レトロゲームレビュー/名作、クソゲー等ファミコン時代から網羅

「アルファ」


Media :PC-8801mk2SR以降
Maker :スクウェア
発売日:1986年
種 別:アドベンチャーゲーム


 おいらがパソコンを買ったのは、「アドベンチャーゲームがやりたかったか
ら」だった。
まだ、RPGやシミュレーションゲームが一般化する前の話で、シューティング、
アクション、パズルゲームに続いて登場したアドベンチャーゲームというジャ
ンルは、その他のゲームでは多かれ少なかれ必要とされる反射神経というもの
が基本的には全く不必要で、その分頭を使ってクリアする、という当時として
は珍しいゲームのジャンルだったのだ。

 おいらは反射神経なるものに全くといっていいほど自身がない。
仮に、アクション、シューティング系の反射神経を使うゲームを「ゲーム的体
育会系」と呼ぶなら、おいらは完全にゲーム的文系のヒトなのである。

 それにアドベンチャーゲームという新ジャンルのゲームには、既存のジャン
ルにはない果てしない自由度と世界の広がりが感じられたのだ。
勿論、アドベンチャーゲームも、実際には決められた場所にしか行けず、決め
られた行動しか取れないのだが、それまでのゲーム、例えばスペースインベー
ダーなら、プレイキャラである砲台に出来ることといえば、右に移動すること、
左に移動すること、ミサイルを発射すること、というこの三種類の行動だけで
決してあの砲台から降りて、家に帰って布団を敷いて寝る、という行動は出来
ない、ひねくれ者のおいらにとってはそれそのものがなんとなく「やらされて
いる」ようでプレイを重ねる内に段々不満になってくるのだ。
できることなら、一度くらい砲台から降りてみたい、そして、家に帰って何が
なんでも布団を敷いて寝たい、と切に願いつつ生きていた。

、そんな頃に、「この世にはアドベンチャーゲーム」というジャンルのゲーム
が存在することを知った。
ゲームの中で殺人事件が起きたり、見知らぬ土地を冒険できるアドベンチャー
ゲームというジャンルには、当時のおいらは無限の可能性を(勝手に)見たの
だ。

 おいらはアドベンチャーゲームをプレイする為に、MSXというパソコンを購入
し、プレイ開始までに10分も読み込みをするテープ版のアドベンチャーゲーム
をプレイし、今までとは全く違った世界を体験することが出来た。

 しかし、MSXというのはその当時としてもグラフィックが非常に貧弱で、たま
に何が描いてあるのか本当に分からないことさえあり、いつかはPC88やFM7など
の「ちゃんとしたパソコンでアドベンチャーゲームがやりたい」という思いを
募らせることになる。


 そして念願叶って初めて購入した「ちゃんとしたパソコン」であることろの
PC-8801mk2FRで初めて購入したゲームが、この「アルファ」というゲームだ。

このアルファという作品は、未来を舞台としたSFアドベンチャーゲームで、主
人公は、クリスという名の少女。
彼女は一切の記憶を失っており、自分が何者なのかというさえも知らない。
第二の地球を目指し飛び立った自給自足が可能な宇宙船、ダイダロス号の中に
存在する都市を舞台に彼女の冒険ははじまる・・・。

 ストーリーそのものに関してはSF音痴なこともあり、特筆すべき点はないの
だが、おいらが当時、何故このゲームを購入したのか、というと当時としては
驚異的だったアニメーションにあった。
ゲームを起動するとヒロインであるクリスがこちらに銃口を向け、レーザーガ
ンをぶっ放す、発射の反動で銃を構えた両手が上に上がるまでを当時としては
完璧すぎるくらいにアニメーションで表現している。

 それまで使っていたMSXといえば、アクションゲームなどのスプライト(キャ
ラクター)平然と単色(しかも原色)で表現されてしまうようなシロモノだっ
たので、こういうのには非常に弱かったのである。

 内容的には、結構アドベンチャーゲームで、実はそれほど面白かった、とい
う印象もないのだが、初めて耳にした本格的FM音源の音と、512色で描かれる美
しいグラフィック&アニメーションは、当時のおいらを感激させるに余りあっ
た。

 思えば、このゲームは今から16年も昔のゲームになるが、当時それほど有名
ではなかったスクウェアという会社の方向性のようなものはこの頃から既に固
まっていたのかもしれない。

 ちなみにパッケージにはおまけとしてピクチャーレコードがついてきたのだ
が、パッケージと共にとうの昔になくしてしまった。
今これにプレミアがついているのかどうかは分からないが、全くプレミア的価
値がなかったとしても、妙に高値がついていたとしてもどちらにしてもきっと
悔しい思いをするのは間違いないので、知らないままにしておこうと思ってい
る。



AXL 2002

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