60年代通信 HOT TOPICS


「地球ゴマ」を訪ねて
〜タイガー商会・加藤武さんに聞く

<予告編>




 今週の週末も、また、プライベートな用事が立てこんでしまい、昨日、久しぶりに「60年代の広告」のコーナーで「マルサンのプラモデル〜のしのし歩く怪獣シリーズ」を作らせていただいただけで終わりそうな状況になってきております。
 本来であれば、先週の名古屋出張の際に、地球ゴマを製造している千種区のタイガー商会を訪ね、二代目当主の加藤武さんに色々と実際にデモンストレーションをしていただきながら、お話をお聞かせいただきましたので、その地球ゴマの大特集ページを作らせていただこうと思っていたのですが、十分な時間が取れなかったため、取り敢えずの〈予告編〉ということで、サワリの部分だけ、紹介させていただきます。
 まず、既に、「お便りコーナー」でも、蛞蝓なめちゃんがご報告下さいましたように、私も、既に、過去のモノとなっていたと勝手に思い込んでいた地球ゴマは、まだ、現役であり、実際に、商品の製造も販売も行われております。
 加藤さんによりますと、加藤さんのお父さんが、この地球ゴマの製造・販売を始められたのは、昭和の初め、1921年のことだそうでありまして、すでに、今年で、78年もの歴史を誇ることになります。
 加藤さんご自身は、第二次世界大戦が終った後、日本に復員してから、地球ゴマのご商売をお父さんと一緒に始められたそうでありまして、開局したばかりの日本テレビで、テレビCMを打ったこともあったそうです。
 やはり、実際に、動きを見ないと、この地球ゴマの魅力というのは分かりにくいものがありますので、テレビCMを通じて動く地球ゴマをPRしたところ、全国的に大きな反響があったようです。
 さらに、昭和30年代に入り、全国各地のテレビ局からも、CM放映の引き合いがあり、実際に、全国20局ほどで、地球ゴマのCMが放映されたそうです。
 また、すでに、「お便りコーナー」でも紹介させていただいているように、私たちが子供のころ、昭和30年代後半から昭和40年代初めくらいにかけては、『少年』などの少年向け月刊雑誌や『小学1年生』などの小学館の学年誌などで、相当な頻度で、地球ゴマの広告が露出されておりました。
 加藤さんによりますと、地球ゴマの販売実績ということでみると、やはり、その昭和30年代から40年代にかけてが、最盛期だったそうであります。
 私は、事前に、電話で、商品についてお伺いし、地球ゴマは大中小があり、値段は、1500円、1300円、1000円であるということを確認させていただいておりましたので、それぞれ、1個ずつ購入させていただくつもりでしたが、加藤さんに、色々とお話をお聞かせいただき、この「60年代通信」でも紹介させていただきたい旨をお伝えしたところ、加藤さんは、教材セットなども含め、現在、販売されている地球ゴマの商品ラインナップを、すべて、サンプルということで、私にお預けくださいました。
 もともと、大中小3個は購入するつもりでしたから、3個分の代金だけでも支払わせていただこうとお願いしましたが、加藤さんは固辞され、「きちんと地球ゴマのことを紹介してください」とおっしゃるばかりでしたので、お言葉に甘えさせていただくことにし、有難く、地球ゴマのサンプルをお預かりしてきました。


 本編で、また、詳しく書かせていただきますが、要するに、加藤さんも、加藤さんのお父さんも、いわゆる職人気質の方でいらっしゃいまして、いわゆる商売っ気は極めて薄くいらっしゃったため、ビジネス的には、かなり、苦労される結果となられたようであります。
 テレビCMや雑誌広告を全国規模で展開した結果、各地で類似品が登場したものの、類似品は全てが粗悪品で、タイガー商会のような1000分の1という精度を保って作られた本物の地球ゴマとは、その性能は比べるべくもなかったといいます。
 にも関わらず、利益率を最優先する小売業者の皆さんなどは、安く仕入れることのできる類似品を仕入れ、ひどいお店になると、店頭でのデモ販売の際、デモは本物のタイガー商会の地球ゴマで行い、実際に売るのは類似品というようなことをやったため、そんな事情を知らずに“地球ゴマもどき”を購入した子供たちは、片っ端から、その夢を打ち砕かれることになってしまったようです。
 現在は、全国主要都市の一部卸売り業者を通じて、細々と流通しているだけだそうで、その製造・販売量は、最盛期の30分の1にとどまっているといいます。
 加藤さんからお預かりした商品サンプルでは、地球ゴマは大中小どころか、中の大と中の小とでもいうべき大きさのものもあり、右の画像のように、全部で、5種類の大きさの地球ゴマがありました。
 さらに、地球の自転や公転を説明したり、航空機の慣性航法装置の原理や、船舶の横揺れを防止するステイビライザーの原理などを説明するセットなどもあり、これらは、オモチャというよりは、全国各地の高専や大学などで、教材として使われているということです。
 そうした個別の教材や、地球ゴマの遊び方などにつきましては、今後、順次、地球ゴマの特集ページで紹介させていただこうと思っています。
 特に、地球ゴマの色々な遊び方については、それなりに、熟練を要するものもあり、以前から書かせていただいている通り、私の場合、絶望的に不器用な上に、理科系の知識が希薄なため、加藤さんに見せていただいた色々な遊び方ができるようになるまでは、それなりの時間がかかりそうですので、皆様におかれましては、暖かい目で見守ってくださいますよう、お願いする次第であります。
 何れにしましても、実際に、地球ゴマを自分の手元に置いて、ノスタルジーに浸りたいという方、また、ご自分のお子さんや甥子さんや姪子さんに、ホンモノを与えて、楽しませてあげたいという方は、現在、残念ながら、オモチャ屋さんなどの小売店で地球ゴマを購入することは、結構、困難を伴うのが実状のようでありますので、直接、タイガー商会に問い合わせられてはいかがでしょうか。
 タイガー商会が、職人気質の極めて良心的な会社であることは、誠に僭越ながら、この私が、天地神明にかけて保証いたしますので、どうぞ、ご安心の上、加藤さんのところに連絡を差し上げてください。

 株式会社 タイガー商會
 〒464-0076
 名古屋市千種区豊年町17番15号
 TEL:052-711-7111(代)
 FAX:052-711-7121

 加藤さんも、きっと、喜んで、皆さんからのお問い合わせに、お応えくださることと思います。

 ということで、よろしくお願いいたします。





















(C)1999 Kiyomi Suzuki

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