目で「煩悩」を殺す!  馬頭観音 (京都 加茂 浄瑠璃寺) .

京都と奈良の県境にある浄瑠璃寺。
「九体阿弥陀仏」や「吉祥天」が有名です。私も昔浄瑠璃寺に行った時は、有名なこの「二大スター」に心引かれました。この「馬頭観音」には、「何か恐そうなお方だな〜」ってくらいしか思っていませんでした。でもじっと見ていると、段々目が離せなくなるような感覚であったことはよく覚えています。
その後、写真などで見ているとこの「馬頭観音」、特にこの鋭い「眼光」にお寺で見たときのように段々引き込まれていったのでした。

「馬頭観音」。
頭上に馬頭(お馬さんですね)を有し、馬が水を飲んだり、草を食い尽くすように私達の「煩悩」も食い尽くしてくれるありがたい観音様。
「七観音」(あるいは六観音)の観音菩薩の中では異質の観音様で、他の観音様は、優しく慈悲に満ちたお顔が多い中、この「馬頭観音」だけは「分怒」の形相で、仏敵から私達を守り、煩悩を滅してくれる頼もしいお方。地方によっては家畜の守り神として、石仏で祀られたり、あるいはレース中の馬が怪我しないように競馬場で祀られたり、意外と私達の身近におられる観音様なのです。

この浄瑠璃寺の馬頭さんが先日、奈良の国立博物館に特別展示されたと聞いたときは、是非再会したく思い、逢いに行きましたが、やはりグッときまくりでした。お寺にいるとき普段では絶対見ることのできない真後ろにある「第四の顔」もしっかり見ることもできました。
人差し指と薬指を曲げて合掌する「根本馬口印(こんぽんまこいん)」、カッチョいい!思わず馬頭さんの前で印を真似をした私…
そして額にある第三の目。眉間のしわもカッチョいい!全身真っ赤で光背もメラメラ燃えており、まさに観音さまと言うより「明王」に近い恐ろしい表情。
しかし恐ろしいこの表情とは裏腹のなぜか優しく細い手。女の子っぽく、なんか「リカちゃん人形」っぽい腕に見えてしまうのはやはり「観音さま」の優しさが表れているからなのか…
しかしこの馬頭さんの最大のポイントはやはり目!
恐いもの見たさもあってか、この目が気になります。一言で言えば、「活きている目!」
東大寺の戒壇院の「広目天」とは異質の恐さを持った鋭い眼光。この鋭い眼差しの前ではどんな煩悩もぶっ飛んでしまうことでしょう…そしてこの眼差しに正直金縛りを食らうような感覚に陥る私…見つめあったら目が離せなくなるのは、やはり私には沢山の「煩悩」があるためなのか?
「お前の煩悩を食い尽くしてやるから、わしから目を離すのではない!」と叫んでいるようにも見えてきます。

まさに目で煩悩を殺す馬頭観音!!

「馬頭さん、私の煩悩はまだ沢山あります。もっと食い尽くしてください」って思ったらまた逢いに行きます。


この目!活きています!

「リカちゃん人形」のような子供っぽい腕。そのギャップも何故かイイ!

頭上に馬頭、「金剛棒」「金剛斧」を持ち、四つの顔の分怒形相、メラメラ燃える光背。人差し指と薬指を曲げて合掌する「根本馬口印」。
「お前の煩悩を食い尽くしてやる」そう叫んでいるように見えてなりません。

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