07年7月11日 第9回見仏ツアー やはり京都はガツンときました。  
(京都 東寺・六波羅密寺・清水寺 )

京都は今回も二人旅…

今回の第9回ツアーは2年ぶりの京都です。
しかし今回も T 隊員は急用で来られないとの事…
「俺ってつくづく京都には縁がないんかなぁ〜」って電話越しに聞く T 隊員の声は少し寂しそうでした。
今回もN隊員と二人旅になりましたが、元気に参りましょう。
今回のツアー計画は、お決まりの「東寺」の立体曼陀羅でガツン。次に「法性寺」の国宝「千手観音」で癒され、次に六波羅密寺の「空也上人像」で再びガツン、最後は清水寺で京都の景色に癒されるという「ガツン&癒し」という贅沢なツアーです。二人の乗った車は京都を目指して東へ東へと走ります。


東寺の慶賀門で弘法大師に諭される

今回も京都駅南に車を置き、歩いて東寺を目指します。
生憎の雨で、早く境内に入りたいばかりに、私はすぐ近くにある東門(慶賀門)から入ることにしました。前回(2年前)に東門から入ろうとしたN隊員に、「お寺は南大門から入るのがスジというもの」と説教した私に「この貼り紙を見よ」とN隊員。
その貼り紙には弘法大師のお言葉として、
「境は心に随(したが)って変ず…」と。
環境は心にしたがって変わるもの、つまり心が汚れていれば環境も濁って現われる。従って地道にこつこつ努力しぬいた人が最後に勝利すると…
心の中で「ハハーッ」とひれ伏す私たち。
でも雨脚が強まってきたので結局東門から入ることになった心の濁った私たちでした…
金堂に入る前に、南大門、そして「修行大師」の像の方向に向かって「スイマセン」って合掌して謝る私達。


やはりガツンと来た「立体曼陀羅」

まずは金堂。
中におられる薬師三尊にはいつものようにグッと来ます。
相変わらずぶっきらぼうなお顔の薬師如来さまに対して、「微妙なにっこり顔」の日光菩薩、「優しいにっこり顔」の月光菩薩。この対比がまた良いです〜とくに月光さんの腰のセクシーな「ひねり具合」にはやられます。

そして立体曼陀羅のある講堂にいよいよ突入します。
まさにガツン状態の連続。「密教とはこういうものだ!よ〜く見て行け!」って武器を振りかざす持国天。まさに「立体曼陀羅のファースト・インパクト」と言えるこのお方。N隊員お気に入りのこの像の前で彼は動きが止まってじっとしている。
私は一気に先に進み、お気に入りの「降三世明王」に逢いに行きます。相変わらずカッチョイイお方。丁度左足でオッパイを踏みつけられている「烏摩(ウーマ)」から「ギャ〜ッ」て呻き声が聞こえてきそう。そしてさらに奥に進んで「広目天」のあたりから「降三世明王」の真後ろにある「第四の顔」を覗き込みますが、暗いし「不動明王」の膝も邪魔でやっぱり見えにくい。かろうじて顔のシルエットが見えるだけ…そして再び中央に戻って「大日如来」の前に立ち、お賽銭を上げて「般若心経」を唱える。しかし何故か途中どこまで唱えているのか分らなくなって、何度もリフレインする私(汗)。
これは「お大師さんの教え」に背いて近くの東門から入った罰なのか…?改めて「大日如来」の顔を見ると普段にっこりしているお顔が厳しく見えて、「修行が足りんわ!」って言っているようにさえ思えてしまう…
ようやく追いついたN隊員にそれを話すと「俺は持国天に笑われたよ」って。
彼によると、拝んだ後顔を上げて再び「持国天」の顔を見ると「ガッハツハツ」って笑っているようにように見えたとの事。「しょーがない奴らだなお前らは」って笑っていたのか…?
とにかくガツンとやられまくりの講堂でした。
その後「納経堂」で朱印をもらって、第二の目的地「法性寺」に向かいます。


拝観できずにガツンとくる

東門の外でタクシーを捉まえて「東山区にある法性寺へお願いします」。
しかしタクシーの運転手は、このお寺の詳しい位置が良く分からず、地図を何度も見直したり、タクシー会社に携帯で問い合わせながらようやく到着(あまりメジャーなお寺ではないようね)…
法性寺は東福寺付近の住宅街の中にひっそりとあるお寺で、良く見ないと通り過ぎてしまいそうなこじんまりした印象。
早速門の外にあるベルを鳴らします。しかし…
「あの〜本日拝観を予約した○○ですけど」
「えっ?今日は拝観の予約は入っていませんけど」
「ええ〜!?確か今日10時から11時の間に来ますと先日電話連絡したのですが」
「はい、連絡は受けていませんが」
私は意気消沈して
「そうですか、では今日は拝観は無理ですか?」
「はい、すいませんけど」
私の電話した時の伝え方が悪かったのか、法性寺内で予約したことが伝わっていなかったのか…?いずれにせよ拝観は諦めざるをえません。

私「これも罰かな?」
N隊員「しかたないやん、どっちにせよ、縁がなかったってことでしょう」
と大人の意見を言うN隊員と、次の目的地である「六波羅密寺」のある方向にトボトボ歩きだします。

こんな「ガツン」に見舞われるとは…本当はガツンと癒しが交互に来るツアーにしたかったのですが、続けてガツンが来たせいもあり、次の「六波羅密寺」までチョイお疲れ気味に次の目的地に向かわねばなりません。歩く元気もなく再びタクシーを拾う。


「空也上人」以上にガツンときた「運慶坐像」

私には約20年ぶりの「六波羅密寺」です。昔あった(と思う)土塀は無くなって、新しく美しいデザインの鉄製の柵に囲まれてちょっとモダンに変わった印象です。
本堂で受付を済ませ、一直線に宝物館に向かいます。
宝物館の扉を開けた瞬間、いつものように正面に飛び込んでくる「空也上人立像」。空也さんのお顔がこちらを向いているので、口から飛び出た六体の阿弥陀もこっちに向かって並んでいることになり、一瞬見えない。思わず「あれっ、阿弥陀さんたち何所に行ったのかな?」…ちょっと斜めに回って空也さんを見るとちゃんと口から出て並んでいることに気付いてホットする。そして空也さんの腰を曲げて前向きになるアンバランスな体勢に見ているこちらも真似してツイツイ硬くなる…
そして今回空也さん以上にガツンと来たのが「運慶坐像」でした。
数珠をしっかと握りしめて、ギラギラ光る目を大きく開いて正面を見据えている。私はこのリアルな運慶さんと目が合った瞬間、ピタッと動けなくなりました。私と運慶さんの間に低い柵があるのですが、それに手を付いて、身を乗り出すように運慶さんとわずか1m足らずの距離で見つめあう。見れば見るほどだんだんのめり込んでいきます。突然運慶さんが「カーッ!!」って数珠を振り上げそうで、急に動き出しそうで正直怖かったです。「ヤバイ!」って思っても中々目が逸らせません。それくらい生気に充ち溢れた運慶像。その二つお隣には、運慶さんの長男にあたる「湛慶(たんけい)坐像」もありますが、運慶像のビンビンに発せられるオーラには敵いません。宝物館には私とN隊員と受付のオジサンの三人だけですが、まるで私と運慶さんの二人きりの世界に入ってしまったかのようです…
「ヤバイ、ヤバイ…」と呟きながら本堂に戻ってくる私(本当に怖かった)。
本堂で朱印を貰いながら、受付のオジサンにそのことを話すと、「あんたその若さでホンマ凄いこと言いますな〜」って驚いていました…
しばらく本堂内の畳の上に座って二人休んでいました。中央の逗子内に居られる秘仏の本尊「十一面観音」に向かって「般若心経」を唱えるが、またまたリフレイン…どうしてしまったのか今日の私。


清水寺でようやく癒される

清水寺までは歩いて向かいます。
坂を登りだすとアジア系の観光客がだんだん増えてきます。
仁王門を通過して、途中「髄求堂(ずいくどう)」の胎内めぐりをした後、一気に「清水の舞台」のある本堂に向かいます。とにかく癒されたかった。
本堂で鐘を叩いて、厨子の前に居られる本尊前の「お前立ち」千手観音に向かって唱えた「般若心経」。ようやく間違わずに唱えることができました。
そして「清水の舞台」に立ち、今まで巡ってきたお寺の方角を望む。雨は既に止んでいましたが、どんよりした雨雲が京の都を覆っている…
ようやくホットできました。

しばらく休んでから、本堂脇にある、前回も行った茶屋で前回同様私はカキ氷、N隊員はところてん(黒酢)を注文。お互い一口ずつ分け合って、「冷たいと酸っぱい」の「ガツン」を共有(しかし変な親父たちだなぁ)。
思えば想定外の事が起こったり、「運慶坐像」に恐怖を感じたり、本当に「ガツン」続きの今回の見仏ツアー。やっと最後の地「清水寺」でちょっとだけ癒された感じです…


最後に肩の荷が下りた

帰りの高速。サービスエリアの休憩所でN隊員と話し合います。

私はN隊員に訊いてみたいことがありました。
「もう見仏ツアーも9回目になるけど、得る物ってあった?」
「いつも思うんだけど、ほら樹海や霊場って行くと、何か霊や魑魅魍魎なんかが体にとり憑いて肩が重たくなるって言うやろ」
「ほ〜っ、見仏で何かにとり憑かれたってこと?」
「いやいや霊じゃないかもしれない、もしかして普段の仕事や嫌な事などから来る"しがらみ"かもしれないけど、時々肩が重たくなることがあるんだけど、仏像を見るたびにそんな重みが一つ一つ無くなって、体が軽くなることがあるんや」
「見仏で体が軽くなるって良いじゃない」
「うん、だからいつも見仏に誘ってくれる会長にはホント感謝、感謝と思っているんや」

仏像鑑賞ツアーをやって本当に良かったと思った瞬間でした。
こんなにN隊員と話し込んだのは高校時代以来か?気がつけば1時間以上休憩所で話し込んでいました。

さあ姫路に帰りましょう。
今度こそは欠席したT隊員入れて3人で行きましょう。

休憩所を出て駐車場に向かって歩き出す。私も何か体が軽くなった感じ。

空を見上げると、ようやく晴れ間も出てきました…

清水寺にて。午前中に降った雨も昼過ぎにはようやく上がりました。
どんよりした雲が京都の街を覆っています。私も心も重たかった…

「境は心に随って変ず。心垢(けが)るるときは則(すなわ)ち境濁る。」
この言葉がグサッと…きます。

南大門そしてお大師さんに向かって謝ります。そして雨の中、傘を差しながら金堂の撮影に必死なオジサン

雨の金堂。

前回と同様、講堂を出た後茶屋で「抹茶ソフト」を舐めながら見た五重塔。

六波羅密寺付近で見た恐ろしい(?)飴、「幽霊 子育て飴」。
ナメテ舐めたら何かにとり憑かれそう…

このお方の前で動けなくなりました。恐怖さえ感じた「運慶坐像」(パンフレットから)

「六波羅密寺」の境内で「一願石」を廻すN隊員。願いを込めて三回廻すと願いが叶うとか。「マニ車」みたいなものか?

ようやくホットした表情の私。

「本当は隠れて釘使っているんじゃないの?」ってN隊員の言う「清水の舞台」の足組みを下から覗く。

交互に「ガツン」を味わった変なオヤジたちでした。

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