つい先日、珍しく映画『ファイナルファンタジー』を見た。なんと言っても、あのゲーム界のカリスマ・坂口博信氏が作った超大作である。スクウェアが自らが持てる技術をフルに活用したフルCGの映像である。制作費150億円・制作期間4年をかけた全米2000館公開作品である。黒澤某も北野某も宮崎某も成し遂げていない「ハリウッド進出」を、『ファイナルファンタジー』というブランドだけで成し遂げた映画である。一応私もFFについてレビューを書いている身なので、いつか取り上げようと思ったのだが、元々映画に興味がなかったので書きづらかったのだ。しかも、2ちゃんねるやら知り合いの話から、ひどい映画だと聞いていたのでなおさらだった。
しかし、逆にそんなにひどい映画なら一度見てみるのもいいかなと思った。そしてここで取り上げるネタに困らない、そんな凄い映画だったらいいなという期待を込めてビデオを見ることにした。
そして感想は……確かにひどかった。坂口氏は、あの瀋陽での亡命騒ぎと同じくらい日本人の恥をさらしたと思った。私は映画にしても漫画にしてもレビューを書くときは、単なる「こき下ろし」にはしないように心がけているが、「ファイナルファンタジー」に関しては、こき下ろしという形にしないとレビューが書けなかった。それほど突っ込みがいのある作品だった。今回は、この映画を断罪したいと思う。ちなみに私は、「ファンタジー=中世世界」でなければならないという思想はないので、念のため。
内容は、謎の生命体「ファントム」に侵略されて人類が滅亡しかかっている近未来の地球で、ファントムを消すための「融和波動」を得るために女主人公が8つの生命体=「スピリッツ」を求めて旅をするというものだが……なぜそんなスピリッツが8つに散らばっているのか説明は全くない。しかも、人工細胞の塊にもスピリッツが宿っているところを見ると、スピリッツも案外節操がないらしい。
ストーリーのコアにしても、地球全体がひとつの生命体というという「ガイア理論」の焼きなおしであって、真新しいものはない。そして最後の最後でいきなり意味のない自己犠牲をやったりする。ゲームでは北瀬氏たちが10で自己犠牲を否定したというのに、坂口氏は懲りない人だ。
そして、肝心の映像であるが……どこか盛り上がりに欠ける。爆発シーン、建物の崩壊シーン、人間がファントムに襲われるシーンなど結構見所はあると思うが、いかんせん迫力がないように思える。爆発などの凄さが伝わらないのである。これがCGの限界かなと思ってしまった。
もちろん映画は大コケして、スクウェアは経営的に傾きかけた。映画公開前に坂口氏がスクウェア副社長を辞任したのは、経営責任を逃れるためだったと思うのはうがちすぎだろうか。
私はこの映画で坂口氏を見限った。もうFFは、北瀬佳範氏や田中弘道氏や石井浩一氏や松野泰巳氏や伊藤裕之氏や河津秋敏氏や野村哲也氏や、その他大勢の部下の手に渡っているのだから、坂口氏にはマジで引退してもらいたい。
結局、この映画は、ゲームバブルで舞い上がっていた企業が何も考えずに調子に乗って作ってしまった大作だといえるだろう。そして、自社の体力も考えずに、『ファイナルファンタジー』を利用していきなり新規参入分野の頂点を目指そうというスクウェアという企業の体質の欠陥まで露呈したと思う。もし、スクウェアがハリウッド進出なんて無謀なことを考えずに、映画やCMやアニメなどのCG製作などで地道に足元を固めていけば、もう少し評価が変わったかもしれないのに。