コインを作るためにはまずそのもととなる金属の固まりが必要になります。その作り方は様々ですが、金や銀などのコインは重さそのものがその価値となるため、なるべく同じ重さにする必要がありました。そのため、あらかじめ同じ大きさに作っておいた型に溶かした金属を流し込む方法がよく用いられました。一方青銅貨は重さは厳密でなくてもよいので、棒状にしたものを端から切り落としていく方法が用いられました。

 次にコインのデザインを写す型が必要となりますが、その素材には鉄や、錫の含有量を増やしてより硬くした青銅が用いられました。この型は二つ用意され、表となる面の型はコインを打つ台の側に、裏面はパンチ側に取りつけれました。

  コインを打つ前に、デザインがしっかり写るように金属を熱して柔らかくしておきます。やっとこなどで台に乗せた金属塊の上にパンチを置き、これをハンマーで打つと一度に両面にデザインが施されます。

 型の耐用回数は一万回以上といわれますが、一方の型が壊れると新しいのを作るわけですが、壊れていないもう一方はそのまま使いつづけることが多く、コインの比較年代の決定に重要な証拠となっています。またコインは再利用されることもあり、新しいコインのデザインの下に古いデザインがうっすらと残っていることがあります。