麻宮アテナ…SNKの格闘ゲーム「ザ・キングオブファイターズ」(以下「KOF」)での主要キャラクターの1人でもある彼女が初登場したのはこの作品。
今回は「サイコソルジャー」を取り上げたいと思います。
上下に重力のあるタイプの横スクロールアクションゲームで、プレイヤーはKOFでも御馴染みの「麻宮アテナ」と「椎拳崇」を操作して、敵を倒しながら進んでいきます。
フィールドは4段の足場が続いており、レバー上下で段差を自由に移動しながら進んでいきます。
かつて地底奥深くに封印された魔物が突如復活してしまい、地上は危機に瀕してしまいました。
麻宮アテナと椎拳崇の2人は世界を救うために戦う…と言う感じのストーリーだった気がします。
麻宮アテナは同社のアクションゲーム「アテナ」の主人公の血縁者なので、一応続編と言われることもあります。
プレイヤーの攻撃方法は2つあり、1つはショット(サイコビーム)で横方向に弾数制限の無いショットを撃ちます。
もう1つはサイコボールを飛ばします。サイコボールはストック制となっており、4個まではアテナと拳崇の周りを回転し、ショットで消せない弾のみを防ぐバリア代わりになります。
5個目〜16個までは画面下にストックされます。サイコボールボタンを押すと1つ消費し、画面下のストックがなくなったときはバリア代わりの4個を消費してボールを投げます。
サイコボールの性能と威力は画面下のエネルギーゲージに依存しており、そのゲージが多ければ多いほど効果の大きな攻撃を行うことが出来ます。
ゲージは最大で20マスで増えるほどに色が変わります。
色 | 効果 |
---|---|
黄緑 | ゲージが0〜4マスの段階で、前方一直線にボールが飛び、何かに当たるとその場から上下に飛んで行きます。 威力もイマイチし、敵が上下に並ぶケースが少ないので当てにくいのが難点。 |
青 | ゲージが5〜8マスの段階で、前方一直線にボールが飛び、何かに当たると真後ろに反転します。 壁に挟まれた狭い場所で使用すると使いやすいが…それでも場所は限られる。 |
紫 | ゲージが9〜12マスの段階で、前方一直線にボールが飛び、何かに当たると適当な角度で跳ね返ります。 どこに飛ぶかが分かりにくいのが難点… |
黄色 | ゲージが13〜16マスの段階で、前方に貫通力のあるボールを飛ばします。 それなりに使い勝手が高い…というか最低限これ位が欲しい。 |
赤 | ゲージが17〜20マスの段階で、貫通力のある2個のボールが蛇行しながら前進します。 威力だけでなく上下幅の広さと貫通力(壊せない壁なども貫通する)が優秀ですが、20ゲージ(MAX)にするときは注意が必要。 |
操作系は「8方向レバー+2ボタン」です。
レバーでキャラクターの操作となっており、レバー上でジャンプ。下で下のフロアへの移動となっています。
ボタンはサイコビームを撃つ「ショット」とサイコボールを飛ばす「サイコボール」ボタンとなっています。
アテナたちを操作して、ステージ最後にいるボスを倒すとステージクリアで、全6ステージ。最終ステージクリアでエンディングとなります。
ゲームは残機制で敵や敵の攻撃に当たる、スクロールにより壁に押しつぶされるとミスとなり残機が減ります。
残機がなくなるとゲームオーバーになります。
KOFにリメイクされて登場したことで、知名度が大きく向上した本作ですが、実際のところはそんなに生易しいゲームではないです。
特に初期状態のショットとサイコボールが貧弱すぎで、1〜2面程度ならアイテムの出現数と敵の数の少なさから何とか戦えますが、3面以降は常にサイコビーム3段階目+サイコボールが最低でも10個前後無いと「敵が固すぎるか多すぎて」撃ちきれないという状態になります。
逆に言えば、3面以降でミスをして初期状態に戻ると復活もままならないままどんどん残機を失い続けることになります。正直なところ不満すぎるくらい…
特に最終面でミスをすると初期状態ではサイコビーム1発で倒せる敵が殆ど居ない上にサイコボールを撃ちきっても撃破困難な敵が多数居るため、残機が10機くらい居ても序盤でミスをすると、「リスタート→即死→リスタート→…」の繰り返しで道中だけで全部失う位です。
「最終面なんだから」なのでしょうが、ミスの保険にもならない残機というのはゲームバランス的にはどうなんでしょうかねぇ〜個人的には不満なんですが…
一応、そのフォローなのか最終面はサイコボールの補充がしやすいようになっていますが、それでもエネルギーが12ゲージ以上無いと余り使い物にならないので…
更に一番の不満点は「最強状態が最弱状態に繋がる」ということでしょうか。
エネルギーゲージMAX+サイコボール12個以上の状態になるとサイコゲージを減らすことしか出来なくなり(一応、エナジールームで回復は出来るが、出現頻度はさほど高くない)、更にバリア部分も含めてサイコボール全消失が確定しているという酷い状況になってしまいます。
・サイコボールでもエネルギーゲージが回復する
・エナジールームの出現率が上がる
・効果切れでもサイコボールのストックだけは残る
…など、装備が継続されやすい作りだったら、もうちょっと意味のある最強装備だったのかもしれませんが…
あとは、このゲームの特徴の1つの変身。
フェニックスや竜に変身時にエネルギーゲージがMAXになるのですが、ダメージを受けると徐々に減り、0になると変身が解除されるがそのときにエネルギーゲージは0になり、更に変身した時点でサイコボールが全て無くなるので…これまた解除直後は中盤移行だと戦えません。
エネルギーを残したままステージクリアをすると、そのエネルギーでゲームが継続されますが、それでもMAXを保ち続けるのはまず無理です。
装備が充実していないとき以外は取る必要が無いのがちょっと悲しい…というかゲームバランスが悪いと言ってしまいたい位です。
ゲームのVGMに歌が入っている…という当時にしては珍しい演出もあって「歌うビデオゲーム」などという点でも有名な本作。
KOFでの登場により、再注目されることにはなりましたが…キャラクターとしてはともかく、ゲーム内容の微妙さが気になるかな…。
特に復活の難しさと初期装備の貧弱さが微妙すぎてしまい、3面くらいから一度ミスをすると敵を捌くのが困難となり、何もさせてもらえないまま再びミスをして…の繰り返しになってしまうのは、ちょっと不親切としか思えません。
「最終面でのミス≒(復活できないまま何度もミスさせられて)全滅」という程なのが…最終面初期装備でノーミスできたら神というかチートレベルです。
一応、ある程度慣れると残機が増えやすい所もあるのですが…もうちょっと初期状態でも戦えるようにしてもらえれば、広く楽しめるアクションゲームとなっていたのかもしれません。
更に、エネルギーゲージMAX+ボール12個以上の状態にしてしまうと、遅かれ早かれサイコボール全ロストが待っているのも…「最強状態をずっと保ち続けることが出来たら、まずミスしないだろう」という辺りからの対策なのかもしれませんが…弱体化させすぎです。
正直、やりこむたびに不満点ばかり見つかってしまうゲームバランスは最低レベル…「麻宮アテナ」だから許されたような物ですね。
…とはいえ、KOFでの「セーラー服姿」や「アテナ行きま〜す」等の元ネタ作品でもあるので、興味ある方は触れてみると良いかも知れません。