MSXの名作ソフトの1つともいえるコナミの「夢大陸アドベンチャー」。
今回はこの作品を取り上げたいと思います。
ファミコンの初期の頃、コナミから発売されたソフト「けっきょく南極大冒険」をご存知ならは話は早いのですが、あのゲームの続編に当たる作品です。
とあるペンギン達が平和に暮らす国のお姫様が不治の病に倒れてしまう。
それを治すにはかつてペンギン達がフリーザウルスという怪獣の侵略により追われることになった夢大陸にある「ゴールデンアップル」だけであった。
主人公のペンギンは「ゴールデンアップル」を手に入れるためにフリーザウルス達が住む危険な夢大陸を旅する…。
…と言った感じのストーリです。
基本的なルールは「けっきょく南極大冒険」同様、ペンギンを操作して時間内にゴールまでたどり着くという内容です。
「けっきょく南極大冒険」をご存知ならば想像が付きやすいのですが、『奥行きに向かって進む』ような見た目になっています。
左右キーでペンギンの移動。上下はスピードの調整で上に入れると加速、下に入れると減速、上下に入れないときはその速度が保持されます。他にもボタンでジャンプと攻撃を行う事ができます。
各ステージのゴールまでの道のりには多くの敵や障害物があり、それらを上手く避けて時間内にゴールまでたどり着けばステージクリアになります。
全24ステージクリアでエンディングです。
前作に相当する作品である「けっきょく南極大冒険」は、単に障害物を避けながらゴールまで走り続けるだけという感じでしたが、本作品は色々な要素が追加されています。
1つは敵キャラクターの多様化。前作では単に『障害物の延長線上』に過ぎないものでしたが、本作では当たった時点でミスになったり攻撃してくるものが居ます。
更に3ステージごとにはライバルの「フリーザウルス」と戦いになり、倒すとステージクリアとなります。
また、障害物にも大きな岩などの当たるとミスになる物も追加されています。
敵の多様化により『回避アクション』の部分も多様化され、非常に面白くなっています。
もう1つがアイテムの追加。パワーアップアイテムが何種類か追加され、『移動やジャンプが便利になる物』『敵を攻撃する物』『敵の攻撃を防ぐ物』等があり、
これらを上手く収集し使用することでゲームを有利に進めていくことができます。
こういったあたりもアクションの多様性を深めている要素になっていると思います。
大半のアイテムは道中の「バーター」から購入します。バーターは道中の小さめの地割れの中に居るエスキモー風の(何故かそんなところに住んでいる??)人です。
道中で入手した「魚」を消費することで購入できます。(要するに道中で入手できる「魚」がお金に相当、設定上では物々交換らしい…)
バーターは3種類あり、通常と悪人とサンタクロースがおり、出現場所は全て固定になっています。
悪い(?)バーターは通常のバーターの2倍の値段になっています…基本的には利用しない方が良いのですが、通常のバーターの店を逃したり、どうしても入手したいアイテムが有る場合は…利用せざるを得ないです。足元見すぎです。
また、バーターによってセリフが違うのですが、悪い人は店を出るときに『もっと買っていけ!!』と(ゲーム上では英語ですが)言われます…購入する商品が無くても…
バーターでは商品購入以外にスロットマシンが置いてあり、それで遊ぶことが出来ます。絵柄を揃えると魚を大量にゲットできます。
単純にゴールを目指して進むだけではなくなり、色々なアクションをプレイヤーに要求させるようになり、ゲーム性が大きく向上した作品に仕上がっています。
操作系は4方向キーとジャンプボタンと攻撃ボタンです。
左右はペンギンの移動。上下はペンギンの加速と減速になります。
ジャンプは持っているアイテムによって性能が変化しますが基本的には通常のジャンプです。但し、「水中」「宇宙」「雲に乗っているとき」はボタン連打で上昇、ボタンを放して降下に変わります。
ショットは「ガン」を持っているときだけ、ショットを撃つ事が出来ます。
ゲームは残機制で、敵や敵の弾と岩などの一部障害物にあたるかタイムオーバーでミスとなり、残機が減ります。
残機が無くなるとゲームオーバーになります。
コンティニューは存在しますが、MSXオリジナル版ではゲームスタート時のレベルセレクトの際に隠しコマンドになっており、"NORIKO" か "KAZUMI" と入力する必要があります。
入力後にゲームオーバーになるとタイトル画面に戻る前にF5キーでコンティニューが出来ます。
"NORIKO" は魚は0になりますがアイテムだけ残り、"KAZUMI" は全ての魚とアイテムが無くなるので、"NORIKO" が良いのですが、下位互換の "KAZUMI" を入れた意味は…何なのでしょうか?
ゲームには多種のアイテムがあります。
前述のとおり、様々な効果があります。地図以外はなくてもクリアは理論上は可能ですが、非常に難易度が高くなります。
緑色の靴。スピードの最大値が増える。一度買うと効果は永続する。
プロペラ付きの帽子。ジャンプの長さがボタンの押す時間で調整できるようになる。一度買うと効果は永続する。
拳銃。ショットが撃てるようになる。効果は永続だが、連射は出来ないしパワーアップなどは無い。
1面から購入できるが敵は3面から出るので、2面あたりまでで入手すればよいくらい。
白と黄色の羽。ジャンプ中でも左右に操作できる。これとプロペラがあると操作性がかなり向上する。これも効果は永続。
赤いベル。ワープゾーンに近づくと音がなる。…とはいえ、無くてもワープできるし、ワープしない場合は要らない…と、このゲームでは一番の不要アイテム。
黄色い指輪。水中ステージのイソギンチャクに触れてもよろけなくなる。これも効果は永続する。
赤いネックレス。バーターのスロットマシーンの制限回数3回から無限になる…がデフォルトの3回でも充分多いと思うが…
回数無限でも魚が無ければ追い出される。
白い腕輪。隠しアイテムを出現させる為に必要。初購入できる6面でイキナリ隠しアイテムが出るので、即購入。
白い眼鏡。一部の見えない敵が見えるようになる。眼鏡が無くても出現するときに音が鳴り、影が表示されるので、買わなくても一応何とかなるが、あると便利。
松明。水中面のイカ墨を喰らっても画面が黒くなくなる。
地図。12,18,24面でのみ登場。このアイテムをショップで買わないと途中で残り距離が増えて無限ループになり、ゴールすることができない。
黄色と青のヘルメット。雷を3回防ぐ。3回使用すると消滅するが、またショップで買える。
白の兜。ウニ系の敵の体当たりを3回防ぐ。金のヘルメット同様、使用回数後はショップで再購入可能。
赤い服。蝙蝠系の敵の体当たりを3回防ぐ。他同様、使用回数後はショップで再購入可能。
6面で購入できる腕輪を持った状態で、条件を満たすと「?」マークの袋が出現。
取るとショップのアイテムでは得られない特殊な効果が得られますが、取りそびれると二度と入手できなくなります。
移動性能の向上やミスの要因が減るのは大きいので是非欲しいところです…というか無いとクリアが難しすぎます。
6面でジャンプ中に魚を取り続けると出現。左右の移動速度が上がる。
9面でDIST300付近で出現する羽を取ったらジャンプボタンを連打。岩にあたってもミスにならず躓くだけになる。
13面でカーブの内側を走り続ける。左右カーブの遠心力を受けなくなる。
14面で穴に落ちた状態で←→を入力する。ボスを除く炎系の攻撃を防ぐ…これが無いと後半は死ねるので、13面でワープとかしないように…。
15面でポーズをかけて↑→↓←を入力する。モコモコ岩に当たってもミスにならず躓くだけになる。
各ステージ決められたDIST(ゴールまでの残り距離)になるとハートが出現します。
ペンギンがジャンプをするたびに色が変わり、取ったときの色によって効果が変わります。
点数が増える…余り意味が無い。
残りタイムが増える…これも余り意味が無い。
一定時間雲に乗ることが出来る。ジャンプボタンで上昇でジャンプしないと降下。
効果時間中でも、地面に降りると効果が切れる。
ジャンプ連打で空中に浮き続けると地上の障害物を無視できるので楽に先に進めるが、無敵じゃないので敵や弾に当たったらミスになるのが難点。
また、効果中にハートが出ると、効果が切れるまでピンクと緑にしか色が変わらない。
一定時間無敵になれる。当たるとミスになる敵や障害物を全て無効にできるので安全に先に進めるが、穴や躓いてよろけるのは回避できない。
水色同様に効果中にハートが出ると、効果が切れるまでピンクと緑にしか色が変わらない。
一部のステージでは、スピードを調整してハート出現位置までに無敵時間が切れるように操作し、無敵→無敵→無敵→…と繋げるテクニックも必要になってくる。
特定のDISTでジャンプをすると出現。宇宙に行く事が出来る。
宇宙はボーナス面になっており、ジャンプボタンで上昇、ジャンプしないと降下し、時間切れまで何故か空中を浮遊している魚を回収し放題になる。
色違いの魚は残機が増えるので、是非回収したい。
岩にぶつかると、ボーナスゲームは終了となるがミスにはならない。
特定の地割れに入って↓を入力すると先のステージに進むことが出来る。
基本的に地割れはジャンプで越えるものの為、知らないとまず見逃すし、下を入力させるのが偶然発見させないためのちょっとした仕様という感じもする。
…ショップで購入できる鐘があると近付いたときに音が出る。
しかし、序盤だと魚を集める機会が減るのでアイテムを購入しにくくなり、中盤だと隠しアイテムの出るステージを飛ばしたり…と上手い具合に使いにくいのが…
単純に障害物をジャンプで避けるだけだった前作『けっきょく南極大冒険』とは変わり、アクション性も大幅に向上した面白い作品となっています。
今では家庭用ハードでレトロゲームをプレイする機会が増えましたが、当時はファミコンにも移殖される事は無く、
初の移殖がプレイステーションの「コナミアンティークス」であったため、ファミコンで移殖された前作の『けっきょく南極大冒険』に知名度では及ばない感じになってしまったのは、ちょっと残念…。
しかし、隠れた名作にしておくには惜しいほど良く出来た作品なのですが…思えば、ファミコンに移殖されたかどうかというのが知名度に影響が出てしまう辺りも…何か、ファミコンの遺した偉大なる痕跡というやつなのでしょうか。
ステージクリアの際に、疲れ果てたペンギンが何かを思い浮かべて再び元気を取り戻すというシーンがありますが、
思い浮かべるものが「お姫様」「ゴールデンアップル」「コナミマーク」「モアイ」と「ビール」。
ビールはどうやら、当時、大手飲料メーカーのビールのCMにペンギンのアニメを使用していた事から…らしいのですが、何だか時代を感じます。
24ステージクリア後にエンディングになりますが、エンディングは2種類あり、
『無事に病床のお姫様に「ゴールデンアップル」を渡す』グッドエンドと『既にお姫様は死んでおり、巨大な遺影の前で泣き出すペンギン…』のバッドエンドになっています。
その条件が、何故かゲーム中にポーズを掛けた回数になっており、回数は機種により異なりますが、MSXオリジナル版だと4n+1回だとグッドエンドでそれ以外だとバットエンド…
今ではネットで調べれば条件は簡単に分かりますが、当時にしてはポーズの回数なんて考えもしなかったでしょう。
ランダムでもなければ、気付きにくい条件をエンディングに入れるとは…妙な仕掛けを入れたもので…。