガンダムにおいて赤
い彗星、シャア・アズナブルに憧れたのと大体同じ経緯で、「天才ゴールキー
パー」若林源蔵に憧れ、早速、アディダスのキャップを買いに行ったが、どう
いうわけか、アシックスのものしか店になく、仕方がないので、アシックスの
キャップを被りつつ、友人達と、サッカーごっこに明け暮れていた。

 そんな時、ついに、ゲームセンターでサッカーのゲームが出来るようになっ
たのだ。おいらに限らず、まわり男子達もゲームセンターに通いつめ、このゲ
ームで遊びまくったのは言うまでもない。


 そんなサッカー(のようなもの)大好き少年だったところだったおいらが、
何故、はじめて日本で開催されるワールドカップにまるで関心を示さないのか
というと、要はJリーグだの、ワールドカップなどで行われているものは、「
サッカー(のようなもの)ではない」からだ。
いや、現実のサッカーなのだがから、「のようなもの」ではないのは当たり前
の話なのだが、おいらが憧れ、胸を焦がしていた競技は、あれとは全くの別物
であり、例えばドリブルというものは相手の選手の3人や5人は平気で地平の
彼方に弾き飛ばしつつ行うものであり、ドライブシュートというのは、例え自
軍ゴール前から放とうが、全く勢いを失わず、ブロックしてきた数人の敵選手、
さらに、パンチングしてきた敵ゴールキーパーをも逆に弾き飛ばしてゴールネ
ットを突き破って飛んでいくのが、正しいサッカー(のようなもの)の姿なの
だ。

 さらに、ゴールキーパーたるもの、最低一人は「キエーッ!」などといいつ
つ三角跳びでキャッチする者がいなくてはならず、「ペナルティエリア外から
のシュートは100%防げる」という者が存在しないことには話にならないで
はないか、と思っているのだ。

 しかるに、Jリーグやワールドカップにはそれがない、ツインシュートもな
ければ、変な双子の兄弟がデブをスプリングにして空中を飛行しながらやるヘ
ディングシュートもないではないか。
つまらないではないか。

 というわけで、はじめてJリーグの試合をテレビで観戦したおいらは意気消
沈し、それっきりサッカーを見ない人になってしまったのだが、逆にいうと、
それまで一度も本当のサッカーの試合を観戦したことがなく、さらにごっこと
いえど自分達でやっていたにも関わらず、そういう根本的なところに気づかな
かった自分が悲しい。


 また例によってゲームとは関係話が長引いてしまったので、最後にミエミエ
のフォローを入れておくと、このゲーム、おいらはずっとデータイーストのゲ
ームだと思っていた。
よく考えるとあまり根拠はなかったのだが、グラフィックの雰囲気が妙にデー
タイーストっぽいゲームだったのだ。
このレビューを書くにあたって調べてみたところ、実は、アルファ電子という
正直あまり聞いたことのないメーカーで、他にどんなゲームがあるのかと思っ
たら、ネオジオで、ADKという社名で、ワールドヒーローズシリーズや、ニンジ
ャ・コンバット等数多くのゲームをリリースしていた会社だった。

 ちなみに、おいらはどういうわけか、ワールドヒーローズもこのレビューを
書く迄の10年間、データイースト製のゲームであると頭から信じ込んでいた。
これまたよく考えると何の根拠もなく、我ながらおいらの頭の中は分からない
ことだけである。



AXL 2002

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