06年11月26日 ご近所見仏 誰もいない雨の山寺で行者を見た…  
(兵庫 佐用町船越山瑠璃寺 )

船越山瑠璃寺(ふなこしやま るりじ)へ…

久々のご近所見仏です。
今回は兵庫県の西のはずれ、佐用町にある船越山瑠璃寺。

この瑠璃寺の創建は古く、聖武天皇の時代、行基上人が瀬戸内海沿いの町、室津の港に留まっていたとき、北方からやってくる怪光の正体を見定めるため、船越山のふもとまで来ると、不思議な老人が現れ、瑠璃光を発しながら千手観音に変身したという。そのことを聖武天皇に告げると天皇は勅願を発して瑠璃寺を創建。以後、修験道の行場として、西の山岳信仰の中心として栄えたといわれています。
その時の行基が出会った千手観音の姿を自ら彫ったものが、瑠璃寺の本尊である「千手観音」であると伝えられています。

今回は親戚の家で法事があり、そのついでに近場にある(といっても更に10km山奥に行かないと)このお寺に寄ってみたのでした。


やはり誰もいませんでした…

晩秋の雨の日曜日ということで、門前に着いたときやはり誰もいませんでした。
江戸時代に彫られたといわれる、ポップなお顔の仁王さんを横目に更に山に向って車を走らせて、本坊前にある駐車場に到着。
やはり車は私だけでした。
瑠璃寺を更に奥に入った所にある「モンキーパーク」。昔からあるこのお猿のテーマパークには、子供の時から何度も訪れたのですが、瑠璃寺は正直初めて。
車から降りて、片手に傘、片手にデジカメを持って本坊に向います。
本坊前の門には「御用のお方は呼び鈴を押してください」って書いてありましたが、今回は朱印帳を持参するのを忘れていて鳴らすのは止めて本坊にはいりす。
誰もいない本坊内の中央には「弘法大師坐像」が。お賽銭を上げて拝みます。
そして特別展示中の「地獄絵図」。人が死んで「賽の河原」から閻魔さんの所に行き、極楽と地獄に振り分けられて、また生まれ変わるまでを20巻くらいの掛け軸で表している…
この絵のリアルさと寒さでチョット震えそうになりました。再び弘法さんを見ると厳しい顔で、「真面目に生きよ。さもないと無間地獄に落ちるぞ!」と言っているように見えます…

恐る恐る本坊を出て、横のある「護摩堂」に向います。
「不動明王坐像」が安置されているという護摩堂。扉を閉められてあって、外からは暗くてよく見えません。扉の格子、更に網がかけられてあって中央に居られる不動明王さんは辛うじて「シルエット」が見えるだけでした。


サルの親子(?)に行者の姿を見た…

人のいない山奥のお寺…
山肌を時より霧が駆け登っていきます。寒いけど透き通るような、新鮮な空気を深呼吸で思いっきり吸い込む。

「山の霊気を感じさせるお寺」そう感じずにはいられません。

その時、山の斜面からザザーッと何かが滑り降りてくるのが見えました。
現代の行者か??と思ったら二匹のサルでした。大きい方と小さい方。親子かと思われる二匹のサルは、周りを見渡してからそのまま再び山を駆け上がっていきました。「モンキーパーク」からやって来たのだろうか?
ビックリしましたが、このお寺に来て初めて会う「動物」に何故かチョット嬉しく思いました…。
次に、更に上に登って「開山堂」と「本堂」に向うことにします。

巨大な杉の木の間をを縫うような急な階段。片手に傘、しかも雨で濡れているので、滑らないように手すりに掴まりながら慎重に上がります。

ようやく上りきって「開山堂」の前に立つ。
開山堂には、南北朝時代に赤松家の援助を得て、再興させた「覚祐上人」の坐像がありますが、やはり扉が閉めてあって中の様子が全く見えません。すぐ横にある「本堂」も同じでした。

結局、弘法さん以外の仏像や、誰一人逢うこともなく下山。

でもいいです。
こちらもたまたま「ふらっと」寄った感じですし、また行事などで仏像の開扉時期が分かったら寄ることにします。

新鮮な山の空気、山の霊気に触れることが出来た素敵な山寺でした…


最後の最後に人に出会う。

再び本坊を通って、駐車場に向おうとしたとき、老夫婦がやって来るのが見えました。ご主人は本格的一眼レフを首から下げていて、どうやら夫婦で紅葉を撮りに来たみたいです。
時より石篭の上に落ちたもみじの葉にレンズを近づけて写真を撮っています。

「このお寺寄ってみる?誰もいないようだけど」
「ちょっと恐そうね…」
なんて会話がすれ違いさまに聞こえてきました。

「是非寄ってみてください、山の霊気に触れることが出来ますよ…」

そう心の中で呟きながら、車を走らせて山を降りる私でした…

仁王門にて。更に奥に車で進んでいけます。

江戸時代に創られたギョロ目のポップな仁王さんです。

本坊に続く階段。晩秋の雨は寒い…

本坊。この中に恐ろしい「地獄絵図」が…

「護摩堂」。扉が閉めてあって、中の様子がうまく見れません。
霧が山肌を登っていきます。

巨大な杉の木の間を縫うように続く「開山堂」に向う階段。

誰もいない本堂。でももみじが綺麗でした。

今にも行者が滑り降りてきそうな霧が立ち込める斜面。

■ 戻る

本堂と開山堂の間にあった湧き水「イボ取りの水」。10年前の私なら浸かっていたかも…




■ HOME