通宝山弥勒寺

通宝山弥勒寺へ…

今回のご近所見仏も、前回の瑠璃寺同様に「たまたま」寄ってみた感じです。

最初はよく通っている、「書写山円教寺」に行く予定でした。しかしロープウェーの山麓駅に到着すると「ロープウェーは点検運休中」との貼り紙が…
こうなりゃ、歩いて山を登っていくか？と思ったけどさすがにそんな気力も湧いてこず（小学生の時はよく歩いて登ったのですが）、そのまま駐車場に戻りました。
そして意気消沈の思いで何気に地図帳を見ると、近くに「弥勒寺」が…

そうか、たしか弥勒寺は円教寺の開祖の「性空上人」が、長保２年（1000年）に93歳で隠棲した、「円教寺の奥の院」と言われた、一度行ってみたいと以前から思っていたお寺。
たしか本堂の「弥勒堂」と本尊「弥勒三尊」は国の重要文化財であり、最近「日本一の布袋さん」と言われる石仏が創られたと聞くお寺…
これは行かねばなるまいと、書写山から更に山の方に向って車を走らせる私でした。

やっぱり誰もいませんでした…

15分位車を走らせて門前に到着。やはり私だけでした…
土塀に挟まれた参道の向こうにある、「山門」。いかにも山寺っぽくていい感じです。
そして山門をくぐってまず目に入る、正面の重要文化財である「本堂」。
天授6年（1380年）、当時の備前・播磨・美作の三国を治めていた赤松義則が建立したと言われています。
屋根の両端が、「ツン」と反り返っているみたいで、その効果もあってかあまり小ささを感じさせないカッコイイ造りです。小さいけどさすがは重要文化財、存在感バリバリです。
その本堂の中には、本尊として「弥勒三尊」が居られますが、本堂の扉が堅く閉められており全く中の様子がうかがい知れません（後で調べたら丁度今、本尊は京都で修復中だそうでした）…。

仕方がないので先に進みます。
本堂脇から山に向ってハイキングコース的な道が続いています。
「秩父西国坂東100観音」と題して「写し霊場」として、100体の各お寺の本尊（観音様）たちが石仏になって参道沿いに並んでいるそうです。

さっそく登ってみます。
昨夜の雨で地面が濡れています。しかも散り積もったもみじの葉で足が滑りそうになります。さらに倒木も参道に何本も倒れたまま。途中で可哀想に地面に落ちたままの観音さんもあって、ちょっと荒れ果てているなぁ～って言うのが正直な気持ち。
スニーカーではなく、トレッキングシューズを持参してくれば良かったと思いながら、観音様を見ながら気をつけて慎重に登っていきます。でも石仏の観音様はどれも優しいお顔で、見ていて飽きることありませんでした。

小さな出会いにホットする

その時、本堂の方を見下ろすと、畑仕事が終わったと思われる一人のオバアサンが、本堂にお参りに来ているのが見えました。
都会の真ん中で、多くの人と出会ってもなんとも思わないのですが、こんな山の中、しかもひと気のないお寺で出会う一人のオバアサン。
こんな風景が何故かホットします。

参道をハアハア言いながら降りてくると、丁度オバアサンはあの巨大な「日本一の布袋さん」にお参りして戻ってくるところでした。
すれ違いさまに「こんにちは」って声をかけると、オバアサンも「コンチワ」。
たった一言にも気持ちがこもります。
先に進んで「日本一の布袋さん」に会いに行くことにします。

大きな出会いにビックリする

さすがにデカイですね～
高さ5ｍ、幅5ｍ。体重130 t もある巨大な布袋さん。
後で知ったのですが、布袋さんは実在した人物（唐の布袋和尚）で、弥勒菩薩の生まれ変わりと言われているんですね。だからこの弥勒寺と縁のある円教寺で、「布袋さん」の石仏を、「弥勒菩薩」として祀っていたのはその為かと後で気がつきました。

赤い帽子のような布を頭に巻かれていて、賽銭箱のようなものを首からぶら下げている。そして何かを見上げるような眼差しで不気味な（布袋さんスイマセン）笑みを浮かべている…凄い迫力のある石仏です。
「ワシを信じれば、必ずや福を招くことが出来るであろう」って自信満々の表情です。
前には布袋さんに負けないくらい、大きいカボチャが供えています。

でも私には、小さいながらかわいい観音さんたちのほうがイイですね～。
ご利益も観音さんたちのほうが有りそうだし…

小さい出会いや、大きい出会いがありました。
でも私はやっぱ小さくても、観音さんやオバアサンとの出会いのようなホットした出会いが大好きだと、再認識した素敵な山寺でした…