ドラゴンスレイヤー、ザナドゥ、ロマンシア…古くから数多くの大ヒットパソコンゲームを輩出したファルコムが贈る名作アドベンチャーゲーム(以下AVG)
「太陽の神殿 〜アステカ2〜」。
今回はこの作品を取り上げたいと思います。
いにしえより『古代文明の神官が神の国への扉を開くもの』と言い伝えられている「太陽の鍵」とそれが納められている「太陽の神殿」を捜し求めるゲームです。
ストーリーはフィクションですが、プレイヤーが太陽の鍵を求めて進むフィールドや建物はメキシコのユカタン半島にあるマヤ文明の古代遺跡をモチーフとしています。
プレイヤーはフィールド上を歩き、建物の入り口に近付くとカーソルが光ります。このときにボタンを押すと建物の中に入ることが出来ます。
フィールドは固定画面で端に進むと隣のフィールドへ…という繋がりになっています。
フィールドは8×8画面分くらいなのですが、実際に建物がある画面は数画面のみで、大半は上下左右への道があるだけの森ばかりです。
知らないと無意味に何も無い場所を歩き回り続ける事になります。
大抵建物は近くに固まっているので遠くに行くことはないのですが、一部の建物は離れた場所にあるので…。
建物の中に入るとAVG的なモードになり、建物の中のグラフィックが表示され、AVGおなじみの『コマンドを駆使して謎を解き明かしていく』という形式になります。
このゲームで注目なのは、コマンドが全て「見る」「動かす」「取る」等のアイコンとその対象物を選択して行う形式となっています。
この頃のAVGの大半は、『ハナス オトコ』『イドウ キタ』といった感じのコマンド全てをキーボードで手入力させる方式が大半で、
コマンドの入れ方を知らない人は『目的の行為を実行するためのコマンドが分からない』というジレンマがありましたが、
本作ではアイコンを選択するだけで行動することが出来、『見る』等のコマンドの対象物もカーソルで選択するだけなので初心者でも操作しやすい作りになっています。
果たして全ての謎を解き明かし、伝説の「太陽の鍵」を見つけることが出来るのでしょうか…。
操作性が抜群に良い反面、『ゲームスタート時に全ての建物に入れる』『一人旅のために話し相手が居ないのでヒントが無い』という状態のために
『まず最初にどの建物から入ればいいのか?』という状況に陥ります。
今では完全解法はちょっと調べるだけで見つかりますが、当時は殆どノーヒントであり、ネットなんて便利なものは無かった…。
(一応ゲーム中にヒントは無い事も無いが、ヒントだと気付きにくい程度のもの)
どの建物にも自由に入れるので、後に来るべき建物のまだ解決できない謎を見つけてしまって『何かが出来そうだけど何も出来ない』感じばかりです。
それどころか『やってはいけない事』とか『下準備をするまえにしてはいけない事』もあったりします。
そういったことをしてしまうと、謎が絶対に解けなくなり、俗に言う『ハマり状態』になってしまいます。
更に困った事にハマり状態になってもこのゲームにはゲームオーバーの概念が無く、何処でミスをしたのかが分かりませんし、ハマッているのかどうかも分かりません。
(一部リメイク作品ではゲームオーバーになるそうですが…)
先にも書きましたが、ほぼノーヒントのゲームなので、知らないとハマる事が多く、更にハマっているのに気付かないままゲームが進行して、
結局何も出来なくなることが多々…『小説のように読み進むだけのAVG』が多い最近のAVGと比べると生易しいものではなかったと言えます。
解法については、探せばあるはずなので当方では割愛(←手抜き)。
操作系は初代のPC版ではテンキーとスペースキーとエンターキー。移殖版では機種により多少異なりますが、PC版に準じた操作系になっています。
フィールドではテンキーで主人公の操作。キーで建物に入ります。
建物内ではコマンドの選択と実行に使いますが、例えば「見る」コマンドの場合エンターキーでは『周囲全体を見る』。スペースキーだと『カーソルで指定した場所を見る』
…という風に使い分けられているものがあります。
このゲームで登場するコマンドは…
取る:主に落ちているアイテムを取ります。
置く:アイテムを窪みにはめ込む等に使います。
使う:アイテムを使用します。
動かす:物を動かすのに使用します。
押す:対象物を押します。…使うことが少ない反面、重要なところで使うこともあるのがミソ。
引く:対象物を引きます。
壊す:主にアイテムを壊すのに使います。
組合せる:持っている2つのアイテムを組合せます。物によっては組合せる前のアイテムが無くなる事もあるので注意。
洗う:対象物を洗います。水のあるところで使います。結局は最大で2度しか使いません。
待つ:あるアイテムの変化を起こさせるために使うコマンド。
移動:建物内の移動をします。入り口で後ろを選ぶと外に出ます。
…となっています。それぞれアイコン表示されているため、ある意味分かりやすく作られています。
前述のとおり、謎解きの手順を間違えるとクリア不可能な状態なのにゲームは継続する「ハマり状態」になってしまいます。
『扉が開けられない。』『通路が進めないもしくは脱出路が無くなる』『クリアに必要なアイテムが二度と手に入らない。もしくは失われてしまう。』…など、
種類とその場所は様々…気付かずにセーブなどしてしまった場合は、もう泣くしか有りません。
さて、そのハメのうちの1つに「南の泉に金の台座を落とす」というシチュエーションがあります。
金の台座は、ゲーム中盤であるアイテムを入手するために使いますが、使う前に南の泉に落としてなくしてしまうとクリアできなくなります。
しかし、その金の台座、同社のRPG「イース」で何故か登場します。ゲームスタート時の近くの泉を調べると金の台座を拾うことが出来ます。
このイベントをモチーフにした演出らしいですが…落とした人は困ったでしょうね。拾ったアドルは大助かりですが…
余談ですが、実はこのゲームのレビューは、何度か下書きまではしたのですが、幾度と無く没となりました。
没にしたのはレビュー内容がイマイチだったのもあるのですが、実は下書きを書く度になんか悪い事が起きる傾向が何度もあって…迷信を信じるほうではないのですが、
「な…なんだ、古代文明よりの戒めか?呪いか!?」…と、何かそういうたびに完全消去をしていました…。
でも、AVGとしては傑作といってもいいくらいの素晴らしいゲームですし、これをこのまま紹介しないのも勿体無いくらいです。
150もレビューを書いたんだし思い残す事もなくなってきていますし(←オイ!!)
グラフィックも当時にしては素晴らしく描き込まれ、更にその雰囲気を盛り上げてくれる壮大な曲
…まるで古代遺跡の中を冒険している気分になりそうなくらい、演出に気合が入っています。ここまで作ることが出来たのはまさにファルコムの力だったのかもしれません。
雄大なる古代遺跡巡りを兼ねてこの世界に触れてみるのも良いかも知れませんね。
このゲームには隠し要素があり、とあることをすると何故か少女が登場。
更に「H」キーを押すと、ちょっとエッチな…
何故かゲームの世界観とは全く無関係な雰囲気の少女にしかも××までしてしまう…
容量が余ったおまけだったのでしょうかねぇ〜。
ちなみに、本編では主人公以外の登場人物は一切無く、会話が無いゲームなのですが、唯一の会話がここ…なのですね。