格闘ゲームブームという時代に入りつつある1991年。データイーストから個性的なゲームが登場しました。
今回はデータイーストの異色アクションゲーム「デスブレイド」を取り上げたいと思います。
ファンタジーワールドではおなじみのキャラクターを操作し、対戦相手を倒すアクションゲームです。
「闘技場」の様な限られた奥行きのあるフィールド内で1対1(2人同時プレイなら2対2)でお互いの体力を減らしあい、
0にすれば倒す事が出来ます。
ゲームの流れは格闘ゲームのようにレバー操作のコマンドで攻撃するのではなく、お互いが組み合って相手を投げて体力を減らしていきます。
投げは組んでから「レバー+ボタン」を入力することで、成立した方が相手を投げてダメージを与えます。
組み合ってから投げに発生するのは基本的には五分五分で、公平に見える反面、ずっと攻め時も守り時も無い状態です。
相手の体力を0にするとステージクリアとなり、次のステージに進めます。自分の体力が0になるか、タイムオーバーでゲームオーバーです。
キャラクターには体力のほかに「OKゲージ」があり、ダメージを喰らう(増加大)か敵にダメージを与える(増加小)により、
ゲージが増加していき、最大になったとき、「上+大技ボタン」の投げ技が「必殺技」に変化します。
「必殺技」は投げ技扱いで組み合う必要がありますが、ダメージが非常に大きいので敵の攻撃を喰らい続けても流れを変える一撃に
なるでしょう。
ゲージマックス時はそれ以上ゲージを増えることもストックすることも出来ず、必殺技を使用するまでゲージは減らないので、
溜まった方は早めに使用し、相手に溜められた場合はいかに使われないようにダメージを与えていくかもちょっとしたポイントです。
敵にダメージを与える方法は投げ技以外にも打撃技もあるのですが、打撃技はダメージが小さい割には相手のゲージ増加量が大きいので
やや実用性が低いです。
投げ技の成立条件は『組み合って一定時間後に「レバー+ボタン」を入力する』のですが、入力は何度でも可能
(早く入力しても問題なし)なので、何度も入力した方が成功率は上がります。要はレバー入れっぱなしで連打勝負になってしまっている訳です…。
また、投げ技は「小技」ボタンと「大技」ボタンを使用したものがあり、「小技」ボタンによる投げ技が成立するとその時点で
攻撃側相手を投げる事が出来ますが、「大技」ボタンを使用した投げ技は成立後、投げが発動するまでの一定時間にボタン入力時間があり、
その間にお互い連打勝負が起こります。攻撃側は連打勝負に勝たないと相手を投げる事が出来ません。
相手を素早く倒す為にはダメージの大きい投げ技を使うしかなく、その投げ技は常に五分五分なので戦略も何もあったものでは
ありません。とにかく『多く投げた方が勝つ』な流れ…。気合いで連打するしかない様です。
操作系は「8方向レバー+2ボタン」です。
レバーはキャラクターの移動と組み合ったときの投げの種類の選択。
ボタンは、先に少し書きましたが「小技」ボタンと「大技」ボタンです。
組み合っていないときは打撃技、組み合ったときは投げ技の種類の選択と投げ勝つための連打に使用します。
ボタン両方同時押しで「ガード」。押しっぱなし中はずっと効果があり、打撃技を防ぐことが出来ますが、
背後からの打撃や組み合いには無効です。まぁ、それ以前に組み合ってからの投げがメインの流れなので余り使う機会が無いでしょう…。
プレイヤーはゲームスタート時に「ファイター」「アマゾネス」「ヘラクレス」「ワーウルフ」「ミノタウロス」
「ビースト」「ドラゴン」「ゴーレム」から操作するキャラクターを選択します。
各キャラクターは「こうげき」「ぼうぎょ」「すばやさ」の3つのパラメータが設定されていますが、その値は全員異なっています。
パワー型で攻めるか、スピード型で翻弄するか…色々な楽しみ方があります…が結局は『投げたもの勝ち』ですから…(笑)
ちなみに、デコの作品ですがこの作品のキャラクターはギャグ路線は全くありません。ガチで濃いです…。
名前はマイケル。能力はバランスタイプで、一応、主人公らしいのですが、特定の条件でないとCPU戦の対戦相手として登場しない上、
プロフィールには「得意技:特に無し」という扱いの悪さ。
更に他のキャラクターが濃すぎる為か、シンプルな彼は余り目立たなくなってしまっている。
…モータルコンバットの「リュウ・カン」並に影の薄い主人公です…。
名前はシンディー。このゲーム唯一の女性キャラ。
スピードキャラではあるが、パワーが低い割には投げの威力もそこそこあり戦いやすい。1コインクリアも比較的楽な気がする。
ダメージを受けたときの悶え声っぽいやられボイスがちょっとエロい…のはガキの頃の良い思い出。
名前はポン。名前がちょっと格好悪いのは…仕様です。
(元々、ファイティングファンタジーのラスボスとして登場。そのときから「ポン」という名前)
パワータイプのキャラクターだが、OKゲージ使用の必殺技がどう見ても「キ○肉ドライバー」…。
名前はボギー。スピードタイプで全キャラの中で最速のスピードを誇る。
攻撃力は防御力はかなり低めだが、投げ技自体はそんなにパワー不足を感じないのは気のせいか…。
…というかこのゲームの攻撃力は絶対にアテにならない気がする。
名前はシャンカール。ファンタジーワールドでは御馴染みの牛男…とは言っても巨人やデブという感じではなくマッチョな感じの見た目。
勿論パワータイプのキャラで足が遅い。
OKゲージ使用必殺技は「ミキサーハリケーン」。技の説明は…いらないですよね。某バッファローな超人っぽい技…です。
名前はフレア。知能が低いが人の脳を食べると知性が得られると信じて王の脳を狙って参加しているらしい…。
知性が低いという設定だけあって、投げ技にも持ち前のスピードを生かしたものではあるが、
余り格好良さに拘っている感じが無い辺りが知性の低さを表現している…。
名前はジョセフ。翼を持たない『カンガルードラゴン』と(ある意味凄い名前で)呼ばれる種族。
巨体や持ち前のパワーを生かした技と炎のブレスを使った攻撃をする。
名前はボドガ。ファンタジーに良くある『石の壁』のような姿ではなく、やや騎士っぽい姿をしている。
石像が徐々に実体化していくデモとやられたときの体が崩れていく姿が個人的に好き。
パワーと防御力が最高でスピードが最低…とゴーレムらしいのだが、このゲームの攻撃力は投げ技に関して言えば殆ど大差ない上に、
防御力が高いのは打撃技に対してであり、放り投げる・叩きつける様な投げ技には逆に弱い
(他のキャラよりもダメージが大きい)ので打たれ強い訳でもないのが悲しい…。
また、1人用モード(もしくは2人協力モード)ではCPU専用キャラクターとして以下のキャラが登場します。
名前はチャーリーで、4戦目〜6戦目の相手のうちの1匹。個人的には使ってみたかった…
頭が5つ有る蛇で自分達の事を "We" や "Our" と言う言葉を使って表現するあたり、
5匹がくっついているんだなと感じる…喧嘩したら大変そうだ。
比較的小技を多用する為か、必殺技の『四肢に噛み付いて引っ張る』だけが印象に残りやすい…
名前はベホロイで、7戦目の相手。
常時プレイヤーキャラに変身する。最初は色が黒っぽい為に区別がつきやすいが、段々と似た色になってくる辺りが芸が細かい…。
しかしこの辺りから敵のHPが非常に高く、ダメージを与えるのに時間を掛けてしまうとタイムオーバーの危険性が出てくる。
名前はパズズで、8戦目の相手。
パラメータは全て最高値でゴーレムと異なり弱点が無い為に高威力低被ダメージになっている。
最強の敵と思いきや、ステージ左右の棘のトラップでハメる事が可能なので、パターン次第では勝てる。
名前はクロノスで、9戦目に登場するラスボス。
魔法使いだけあって、多彩な魔法を使うため、中々近寄れない上に端に追い詰めるとワープで逃げる…足の遅いゴーレムやミノタウロス涙目…
但し、全パラメータは低めで投げ技を仕掛けると大ダメージを与えられる上、スピードが若干遅い為、
足の速いキャラクターやダッシュ攻撃が強いキャラは戦いやすい。
これらの個性的過ぎるキャラクター達に勝利を収め、ラスボスを倒せばエンディングです。
ちょうど「ストリートファイター2」等の格闘ゲームの時代の始まりの時期に登場した作品ですが、
以下に巧妙に攻撃を当てるか等の駆け引きではなく、『組んで連打で投げるプロレスタイプ』の流れである為に、
どちらかというと『知る人ぞ知る』で終わってしまった感じもありました。
そう思って、幾年…某所にてデスブレイドの連無しクリア攻略法に触れる機会がありました。
連無しでは相手に投げ勝てる可能性が低い(連有りでも頻繁に投げ負ける)だけに可能なのか?と思いきや、
『打撃技で勝つ』というもの。
一部のキャラクターの当てやすいダッシュ攻撃の繰り返しや地形を利用してダメージを与える方法など…デスブレイドの
見えなかった一面を詳細に記載されていた事に驚きました。
『攻略法とは表面的な正攻法と思われているもの(組んで連打⇒連つき必須)だけではない』
ということを再認識した瞬間でした。
只、対戦向きなゲームでは無かったのが時代に選ばれなかった理由だったのかも…
とくに「組んで連打」のプロレス系ゲームはどうしても駆け引きに乏しく、的確な頭脳戦・心理戦を要求する格闘ゲームと比べると
どうしても対戦においては面白みに欠けてしまったのかもしれませんね。格闘ゲームブームを境にプロレス系ゲームは殆ど見なくなりましたし…
キャラクターも萌えやデコ風のマヌケさ等は一切無く、硬派で濃くてマッチョで筋肉でなやつらが絡み合う(ちょっと表現がおかしい)…
見た目は印象的なのだが、どうしても時代の流れに乗れるほどの強烈さはなかったですねぇ…