・あらすじ
前回、海に飛び込んで自殺しようとした竜哉。しかし、すぐに慎二が飛び込んで救い出し、事なきを得た。
そして、竜哉は気がついたとき、元のアパートにいた。耕平と英子が付き添っていた。竜哉は、自分が何もかも失ってしまったこと、もう死んでもいいと思ったことを告白する。それを聞いた耕平は、「馬鹿野郎!! 命を粗末にするんがどれだけ周りの人を傷つけるか一番解っとるのはお前と違うんか!!」と竜哉を怒鳴りつける。そして、「もう見損なったが」と言って部屋を出て行った。
英子も、「耕平さん怒るの当然です。私だって…… なんにも無いなんて、だったら、ここにいる私は何なの?! 耕平さんだってずっと心配してたんだから!!」と泣きながら責めたてた。
それを見た竜哉は、「どうして俺なんかのために泣くの。ひどいことばかりしてきたのに」と聞く。
英子は「好きだからです。竜哉さんのこと好きだからです」と言った。
「竜哉さんが海に出て行くのを見たとき、どこにも行かないでと思った。絶対離したくないと思ったんです。死んだら許さない……」
英子は竜哉を抱きしめた。
夜。アパートに折原が訪ねてきた。折原のせいですべてを失ったと思っている竜哉に、折原は謝罪と励ましにきた。
「失ったからこそ見えてくるものもあるんじゃないのかな。俺がそうだった。取り付かれたみたいにのし上がることばっかり考えてた。人を踏み台にしても平気だった。社長の汚いやり方に手を貸したこともある。あの時、あの薄暗い部屋に飛ばされてなかったら、俺は一生目がさめなかったかもしれない。俺はたくさんの人を傷つけてきた。そんな自分にけじめってやつをつけたかったんだ」
「自己満足のために俺を巻き込んだのかよ。自分だけせいせいしてそれで終わりかよ! あんた勝手だよ!!」と言い返す竜哉に折原はこたえる。
「お前なら大丈夫だよ。まだ正しい方向に走り直せる。人間はどっからだってやり直せるんだ」
そして、折原は竜哉を小宮山不動産へ連れて行った。社長が逮捕される寸前で、会社前は警察やマスコミでごった返していた。
連行される社長の前に、折原は飛び出した。そして、折原は警察に、自分が贈賄の実行犯だということを自白した。
護送車に向かう折原を呼び止める竜哉。折原は笑って、「いつまでそんな顔をしてんだ。いつかまた会おうな」 そういって乗り込んだ。
父親が逮捕されたことを知り、慎二に泣きすがる由紀。そんな二人の前に竜哉が現れた。
頭を下げて謝る竜哉に、由紀は激しく責めたてる。
「そんなことですむと思ってるの?! あなたのせいでパパは逮捕されたのよ! 私から奪ったものみんな返して!!」
慎二は由紀を押さえようとするが、由紀はなおも続ける。
「慎ちゃん、なんでこんな人助けたりしたの?! (竜哉に向かって)あんたなんて死ねばよかったのよ! あのまま海に沈んじゃえばよかったのよ!!」
由紀はそういって慎二の部屋を出て行った。
慎二も竜哉を責める。
「死んで終わりになんてさせてたまるか。お前は自分のしてきたことを背負って生き続けるべきなんだ。つらいからって逃げるなよ! 俺は逃げない。誰かのせいにしたりもしない。自分の人生を受け止めてちゃんと生きてみせる。それが、お前への復讐なんだ」
実家でピアノを弾いていた英子に響子が言った。
「私はピアノが好き。ピアノが弾ければそれでいい。こんな簡単なことに気がつくまでずいぶん回り道したわ。長い迷路でずっと迷子になってたみたい。でも、出口の無い迷路ってないのよね。あの人もきっと出口を見つけるわ」
響子はつきものが取れたかのような笑顔でそういった。
父親の墓参りにきた竜哉。竜哉は墓に話し掛けていた。自分がこれからどうしたらいいのか聞こうとした。
「こたえてよ、父さん。俺、父さんに生きててほしかった。生きててほしかったんだよ」
それを見ていた路子は喜んでいた。
海岸で、竜哉は路子に告白した。
「俺さ、ずっと走ってた。ずっと一人で走り続けていたんだ。道を間違えてたのに気づかなかった」
そのとき、「耕平、走ろうや!」との声が聞こえた。
幼少時代の竜哉と耕平の幻が見えた。そして、竜哉と幼少時代の竜哉の目が合った。
幼少時代の耕平が「竜哉〜〜何しと〜〜ん」と呼びかけ、そのまま二人は走り去っていった。
アパートに戻った竜哉の前に英子がいた。竜哉は英子に宣言した。
「俺、探してみたい。これから自分に何ができるのか、本当にやりたいことは何なのか。見つかるよね」
英子は、竜哉を大学の陸上部のグラウンドに連れて行った。相変わらず駅伝の練習をしていた。竜哉を見つけた耕平は、「竜哉、何しとん。早く来いや」と笑顔で言った。
耕平が練習している姿を見て、ついに竜哉は走り始めた。圧倒的なスピードで耕平を追い抜く竜哉。そして、竜哉はコーチにもう一度走らせてくれと頭を下げた。耕平も頭を下げた。
コーチは言う。
「お前、いいかげんにしろよ。何だ、あのふざけたフォーム。なってねえんだよ。大会まであと何日だと思ってるんだ。そんなんでアンカーが勤まるか、バカヤロウ! 覚悟しとけよ、じっくりしごいてやるからな」
こうして陸上部への復帰が決まった。
直人たち金持ちグループはそんな竜哉を見て疎ましく思い、慎二に愚痴をこぼすが、もう慎二は吹っ切れていた。慎二は一人暮らしをはじめるため荷物をまとめていた。慎二は、自分が親に甘えて生きていることを自覚し、それを乗り越えるために一人で生きようとしていた。そして、それができたとき由紀を迎えにいけるような気がしていた。
直人たちはそんな慎二に感心していた。
駅伝当日、試合前に英子は竜哉に完成した曲のテープを渡そうとした。しかし、竜哉はゴールしてから渡してほしいという。竜哉はこの試合でやり直せるかも知れないと思っていた。
横断歩道をはさんで、英子は「ゴールで待ってます」といって別れた。そして、振り返った瞬間、由紀がナイフを持って竜哉に襲いかかるのを見た。
「竜哉さ〜〜ん!!」との英子の叫び声に気づいて、竜哉は最初の一撃はかわすことができたが、由紀はなおも襲いかかろうとする。
英子が止めに入ろうと、赤信号だということも知らずに横断歩道を飛び出した瞬間、英子はトラックにはねられた。
駅伝の第一走者が走り出したとき、竜哉は病院にいた。医者によると、英子は肝臓と脾臓が破裂していて、絶望的だった。
集中治療室で英子を見守る竜哉。そんな竜哉を前にして英子はいった。
「私……死ぬの?」
「死なないよ。死んだりしたら許さない。曲さ、聞かせてくれんだろ?」
「駅伝は……?」
「いいんだ」
「走って……お願い……約束……優勝して……迎えにきてくれるって……待ってる……」
「わかった。必ず迎えにくる」
竜哉は「愛してる」と言って英子とくちづけを交わした。そして、中継所へ向かって走り出した。
何とかぎりぎりで間に合った竜哉は、五位でスタートした。
病院にやってきた響子と民代は、ラジオの駅伝の実況を英子に聞かせていた。響子は、竜哉もがんばってるんだから英子もがんばってと励ました。
一人抜き、二人抜き、竜哉は順調に一位を捉えていた。そして、ゴール直前でついにトップを抜き去り、そのまま一位のテープを切った。
英子はその実況を聞いて息を引き取った。
ゴールした後も、周囲の歓迎を振りほどいて英子の所へ行こうとする竜哉。しかし、そこに英子の幻が現れ、そして消えるのを見た。すべてを悟った竜哉は英子の名を泣き叫んでいた。
英子の家に寄った竜哉。響子は竜哉に英子が作った曲の楽譜を渡した。
「英子にとって、あなたは太陽だった。あなたと出会ってあなたに照らされたから、あの子の命は輝くことができた」
『For My Sun』と名づけられたその曲を響子が代わりに弾いた。
(以下はこの曲がBGMとして流れる)
とある病院にて。テディベアを抱えた由紀が慎二に言った。
「由紀ね、大きくなったら慎ちゃんのお嫁さんになってあげる」
由紀はショックで幼児退行してしまったようだった。慎二は何も言わずに例の婚約指輪を由紀の左薬指にはめた。
耕平は実家へ帰る?竜哉との別れを惜しんでいた。耕平は竜哉に来年は絶対レギュラーになると誓った。そして笑顔で分かれた。
竜哉は英子と初めて出会った交差点に来た。英子のことを思い出していた。
そしてモノローグが流れて終わる。
すれちがうだけの他人のままでいられたら
君を失わずにすんだのに
だけど、君は確かに生きていた
君と過ごした時間を、君の残した笑顔を俺は忘れない
消えることのない痛みを抱えて俺は生きていく
生きていくしかないんだ──
・感想
最初は、みんな丸くなりすぎと思っていた。慎二も折原も響子も前回までが嘘のように丸くなっていたので、最初はあまりにもご都合主義だと思っていた。特に慎二に関してはもう人生を悟ったのかとおもって馬鹿にしていた。しかし、あとになって考えると、だいぶ印象が変わった。
あれだけ竜哉にコケにされた慎二は、一番竜哉に復讐したいと思っていただろう。実際、奨学金を打ち切ったりもした。しかし、それは竜哉と同じだと思ったのだろう。人を押しのけることだけが復讐ではない。人に負けない人生を切り開くことも復讐のひとつなんだということに慎二は気づいたんだと思う。そう考えたら、慎二も一歩大人になったなと思うようになった。
折原も、復讐や成り上がりだけが人生じゃないと竜哉に言おうとした。響子も自分の過ちに気づき、最後は竜哉を認めた。結局、竜哉のやってきたことは単なる子供じみたわがままということを改めて示したのだと思う。少なくとも、私はそう受け止めている。今回のあらすじで、前半部分(特に台詞を)を細かくトレースしようとしたのも、こうした意図を読んでいる人にわかりやすく説明しようと思ったからだ。
そして、竜哉を殺すという最悪の復讐をしようとした由紀が幼児退行?してしまったのは、それがやはり子供じみているということの暗喩と思ったりもする。
英子の死に関しても触れておこう。これに関しては最初からモノローグなどで匂わせていたし、事前にテレビ雑誌をチェックしていたので、私はあまり驚かなかった。というより、原作破壊ドラマのくせにここだけ原作と一緒にするなと思った。これはやっぱり、竜哉の若さゆえの暴走が生んだ悲劇ということを示したかったんじゃないのかなあ……
ストーリー全体の感想を述べると、どこか無理やり「若さが生んだ悲劇」にしようとしている感じを受けた。竜哉の復讐も上昇志向もみんな若さのせいにしようとする印象を受けた。元々、原作自体が「若さゆえの暴走」をテーマにしているから、そこだけはあわせようとしたのだろうが、あまりにも陰湿すぎる。復讐方法も短絡的過ぎるし、若さと言うよりはガキの復讐みたいに思えるのだ。しかも、それがうまく成功したりする。こういうところがリアリティに欠けると言われる所以である。
視聴率も最初は好調だったにもかかわらず、後に尻すぼみになったのもこうした面があったのだろう。
一度、近いうちにこのドラマの総括を書きたいと思う(書けたらいいけど)。一応、最後までこのドラマを見守ってきたものの義務として、何かしらけりをつけておきたい。