憲法改正国民投票(2006年6月25、26日)
 この国民投票は、総選挙で敗れた中道・右派が政権担当時に準備したもので、政権交代後に
 国民の判断を求める形となった。共和国憲法第2部の改正案への賛否を求めるものであり、
 主として首相権限の強化と地方分権の拡大に重点がある。
 それ自体は、ある種時代の要請に適合したところもあるが、この改正案の推進の中心である
 北部同盟に見られる南部をお荷物扱いする姿勢や、すでに中道・右派政権が進めた予算削減
 などによる地方財政の苦境から、南部では右派の改正案が地方切捨てとも解釈された。
 結果は、中道・左派のすべての勢力のほか、中道・右派からUDC(旧DC系中道政党)の一部
 も改正「反対」に終結し、北部のロンバルディーア、ヴェネトの2州(どちらも中道・右派
 政権の州)以外のすべてで「反対」が多数を占めた。
 今回の国民投票は憲法改正のための国民投票であるため、昨年に実施された生殖医療に関す
 る国民投票(賛成多数ながら投票率が50%を割り、投票自体が不成立に)のような個別争点
 の国民投票と異なり、有効投票率(50%)は適用されない。
 ちなみに投票率は53.7%であり、左右の対立による総選挙の延長戦と、憲法をめぐる危機感
 が近年の国民投票よりも高い投票率に現われたといえるであろう。
 

州名 賛成反対合計
票数票数票数
ヴァッレ・ダオスタ 35.7 64.3 100.0
ピエモンテ 43.4 56.6 100.0
ロンバルディーア 54.6 45.4 100.0
トレンティーノ=アルト・アディジェ 35.3 44.7 100.0
ヴェネト 55.3 44.7 100.0
フリウーリ=ヴェネツィア・ジューリア 49.2 50.8 100.0
リグーリア 37.0 63.0 100.0
エミーリア=ロマーニャ 33.5 66.5 100.0
トスカーナ 29.0 71.0 100.0
ウンブリア 31.3 68.7 100.0
マルケ 33.9 66.1 100.0
ラツィオ 34.6 65.4 100.0
アブルッツィ 33.3 66.7 100.0
モリーゼ 28.3 71.7 100.0
カンパーニャ 24.7 75.3 100.0
プーリア 26.5 73.5 100.0
バジリカータ 23.1 76.9 100.0
カラーブリア 17.5 82.5 100.0
シチーリア 30.1 69.9 100.0
サルデーニャ 27.7 72.3 100.0
国内合計 38.3 61.7 100.0
国外合計 52.1 47.9 100.0
国内+国外 38.7 61.3 100.0


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