60年代のマンガ

ワンダー・スリー         

 前回で紹介させていただいた「風のフジ丸」と同じ頃に週刊少年サンデーに連載され、やはりテレビ・アニメにもなっていたのが手塚治虫の「ワンダースリー」でした。
 この“60年代のマンガ”では、連載当時のカラー口絵などは手元に殆ど残っていませんので、画像は、連載や放映とほぼ同時進行で作られていた朝日ソノラマのソノシートのシリーズの表紙を使わせていただいております。
 私が小学校の中学年から高学年の頃、誕生日に仲の良い友達を呼んで家で誕生パーティーをやったり、友人の誕生パーティーに呼ばれたりというのが流行っておりましたが、そうした誕生パーティーでのプレゼントの定番が、この朝日ソノラマのソノシートでありました。10ページ前後のカラー小冊子に赤や青の透明ソノシートがついて、300円程度という手ごろな値段で、大抵、3〜4人で小遣いを出し合って買っていた記憶があります。
 なぜか、この「ワンダー・スリー」のソノシートだけは、家が燃料店をやっていたY君の誕生日に、プレゼントとして
あげたのを鮮明に覚えております。

 私は、小学校中学年の頃から、マンガ雑誌は近所の貸本屋で借りておりましたが、少年サンデーだけは時々買っていました。そのサンデーに連載されていたのが、この「ワンダースリー」で、当時、小学校低学年ながらキューバ危機の新聞記事を真剣に読み、核戦争の勃発を本気で恐れるようなマセガキだった私には、「愚かな戦争を繰り返す地球人に反省の色が見えないようなら地球を破壊する」という使命を持って、3人の調査員が宇宙から派遣されてくるというストーリーは、非常に切実に感じられたものでありました。
 手塚治虫の作品ですから、現在も、全集もので読むことができますし、ご存知の方は充分にご存知かと思われますが、3人の調査員は、地球の動物に乗り移って姿を変えており、隊長がウサギのポッコ、それに、アヒルと馬の隊員ノッコとプッコが、地球人のシンイチ少年とともに、悪人どもとわたりあうというような展開が基本型になっていました。

 当時のテレビ・アニメの常として、スポンサーはお菓子メーカーというパターンがあったわけですが、この番組もご多分にもれずロッテの提供でありました。朝日ソノラマのソノシートの裏表紙にはロッテの広告が入っていますが、この広告を見る限り、ワンダースリー・ガムというようなものはなく、当時の、ロッテ・ガムの代表的な商品だったクールミント・ガムとジューシーミント・ガムと共に、確か、月刊少年マンガ雑誌「少年」に連載されていたミスター・ジャイアンツをキャラクターとして起用したミスター・ジャイアンツ・ガムが宣伝されています。
 ということで考えてみると、前回に紹介させていただいた「少年忍者・風のフジ丸」のスポンサーがフジサワ薬品という製薬会社だったことは、結構、異例のケースだったということになりそうです。

 右の少年サンデーの広告も、朝日ソノラマのソノシートに掲載されていたものですが、この頃の少年サンデーには、「ワンダースリー」のほかにも、赤塚不二夫の「おそまつくん」、横山光輝の「伊賀の影丸」、小沢さとるの「サブマリン707」などが連載されており、子供心にも充実していた内容だった記憶があります。当時は、広告のコピーにもある通り、サンデーには「少年雑誌の王者」という風格が漂っていたのでした。私が少年マガジンも買ったりするようになったのは、「ハリスの旋風」や「巨人の星」が連載されるようになる中学に入ってからのことでありました。












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