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 イタリアの北部/南部はどのように分けるか?   (解説は地図の下です)
 イタリアの大きな地域分けには2分(もっとも日常的)、3分、4分する場合が多いです。

 島嶼部を一つの地域として4つに分けて数えるのは、内務省の選挙統計などの行政的な場合だけで、
 普通は北部・中部・南部に3分する場合(図の黒字題字と黄色線の区分)も、北部・南部に2分する
 場合(図の赤字題字と赤点線の区分)も、島嶼部は南部の一部となります。

 この区分にはイタリア統一以前の各国の領土など、それなりに歴史的な意味もあり、おおざっぱに、
  北部=もとのヴェネツィア共和国、ミラーノ公国→オーストリア領ロンバルディア=ヴェネト王国
     サルデーニャ王国(現在のピエモンテ州が根拠地)
  中部=もとのトスカーナ大公国、教皇国領(現在のラツィオ、ウンブリア、マルケ州)
  南部=もとの両シチリア王国(ナポリ王国)
  島嶼部=サルデーニャ島(サルデーニャ王国領)、シチーリア島(ナポリ王国領)
 というふうに考えることができます。

 しかし、この伝統的な区分はその後の社会変化で現状に合わない部分も多く、選挙結果や経済の分析
 を行う研究では、研究者が独自の区分を設けたりしています。たとえば、
 ・南部とされるアブルッツォ州はラツィオとの経済的つながりが強く、工業化も他の南部の州よりも
  進んでいる。
 ・北部でも、フランス、スイスとの結びつきの強いロンバルディア州、ピエモンテ州のある北西部と
  オーストリア、東欧との交渉が多いヴェネト州、フリウーリ=ヴェネツィア・ジューリア州を含む
  北東部では様相が異なる。欧州議会選挙の5大比例区では両者は分かれている。
 ・エミーリア=ロマーニャ州は、歴史的にも旧教皇領の一部も含んでおり、中部と共通性が多い。
  選挙結果でもトスカーナ、ウンブリア、マルケと合わせて左派が非常に強いという共通性がある。
 などの点はよく指摘されます。


 参考文献 
  馬場康雄・岡沢憲芙編「イタリアの経済」早稲田大学出版部

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