個人的名作113

技脳体(ナムコ・1996)

 

 ナムコが贈る一風変わった大型筐体物ゲームの「技脳体」。
 今回はこの作品を取り上げたいと思います。

 

【全人類全能化計画らしいのですが…】

 専用大型筐体のゲームで、筐体にはプレイヤー側から見て筐体奥側へと続く一直線のレールが3本あります。
 それぞれのレールにはオレンジ色のボールが繋がっており、プレイヤーはそのボールを奥へと押し込んでいきます。
(ボールを一直線にしか転がせないボーリング場を小型にした感じをイメージすると早いかな)
 画面奥にはスクリーンがあり、プレイヤーが押し込んだボールによって様々なアクションが行われます。 筐体はスクリーン側に向かって傾斜があるため、ボールは押し込んでもすぐに手元に戻ってくるようになっています。

 ゲームを開始すると「技(SKILL)」のジャンルのゲームから1つを選んでプレイします。 プレイは1分ほどで終了し、終了後には成績に応じて「能力開眼度」という得点(0%〜100%)が付けられます。
 次に「脳(BRAIN)」のジャンルを同様に1つプレイし、その後「体(BODY)」のジャンルをプレイします。
 成績に応じて途中でゲーム終了となる事は無く、だれでも3ゲーム遊ぶ事が出来ます。また、ゲーム終了後に成績がプリントアウトされます。
 プリントされたものはレシート位の幅の紙20cm程の物で、好成績なら誉められ、悪い成績なら色々書かれたり、 全能化へのトレーニング等が書かれていますが、基本的にはジョークたっぷりな文章になっています。
 コメントの種類が非常に豊富で、技脳体は1人プレイのゲームですが多人数で順番にプレイして結果を見せ合って楽しむのにも適しています。
 

 最終成績は「技」「脳」「体」のポイントの平均になりますが、100%(全て100%)を獲得すると、全能者と認定(?)され、 非常に長い成績がプリントアウトされます。(多分1m以上はあったと思う…)
 それぞれのジャンルには比較的容易なものがあるので、それを選択していけば「ちょっとやりこめば誰でも全能者になれるのでは?」 という感じもします…いや、やり込ませることによって徐々にプレイヤーを全能者へと育てていく(誘っていく?)ナムコの策略なのかも…。 私もその策略にハマっていたのか!!!

 最終成績のMAXは100%と思いきや、実はバグ(?)なのか、ある種目だけ100%を突破する成績を出す事ができるゲームがあり、 それを選択すると100%を超える成績を出す事が出来ます。
 只、100%超過の成績のプリントアウトの内容は90%台と同じ物なので…多分バグだったんだろうなぁ…。
 100%超過は出す事は容易ではないのですが、私はとある縁でその成績を出した方とお会いしたことがあったり…、 その方の全種目100%を出せるまでのやり込みとスキル。 そして、このゲームと「テクノドライブ」への熱意は物凄かったです。

 

【どんなゲームがあるの】

 前述の通り、最初に「技」のジャンルのゲームをどれか1つを選んでプレイします。
 「技」は正確性や精巧さが問われるゲームで、正解との誤差により成績が変わります。

ゲーム名 内容
反応制度  高速で観覧車の様に回転する的があり、1つだけ「◎」他は「骸骨」。
プレイヤーは中央のボールを投げ、「◎」の的を1発で破壊します。
 ギリギリまでボールを画面側に持ち上げてから投げると(正当な方法か怪しいですが)100%が取りやすい。
腕力調整能力  回転式のプレートが現れ、プレイヤーは回転プレートにボールをぶつけると、その勢いで回転プレートが回りだします。
規定された回転数だけプレートを回転させます。
体内時計機能  画面上にストップウォッチが表示されます。
 出現してから1秒ジャストのときにボールをぶつけられればOK。
 ピッタリ賞の範囲が4/100秒らしいのですが、結構ムズイ気がする。
バランス感覚  画面上に2個のストップウォッチが表示されます。
 2個のボールを同時に投げ、同時にぶつけれるようにします。
 1/100秒の誤差も許されないので難易度は高め。


 次に「脳」のジャンルのゲームを1つ選んでプレイします。
 「脳」は考えて回答する形式になっています。正答率と合計タイムで成績が決まります。

ゲーム名 内容
計算能力  3つの数字(1〜6)が表示されます。「足して7になる組み合わせ」の数字をボールでぶつけるゲーム。
「1・2・4」の様に3つ全てという組み合わせもある。
数字認識力  3つの数字が表示されます。それを小さい順にボールをぶつけるゲーム。
 心なしか、100%が出やすい気がする。
言語認識力  3つのカタカナと虫食いの単語が表示されます。虫食いに当てはまるカタカナにボールをぶつけます。
 但し、単語は必ず「食べ物」であり、食べ物にならない場合は単語として成立してもミスになります。
(例:「スイ○」のときは「カ」が正解。「ス」では不正解)
語学力  3つのカタカナが表示されます。
 画面に表示された単語に含まれたカタカナのみを破壊する。コレに登場する単語もやはり食べ物です。


 最後に「体」のジャンルのゲームを1つ選んでプレイします。
 「体」は瞬間的な判断力や短時間に何度もボールを投げつづける持久力が問われるアクション的なゲームになっています。

ゲーム名 内容
条件反射能力  人形が赤い旗を揚げたとき、3つのターゲットから赤い星のみを破壊。
 青い旗を揚げたときは青い星のみを破壊します。
 どちらの手にどちらの旗を持っているか決まっている為、指示する前の手の動きだけで動けるようになるとポイントが高くなる。
宇宙防衛能力  見たまんま「ギャラクシアン」。とにかく敵を逃さずにボールをぶつけて倒しつづけるゲーム。
害虫駆除  蜘蛛をボールをぶつけて倒すゲーム。
 大きなくもを倒すと小蜘蛛に分裂するので両方とも倒す。
 「ところで蜘蛛は害虫じゃないはずだが…」というのは、ツッコまないでおこう…
連続反射能力  画面上部から転落してくる人形にボールをぶつけると何故かトランポリンに乗ったかのようにバウンドします。 また落ちそうになったらボールを当てて…
 その要領で、人形を落とさずに粘りつづけるゲーム。
推測条件反射  唯一100%超過の成績を出す事ができるゲーム。
 アミダくじの上部に「パックマン」と「モンスター」が居て、一定時間後にアミダくじを辿って画面下部に表示される。
「モンスター」だけにボールをぶつけて倒すゲーム。
 キャラの移動前にも判定があるため、移動前にアミダくじを見切って倒す(『推測』『条件反射』といわれる所以)ことが可能。 それが可能なスキルがあれば100%超の成績が出る事も…。
瞬発力  ターゲットが出現した瞬間に出来るだけ早く破壊する。
前半7回は1個。後の3回は2個出現する。
サバイバル能力 ワニワニパニックのような感じで、ワニを倒しまくるゲーム。
反射神経  画面に表示された皿や瓶を只管破壊し続ける。

 

【遊び続けたら、全能者になった気がする…】

 大型筐体物はどちらかというと多人数で遊ぶ形式が多くでている中、一人でも「やり込む事によるハイスコア狙い」という ビデオゲーム的な楽しみが含まれている良作だと思います。大型筐体物の新しい方向性を感じることもできました。

 最終結果が100%を狙うだけなら、「技」「脳」「体」それぞれ比較的容易なゲームがあるのでそれらのコツを掴むだけで比較的容易に 達成する事が出来ますが、全種目100%となると一筋縄では行きません。
 プレイヤーごとに目標を徐々に高めていける「ハマり込んだら簡単には飽きさせない」作りになっているのが巧妙です。

 只、続編(と言えるのか分かりませんが)は「テクノドライブ」というまったく別の筐体の作品で、 「技・脳・体」の筐体を使ったゲーム自体はバージョンアップされる事はありませんでした。
 従って、大型筐体の宿命なのかブームが去ってしまうと数もあっという間に減ってしまいました。  ですが、この「技・脳・体」の面白さは多くのプレイヤーの印象に残ったのではないでしょうか。

 100%クリア時のテキストを書きたかったけど、無くしちゃったなぁ…  

 

メニューへ