個人的名作集がお陰様で100回を迎える事になりました。
100回目には何を書こうか…とちょっと悩みました。キリ番なのでメジャーなタイトルでも書こうかと思ったのですが、
あまりメジャーな作品は他のサイトで充分なくらい語られているので、いまさらここで書いても…と少々敬遠する傾向になっています。
ですが、折角の100回なのでメジャータイトルに手を出してみようかと…
「個人的名作集」の初めの頃のように思い出だけを書く感じで書くのもいいかなと思い、このゲームを選びました。
遠藤雅伸氏の作品「バビロニアン・キャッスルサーガ」の1作目にあたる作品です。
「バビリム王国」に平和をもたらす天界の「ブルークリスタルロッド」が悪魔ドルアーガに奪われてしまった。
ロッドを取り戻す為、女神イシターの巫女である「カイ」がドルアーガの塔に挑むが、ドルアーガの魔力により石にされてしまった。
バビリム王国の王子「ギルガメス(ギル)」は「カイ」を救い出し、「ブルークリスタルロッド」を取り戻す為、
黄金の鎧を身に纏い、ドルアーガの塔へと挑む…そんなストーリーです。
ゲームは1つのステージが塔の1階分に相当し、クリアすると次の階へと進みます。
最終的に塔の最上階の60階(60面)をクリアするとエンディングとなります。
プレイヤーは「ギル」を操作し、迷路状になっている塔の内部で敵と戦いながらステージのどこかにある鍵を見つけ、
扉へと進むとステージクリアとなります。
各フロアには、単に鍵を探して次の階へ進むだけではなく「宝箱」が存在します。
「宝箱」は特定の条件を満たしたときにギルのスタート地点に出現し、回収するとアイテムを得ることが出来ます。
一部、プレイヤーが不利になるアイテムがありますが、基本的には『無いとクリア不可能』『有った方が有利』なアイテムに
なっています。
要するに、『各フロアで宝箱を回収しながら次の階へと目指す』という流れになっています。
操作系は「4方向レバーと1ボタン」です。
レバーは「ギル」の移動です。
ボタンは「剣を出す」です。押している間だけ剣を抜きます。基本的に剣を使って攻撃するときはボタンを押しっぱなしにします。
剣を出していないときは盾を前面に持っている状態になっています。盾は敵の魔法使いの魔法攻撃を防ぐ事が可能です。
剣を抜くと前面に盾を持っていないので前面からの魔法攻撃は防げませんが、盾を左側に構えている為、
左からの魔法攻撃を防ぐ事が出来ます。
只、盾で防げるのは魔法攻撃のみで敵の通常の攻撃は剣を抜いた状態で敵と接触し、倒す事で最小限に抑えます。
敵の攻撃にやられてしまうかタイムオーバーで残機が減り、0になるとゲームオーバーになります。
ドルアーガの塔の各フロアは迷路状になっているが、フロアごとにその迷路の形は固定となっています。
また、各フロアに出現するモンスターの種類と数は常に固定で、
宝箱の出現条件と得られるアイテムも各階で決まっています。
只、ギルのスタート地点と次の階への扉と鍵の場所だけはランダムです。(幾つかの場所から無作為で選ばれる)
同じフロアでも場所によっては敵の攻撃を避けにくい場所があったり、
宝箱の出現条件を満たす為の条件や回収に手間がかかることがあります。
つまり、敵の対処法やクリアまでの手順を知っていても、その実践方法が毎回異なります。
(敵の魔法使いの攻撃から比較的安全な場所へ最短距離で移動しようとしたら他の敵が妨害されそうな場所に居たので遠回りする羽目に…とか、
宝箱の出現条件までフロアの端から端を何往復もされる…等)
しかし、「異なる」とは言っても「クリアはほぼ不可能」になる程、理不尽な構成にはならないのが、このゲームの巧妙な部分です。
「ギル」のスタート地点や扉の位置はステージスタートまで分からないので、登場してから20年以上経ったゲームであるにもかかわらず、
何度プレイしてもステージスタート時には多少のドキドキ感というものを感じます。
大体、ゲームの進行自体に「ランダム要素」を取り入れた場合、多少なりともゲームバランスが悪くなる傾向になるもの
(最善パターンと最悪パターンの格差が開きすぎているものが多いことが原因)なのですが、
「ドルアーガの塔」は逆にその『「ランダム要素」を楽しめてしまう。』と言った、稀なことが起こって居るゲームになっています。
どうしてそんな作りになっているのか…私が思うには『ランダムの最善パターンであっても最悪パターンであっても、
やることは極端に変わらない
(基本的にはステージ全体を敵を回避しながら移動して回る必要があるので何処がスタートでゴールでも影響が少ない)』
ということがあるのかもしれません。
「ランダム要素」がゲームに緊張感を与えている良い例ともいえるのかもしれません。
各フロアにある「宝箱」。出現条件は発売当初、メーカーは未公表で、多くのプレイヤーが自力で調べ、
(当時はインターネットなど有りませんでしたから)直接情報を伝え合って広まっていった…というのはこのゲームをご存知の方なら
有名な話。 私が「ドルアーガの塔」をプレイし始めたことには既に筐体に宝箱の出現条件の紙が張ってありました。
(今現在では宝箱の出現条件は、ちょっと調べれば簡単に分かるので、いまさらここに書く事も無いですよね)
宝箱の出現条件だけでなく得られるアイテムの効果自体も未公表…調べた方々の努力には頭が下がります。
メーカーの公表が無かった為か、ファミコン版の「ドルアーガの塔」攻略本には出版社によって宝箱の効果が異なっていたり
したこともありました。
私がそんな中で一番疑問になったのが「ブルークリスタルロッド」の効果。
ストーリー上でも重要な位置付けのこのアイテム。ラスト直前の58階で入手できるのですが、その効果は攻略本によって
様々で…挙げていくと「無いとクリア不可能」「ゲーム上では不要」
「60階(ブルークリスタルロッドを立てるシーン)がクリアできない」等…
実際には『59階に登場するドルアーガが倒せない』(※アーケード版で確認)です。
…今では『隠し要素はいずれ全て紹介する』というのがこの業界の慣わしになっていますが、
それが余り意識されていなかった頃はこういった(今では)微笑ましいことも起こったのですね。
「宝箱」のアイテムで最終的にはギルの装備は「黄金の武器・防具」から「青いラインの入った黄金の武器・防具」に
変わっていきます。
「ドルアーガの塔」の正式な続編「ザ・ブルークリスタルロッド」では
「ギルの成長に伴い、黄金の鎧がクリスタルロッドと同じ青い輝きを纏うようになった。」という様に語られています。
後付け設定とも受け取れなくも無いのですが、「バビロニアン・キャッスルサーガ」という一つの物語として見ると、
この設定のほうが素敵な感じがします。
ですが、「ドルアーガの塔」では「青いラインの入った装備品」になる前に「赤いラインの入った装備品」になるのですが、
赤の位置付けについてはストーリー上では語られていません…。
(正式な続編の「イシターの復活」ではそれらの装備品は塔の途中で捨てられていた…)
「バビロニアン・キャッスルサーガ」は、カイがブルークリスタルロッドを取り返すために塔へと挑む「カイの冒険」。
ギルがドルアーガを倒し、ブルークリスタルロッドを取り返した「ドルアーガの塔」。
ギルとカイがブルークリスタルロッドを持って塔から脱出する「イシターの復活」。
ギルとカイがブルークリスタルロッドを天界へと返す「ザ・ブルークリスタルロッド」。
「バビロニアン・キャッスルサーガ」は10年越しで完結。素晴らしいストーリーであったと思います。
また、ストーリーだけでなく、ゲーム自体もとても素敵な作品ばかりで、当時は珍しかった要素
(キャラクターの成長やパスワードによる継続プレイ等)が数多く、非常に注目された作品でした。
今でも多くのファンを持ち、今でもプレイしても楽しめる名作…。
偶然なのか計算なのか分かりませんが、ゲームの面白さがしっかりと詰め込まれ、楽しさへの工夫が盛り沢山の作品であったと思います。
だからこそ、「ナイトメアオブドルアーガ」とか「ドルアーガオンライン」の様に
『ゲームメーカーは立派な商品と作品を作り出さなければならない立場』であるにもかかわらず、
中途半端な意気込みで作ってしまった「ドルアーガの塔」の三流アレンジを見ると腹が立って仕方ないんですよね。
まぁ、開発したメーカー自体が三流だったからね…
(また、変な締め方だな…)