葬儀を突っ切る
長い人生、周りの雰囲気を読まなかったがためにとても気まずい思いをすることが、誰にもひとつはあるだろう。例えば、飲み会他で相づちを打つのが癖になっていている人が、相づちを打ってはいけない部分で打ってしまい、周辺を退かせてしまったこと。例えば、会社内で、ばらばらになった新聞を読む時に、上司であろうと誰であろうと、手を押しのけてとろうとしたこと。もっと他にもあるかもしれない。今回はそんな話である。
先日、私の愛車のスクーターに乗って遠出をしたときのこと。私は、M市の中心街まで来たところで、狭い路地に入ってしまい道に迷ってしまった。ある程度広い道路に出れば安心と思っていたので、このときはあまり困らず、マイペースでスクーターを走らせていた。そして、商店街を通り抜けようとした時にそれはあった。
葬式である。普通の葬式であるなら問題はなかったかも知れない。しかし、この葬式はそうではなかった。まず、花輪が数多く並んでいた。また、出棺するところだったのか、2車線くらいの狭い道の両端に40人くらいの人がごった返していたのである。私は、そんな中を何の気なしに時速30キロくらいで走りぬけた。
走った後、猛烈な気まずさを感じた。今までに経験したことのない気まずさだった。本当は走り抜けてはいけなかったのではないかと思った。私はひょっとして葬式の雰囲気をぶち壊してしまったのではないか。そう思ったとたん、背筋が寒くなり、思わずスクーターを止めてしまい、後ろを振り向いた。葬式が行われているところを同じように車が走り抜けていくのを見て、やっと落ち着いた。そして、すぐにその場を立ち去った。もう、ここにとどまっているのはたくさんだと本当に思っていた。
確かに考えすぎかも知れない。しかし、それとは気づかずに、結果的に雰囲気をぶち壊してしまった例のほうが私には多かったのだ。だから、あの時は神経質になっていたかもしれない。多分、これからも同じ失敗を繰り返すであろう私に対する警告だったかもしれない。この文を読んでいる皆さんも気をつけよう。