個人的名作

Mr.プロ野球(PC-9801他)(クリスタルソフト・1987)

 

 11月22日は「いい夫婦」の日…
 なので、夫婦に因んだものと思いまして、夫婦といえば野球のバッテリーがそれに例えられる事もありますので、 野球の名作を取り上げたいと思います。

 プロ野球シミュレーションゲーム…色々なメーカーが作られていますが、その中で最も秀作なものといえば、 「Mr.プロ野球」ではないかと思っています。

 

【監督になってみませんか】

 プロ野球のシミュレーションゲームですが、このジャンルによくある『プロ野球チームの監督になって試合でチームを勝利に導く』だけでなく 『試合までの間はオーナーとしてチームを運営する』という事まで行います。

 チーム運営まで行うというのがこのジャンルでは珍しいのですが、かといって適当に作られていたりゲームとしての比重が軽いわけではなく、 運営の良し悪しが試合にまで響く事もあります。

 チーム運営は試合と試合の間に行う事が出来、10ポイントの行動ポイントが与えられ、 練習などのコマンドを実行することでポイントを消費します。
 チームには様々なパラメータがあり、そのうち球団資金は一部のコマンドを実行する為に必要です。 試合中にも消費するので資金管理も重要です。
 コマンドの中には11ポイント以上消費するものがあります、そのコマンドはポイントを繰越する事で次回以降に実行することが出来ます。
 但し、繰越されるポイントは余らせたポイントの半分となるので、かなり行動が制限されてしまいます。
 まぁ、11ポイント以上消費するコマンドは実用性が微妙なのが多いので、無視しても良いでしょう。

 チーム運営が終了後には試合が始まります。
 他の野球シミュレーションゲーム同様、攻撃ならバントやエンドランや代打代走。守備なら敬遠や守備位置変更など… 監督として選手達に指示を出す事が出来ます。


…と結構珍しい内容のゲームなのですが、珍しさの割には意外と知る人ぞしるレベルの知名度になっている感じがあります。
 ファミコンでは「日本一の名監督」というタイトルでアスミックから移植されていますが…こちらも結構マイナー…

 

【運営してみるか…】

 チーム運営時のコマンドは次のようになっています。10ポイントを上手く使ってチームを強化して行きます。
(消費欄が実行するときに消費するポイント)
 監督・球団にはパラメータが存在し、 「資金」「魅力」「球団防備」「選手忠誠度」「スコアラ忠誠度」「球場設備」「練習設備」…といったパラメータを上手く上昇させて 試合に有利になるように進めていきます。

コマンド 消費 内容
防備強化 1 チームのスキャンダルに対する防備力を強化します。
特別練習 4 選手1人を選んで練習をさせます。
打者の場合は調子の向上。投手の場合はレベルの回復になります。
球場投資 1 資金を消費して球場設備を増強します。
ホームゲームの際の収入額に影響します。
練習投資 2 資金を消費して練習設備を増強します。
練習の効果に影響します。
スコアラ配置 12 他球団へのスコアラを増員させます。
10ポイント越えのコマンドなので使う機会は殆ど無いです…というか効果がイマイチ分からない。
相手チームの情報収集関連に響くらしいが…
勧誘 2 資金を消費して後援会を増やします。
雑収入(試合後にある程度の収入が得られる)に影響します。
会食 5 資金を消費して選手と会食します。
選手忠誠が増加します。
酒宴 7 酒宴を行います。
選んだお店により、消費資金と監督の魅力の上昇値が変化します。
休養 1 効果が目に見えない様ですが…何かあるかと思う…
練習 2 チームで全体練習を行います。基本コマンドの1つかな…
報奨金 4 選手もしくはスコアラに対して資金を消費して忠誠度を上げます。
仕掛人 18 相手チームの選手1人にスキャンダルを起こさせ、数試合出場停止にさせる酷いコマンド。

相手の主力を1人潰せるのは大きいが、8ポイントを繰り越す為には丸3日間チーム運営が何も出来なくなるのでリスクは大きい。
また、敵チームが逆に仕掛けてくる事もある…というか頻繁にやられる(笑)

実行する(される)と、俗に言う『フォーカス』されてしまい、選手が謝罪会見を行う演出の拘り様が笑える。
 尚、FC版では何故かこのコマンド自体が削除されている。
胴元 10 …効果不明(このコマンドを使った記憶が無い…)
宝くじ 8 ランダムで資金が増やせる事があるようですが、消費ポイントが多いので使った記憶が無い…。
球団ファイル - 球団情報です。相手チームの情報を見ることが出来ます。
選手状態 - 現在の選手の体調を見ることが出来ます。主力が不調の場合は特別練習しましょう。
成績 - 現在の選手のランキングが見られます。
 今では集計されなくなった「勝利打点」…は時代を感じる。

 

【いざ、試合に】

 チーム運営を終了させるといよいよ試合です。
 スタメンと先発を決めたら試合開始ですが、注意点があり、『試合中ではリセット厳禁』です。
 もしリセットしてしまった場合はその試合は放棄試合となり自動的に敗戦で試合中の自軍選手の成績(ホームランや打点など)が全て無効になります。
 不利になったらリセットしてやり直しができないあたり、上手く作られています。


 試合中はホームゲームだと球場を1塁側から見た視点。 ビジターゲームだと3塁側からみた視点に(要するに球場を横から見た感じ)なっているのが、ちょっとした拘りを感じます。

 試合中は自動的に進んできますが、ゲーム中にボタンを押すと試合が中断され、サインなどの指示を送るメニューが開かれます。
 バント、盗塁、エンドラン、敬遠…など野球に良くある作戦を行う事が出来ます。
 心なしか、バントや盗塁のような小技が成功しにくい印象があり、普通にヒッティングさせた方が得点につながりやすい気がします。


 代打やピッチャー交代などの選手の交代ももちろん可能ですが、1つだけ特殊な仕様があります。
 それはピッチャーを交代するときは事前に「投手準備」が必要です。
 投手準備はコマンドで投手に指示する事が出来、最大3イニングまで投球練習を行います。
 投手準備をせずに登板させると「レベル」というパラメータが減少するというペナルティが発生し、投手の質が低下します。

 投手準備は3イニング必要で、それに満たないイニングで交代した場合も「レベル」が減少することがあります。  しかし、投手準備を指示した後に4イニング放置すると、投球練習がキャンセルされ投手の体力が大幅に減少するので、タイミングにも注意です。
 9回のストッパーを用意する為に7回から練習させるのと先発の体力次第では中継ぎを入れるために4〜5回辺りから…が基本です。


 投手には3つのグラフが表示されており、最大値は選手毎に固定で(但し7を越える選手は居ない)現在値は状況に応じて変化します。

 一番上が前述の「レベル」。これだけグラフの色が異なり、投手の全体的な能力を表します。
投手王国の球団では信じられないくらいレベルの高い投手がおり、打ち崩すのが大変な事があります。
 基本的には変化する事がありませんが、体力が無いのにさらに投げ続けたときと投球練習なしで投手交代したときに減少します。
 特別練習でしか回復しないが、無理させない限り減らないので、「レベル」を減らさないように心がけると投手の特別練習をさせる機会が減り、 コマンドの消費ポイントの無駄使いが減らせます。

 2番目が「体力」で、投球を続けるたびに減少します。0になっても投げ続けると、前述の通り「レベル」が減少してしまいます。
 投手の体力を見て次の投手の「投手準備」のタイミングを測る必要があります。 一定の投球で1ずつ減少しますが、ホームランを打たれると強制的に−1されるため、数球で大幅に減らされることもあります。
 体力は試合終了後に微量ずつ回復するようになっており、数人による先発ローテーションになるように上手く作られています。

 3つ目のグラフは…たしか「球威」。日によって変化し、投手の調子に影響します。


 また、代打と投手交代により、選手を起用すると若干球団資金を消費します。一々金を払うのかと突っ込みたくなりますが…仕様です。  また、試合終了後は後援会からの雑収入が入り、更にホームゲームなら入場者による収入があります。
これらの収入は後援会と球場設備のパラメータ値により変化します。また、そこから選手起用の費用が引かれて残りが収入となります…が 収入は微々たるものです…。球団資金は計画的に…
 こんな感じで試合をこなしていき、1シーズン終了時に首位であれば優勝となり、エンディングになります。
 日本シリーズはありませんが、その代わり選手データは12球団分存在し、ゲームスタート時に そのうち任意の6球団を選んでのペナントレースとなっています。

 

【地味だけど】

 大抵の野球ゲームには、派手な演出やフィクションを設ける事によりゲームとしての面白さを付加するのが『野球ゲームによくあること』 なのですが、そういった実際のプロ野球に無い事を取り入れず、単純にプロ野球監督・オーナーとしてのチーム運営という地味な感じを 上手くゲームとして表現する事が出来た秀作だと思います。

 プロ野球シミュレーションゲームとしては試合だけだが徹底的にその内容に拘った「ベストプレープロ野球(ベストプレーベースボール)」。 プレイングマネージャーとして活躍する「やじうまペナントレース」。他には「野球道」…などとそれなりには制作されていますが、 試合とチーム運営の両方を上手く表現し、監督として(リセットが出来ない等があるため)ガチで熱い試合 …ある意味、胃が痛くなる試合を体験できるのは、この作品だけだと思います。

 移殖がファミコンの「日本一の名監督(アスミック)」なのですが、若干演出面が変更されていますが、基本的には似たような内容です。
 ハード制約のせいか、音楽や見た目が若干チープになっているのが残念…あの地味で硬派な見た目を再現してもらいたかったのですが…。

 

【小ネタ】

 練習設備、球団設備投資、後援会などの『資金を消費してパラメータを上げるコマンド』 では投資する金額を多く出せば出すほど効果が上がりますが、投資額が "1" でも効果があります。
 こういうところでよっぽどの金額を使わない限りは簡単には資金は枯渇しないので、資金節約を兼ねて "1" ずつにするのも手です。
 

 選手が怪我もしくは仕掛け人によるスキャンダル発生による出場停止はランダムで発生しますが、その報告はチーム運営画面で起こります。
 発生したときは必ず試合後にメインメニューに戻ったときに強制的にチーム運営画面に移動させられる (普段はメインメニューからチーム運営画面移動を選ばないとチーム運営画面に遷移されない)ので、 発生したかどうかがそれでわかります。
 

 

メニューへ