[少年マンガ雑誌編]
ノーベル磁気健脳器
1960年代の少年漫画雑誌には、少年達を惹き付けて止まない、楽しい広告、愉快な広告、ロンドン、ロンドン…、じゃなくて、楽しい広告、愉快な広告だけでなく、インチキそうな広告、怪しそうな広告、誰が見てもマガイものとしか思えないような広告が沢山あり、大人も子供も、そのインチキそうで怪しそうでマガイものなんだろうなと思いながら、そうした広告の存在を許し、というか、許すばかりか、積極的にそうしたインチキさ、怪しさ、マガイものっぽさを楽しんでしまう大らかさというか、ゆとりというか、世の中の懐の深さというようなものがあったような気がします。
右の画像の「ノーベル磁気健脳器」は、そうした時代のインチキっぽさというか、マガイものっぽさを象徴する代表的な広告であったというのが、幼い私の記憶に刷り込まれている印象であります。
「覚えたら忘れぬ!」というウソっぽいコピー、「ノーベル」とネーミングされた大胆不敵な商品名、「増強!」のびっくりマークだけでは飽き足らず、「記憶力!」「判断力!」「推理力!」にまで、全部びっくりマークを付けてしまういい加減さ。そして際めつけが、覚えたことは全部忘れてしまいそうな眠そうな目をした子供の写真であります。
この広告は、それ自体が印象的だったため、私の記憶に残っているのか、それとも、私の記憶の通り、相当数の雑誌に、かなりの頻度で掲載されていたのか、それとも、類似商品も含めて広告露出が、結果的に他の商品の広告に比べて際立つ結果となっていたのか、よく分かりません。
でも、昭和30年代に幼少期を過ごし、あの頃の漫画週刊誌を沢山読んでいた現在40代前半のオジさん達には、とても懐かしい広告であることは間違いないと思います。
ちなみに、私は、数年前、世の中を大騒ぎさせた新興宗教の修行において重要な仕掛けの一つだった「ヘッドギア」と呼ばれる道具をテレビのニュースで見た時、すぐに、この商品のイメージをダブらせてしまいました。そのインチキっぽさ、怪しさ、マガイものっぽさまで、そっくりそのまま、この商品のコピーではないかと思われるほど、そのイメージは重なりあってしまうわけです。
後で、あの新興宗教の教祖は、実は、私と同世代、どころか、同い年であるということを知り、悲しく淋しい気持ちで、なんとなく納得してしまったりもしたわけでありました。でも、やっぱり、昭和30年代には、インチキっぽさ、怪しさ、マガイものっぽさが漂っていた一方で、そうした雰囲気とは恐らく表裏一体である世の中の大らかさや懐の深さといったものもあったはずだと思うのですが…。

「60年代通信トップページ 「60年代の広告」のINDEXページへ
このページをご覧になって、甦ってきた記憶や確かめたい事実、ご意見・ご感想など、ぜひ、「60年代通信」掲示板にお書き込みください
「60年代通信」掲示板=http://6405.teacup.com/kiyomi60/bbs
お便りもお待ちしています
メールはこちらへ:kiyomi60@bb.mbn.or.jp
(C) 60年代通信
|