ギリシアの神殿の多くはドーリス式かイオニア式ですが、中にはこれに当てはまらないものもあります。その一つがアイオリス式で、小アジアのアイオリス地方に見られるものですが、シチリアのセリヌンテの神殿などにも用いられています。基本的にはイオニア式と変わらないのですが、柱頭だけは独自の様式を持っています。イオニア式の原形である渦巻き型の間にパルメットを挿入した形をしています。
もう一つイオニア式に似た様式を持つのがコリントス式で、五世紀頃に登場し、ローマ時代には最も好まれた様式となりました。特徴はやはり柱頭にあり、長い柱頭の表面にはアカントスの葉が二段あるいは三段に生え、その上からは巻き蔓が出てアバクスを支えています。古典時代ではバッサイのアポロン神殿やテゲアのアテナ神殿などに用いられましたが、円柱の一部に採用されたのみでした。アテネのゼウス神殿はローマ時代に建てられたものですが、ギリシアに残る最大のコリントス式神殿です。
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