嵐のような引越し

 「明日から、職場が変わるから、引越しの準備しといて」
 17日の早朝、派遣会社の営業の人からかかってきたこの電話から全てが始まった。そう、いきなり職場の配置換えを言い渡されたのである。しかも、滋賀県の最南端から、最北端に近い場所へ。
 最初は信じられなかった。自慢ではないが、前の職場では結構上手くやっていたと思っていたのである。上司や正社員の人と上手くやっていたし、社内では自分しか上手く扱えない機械もあるのである。上手くいけば、この会社の正社員として潜り込めるという願望も抱いていた。それが、いきなりの配置換え。前の会社から見れば、今まで元気に働いていた人が突然病気で休み、そのまま会社を辞めてしまったのだから、かなり印象が悪かったに違いない。私も後味が悪い。
 このエッセイを読んでいるゼ○○ル株式会社の皆さん、突然止めてしまったのにはこういう事情があったのです。大変申し訳ありません。今まで勤めていた2年半、本当に勤めていた甲斐があったと思います。
 
 というわけで、本題に戻る。上の電話の後、実家の親に連絡し、「まあ、頑張って」と励ましの言葉をもらった後、改めて引越しの準備をした。食器や服などの家財道具を必死でダンボールにぶち込み、ちゃぶ台やらビデオデッキやらPS2やらゲームソフトやCDや本やらを一日かけてダンボールにまとめて放り込んだ。
 それでも、何とか荷物をまとめて、部屋の最後の掃除もしたあとに、やっと派遣会社の人が軽トラに乗ってやってきた。
 そして、衣食住に関係するものから順にトラックに載せることになったのだが、肝心の本の山を運ぶときに問題となった。量自体は市販の大きな段ボール箱に収まったのだが、隙間なく詰め込みすぎたためにとてつもなく重くなってしまったのだ(推定70kg)。結局、いくつかの箱に分けて後日運ぶことになったのだが、後にこれで後悔することになる。
 とりあえず、大きな荷物だけをトラックに積み、私はスクーターに乗って、はるか滋賀県北部・某町に向けて出発した。国道1号・湖岸道路・琵琶湖大橋・国道161号を2時間かけて走りとおした。
 そして引越し先は……駅から近いのが唯一のとりえで、ほとんど何もない田舎町である
 スーパーもない。
 コンビニもない。
 レンタルビデオ店もない。
 ゲーセンもない。
 新古書店もない。
 一応商店街はあるが、夜7時になるとしまってしまう。

 私は最初、あまりの何もなさにしばらく呆然としてしまった。よくもまあ、こんなところで生活できるなと思ってしまった。私は呪われているのだろうかとかんぐりたくなった。
 
 いずれにせよ、新しく配属された職場でも、早く仕事を覚えられるように努力しようと思う。早いこと、自分の居場所を見つけたいから。それだけが今の自分にできる唯一の救いだ。

 後日談
 上記の本の山を、数箱に分けて後日運ぶことになった。、しかし、私は仕事があるために立ち会うことができず、派遣会社の人にまかせっきりになってしまったのだが、これがいけなかった。本の山の中には写真集やら同人誌やらその他諸々の恥ずかしいものが大量に混じっていたのである。そのため、箱を分ける際にこれらの本を派遣会社の人に見られてしまい、大変恥ずかしい思いをしてしまった。私の趣味がばれてしまった……

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