07年3月17日 ご近所見仏 東播磨の観音霊場をぶらぶらと  
(兵庫 加東市 清水寺・朝光寺・光明寺 )

とにかくぶらりと出かけてみました。

今日は平日の休みを頂いて、昼過ぎまでは暇が出来そうだったので、とにかくぶらっと出かけてみました。
まずは、「御嶽山清水寺(おたけさんきよみずでら)」。
西国三十三箇所巡りの第二十五番霊場として有名です。
実はこのお寺は、お正月の初詣で10年位前までしょっちゅう出かけていて、私にとってなじみの深いお寺ですが、いつも正月は大混雑で、しかも家族連れ。ゆっくり巡ることが出来ず「いつかはゆっくり一人で来よう」と思っていながら中々行けなかったのが現状…
時間が余裕あれば、他にもいくつかお寺を巡ってみようと思いながら車を走らせました。


地蔵菩薩に圧倒された清水寺

「今日はゆっくり巡るぞ〜」って朝早くから到着。モチロン仁王門前の駐車場には私一人でした。
車を降りたとたん、強い風に戸惑う。山頂のお寺だけあってとにかく寒い…
昭和55年に再建されて、最近塗りなおされたばかりの鮮やかな仁王門をくぐって、参道を歩いていきます。

まずは「薬師堂」。
小さい堂内中央に本尊「薬師如来」さんがいますが、その廻りを平成13年に彫刻家の薮内佐斗司氏が創った「十二神将」の半身像が囲んでいます。
それぞれの干支を表したかのように、色々な動物をモチーフにしているみたいですが、何か違和感が拭いきれません…アイデアは面白いのですが、動物たちに守ってもらって薬師如来さんも戸惑っているようにも見えてしまいます。

次に清水寺の本堂というべき重文の「大講堂」。
中にはこのお寺の本尊である「十一面千手観音」さんが居られます。本陣内の中央にデンとずっしり構えて座っておられます。
厳しい眼差しでコッチを見ています。昔どこの町にもいた、「子供たちにしょっちゅう注意するオバサン」ぽいお顔(変な例えだなぁ)に逆に親しみを感じます。
朱印を頂いた後、100円を納めれば、内陣の周りをぐるっと廻って拝観することが出来ることに気付く。初詣の混雑した堂内ではそんなことなんて全く気付きませんでした、早速100円納めて拝観することにします。内陣の後ろは「宝物館」的に色々な宝物が陳列されていました。焼失した仏像の腕や、色々な巻物、昔の「伽藍配置図」等々…
特に面白かったのは、「弁慶の碁盤」。
平安時代、当時書写山円教寺に滞在していた弁慶は、暇を見つけてはこの清水寺に来て、囲碁を楽しんでいたそうな。あるとき一手差で負けた弁慶が悔しさで怒って碁石を碁盤に怪力でめり込ませてしまったそうな…(おお恐)。
その後受付にいたお坊さんとチョイお話をしてから、「大講堂」を出ました。
次は「大講堂」横の階段を上がったところにある「地蔵堂」です。

小さなお堂ですが、入った瞬間ビシッと身が引き締まりました。
そして中央に居られる本尊の「地蔵菩薩坐像」と目が合った瞬間、金縛りに逢った様な感覚に襲われます。ちいさな子供を抱いて厳しい眼差しで前を見据えている。その厳しい眼差しとは裏腹に、子供の頭にそっと乗せている手がなんと優しいことか…昭和12年に東京芸術大学の名誉教授である菅原安明氏の作ということですが、「グッと来る」を通り越して、圧倒されまくりのお方でした。
そしてこの「地蔵菩薩坐像」の周りを、水子供養や幼くして我が子を失った親達が納めたと思われる小さい石仏が囲んでいます。
「ここは浮かれた気持ちで入るところではないな…」って思った瞬間、ゾクッとしました。石仏を納めた人々の「念」が満ち溢れている神聖な場所でした。
その後、階段を上りきったところにある「根本中堂」や正月に鐘を撞かせてくれる「鐘楼」など巡りましたが、何故かあの地蔵菩薩が忘れられずにもう一度「地蔵堂」に足を運ばせる私でした…


誰もいない朝光寺

次に向ったのは国宝の本堂がある「朝光寺」です。
駐車場(また私の一台だけ)に車を停めて鹿野川沿いに歩きます。
「つくばねの滝」のそばにある仁王門への階段を上ります。
目がチョット恐い仁王さんを横目に門をくぐって伽藍に入ります。
やはり誰もいません。遠くに川のせせらぎや滝音だけが聞こえてきます。

国宝の本堂に入ります。堂内は入り口だけ開いていて、窓(格子戸)からはうっすらと細い日が差す程度で薄暗い。足元は冷たい。勿論内陣は閉められて、本尊の観音様は拝むことは出来ません。
確かに国宝だけあって、どっしりした力強い造りで素晴らしいのですが、周りに誰もいないのでなにか可哀想にも思えてきました。
しかし、本堂の前に置かれた「記帳ノート」を読んで、若干思いは変りました。

「静かなお寺で心地良い」「また来ます」「来てよかった」等々…
このお寺は、これからもず〜っとひっそりとこの地に存在し続ける。別に「国宝」と呼ばれる建造物があったって、そんなことは関係なく。
「忘れ去られた山寺」…そんな印象が最初は強かったのですが、逆にそれが「日常」を忘れさせてくれる。一日中佇んでいてもいいかな?って思わせるそんな素敵な朝光寺でした。


山頂からの景色が気持ち良い光明寺

最後は新西国28番、播磨西国18番の観音霊場でもある「五峰山(ごぶざん)光明寺」です。
開創は推古2年(594年)と歴史のあるお寺です。

光明寺目指して、車はドンドン山を駆け上っていきます。時より見える眼下に広がる加東市平野部の景色が素晴らしい。
やはり駐車場には私の車だけ。
参道を早速登ってみます…ってもその参道の登りがキツイこと。
わずか300mくらいの行程ですが、キツイ登りですぐ息が上がってしまう。普段の運動不足がこんなところで露呈するとは…
登りの途中、軽トラが凄まじいエンジン音とともに、ものすごい勢いで私を抜かして行きました。
ようやく「仁王門」に到着。鼻が異様にデカイ仁王さんに挨拶して、先にある「本堂」に着ました。
やはり誰もいません。
時計を見るともうお昼前になっています。着てからまだ時間が経っていませんがそろそろ帰らねば…

参道を登っていく途中、見かけた看板で、「大慈院奥」の展望所から「かわらけ」(かわらけという焼き物に願いを書いて遠くに投げる)が出来るそうなのですが、今度家族ときた時にやってみよう…

「今度はもっと時間があるときにゆっくり着ますね」と鼻のデカイ仁王さんに挨拶してまた参道を下っていきます。

参道を降りて、駐車場に戻った時は、風は止み、日が差して暖かくなってきました。
駐車場からみる平野部の展望が素晴らしい。

短い時間でしたが、
春の暖かさで締めくくった東播磨のお寺巡りでした….

やはり私一人だけでした。しかし寒かった。
朝一番乗りの駐車場にて。

昭和45年の台風で倒壊。その後昭和55年に再建された仁王門。

戌や酉などが鎧に身を固めて本尊さんを守っている。本尊さんも動物達に守られて戸惑っているみたい。

堂内でこっそり撮影してスイマセン。
写真では見難いですが、矢印の所に確かに碁石がめり込んでしました。

「地蔵堂」です。この中に私を圧倒した、子供を抱く「地蔵菩薩坐像」が居られました。

朝光寺の「仁王門」から「本堂」を望む。

国宝の「本堂」どっしりした造りはさすが。

本堂に次にグッと来た「多宝塔」。

キツイ道のりが続く「光明寺」の参道。

「仁王門」。先に「本堂」が見えます。

デカイお鼻の仁王さん。
ここでデジカメのバッテリーが切れました(残念)。

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