テーマは「ガツン」、二人旅。
今回の目的地は見仏クラブ初の京都。東寺で空海が描いた立体曼荼羅の圧倒的な世界、三十三間堂では千体の千手観音に圧倒されまくって、疲れきった四十代の身体にガツンと喝を入れようと企てたツアーです。
今回はT隊員が突然所用のため欠席になり、隊長の私と、最近スキンヘッドにイメチェンしたN隊員の二人旅になりました。チョッと寂しいが、とにかくガツンと元気に参りましょう。
我々を乗せた「見仏号」(といっても私の運転する車ですが)は山陽自動車道、中国道、名神を通って一気に京都に向かうのでありました。車の中ではいつものように会社での悩み、社会への不満など、オッサンたちの会話を飛び交わしながら、あっという間に京都に到着。
京都駅の南にある駐車場に車を置き、歩いて東寺(教王護国寺)に向かいます。
9月も半ばだと言うのにとにかく暑い。歩きながら東寺は初めてのN隊員にレクチャーしながら歩いて、着く頃には体中汗まみれになる二人でした。
最初に目に付いた東門から入ろうとするN隊員に「やはりお寺は南大門から入るのがスジというもの」と説教して、更に歩いてぐるっと回り込んで南大門から入ることにしました(更に汗をかく)。
立体曼荼羅にガツンときたか?
南大門をくぐって左手にある「修行大師」の像を拝んで、講堂に向かいます。
しかし講堂・金堂の周りに柵が張巡らせてあり、北側に順路の入り口があるため、またぐるっと回り込んで更に歩かなけらばなりません(またまた汗)。
柵の北側にある拝観受付所で拝観料を払って久々の講堂の諸仏との対面です。
私には約20年ぶりの対面になりましたが、やはり圧倒されますね、立体曼荼羅。
以前は確かうす暗くて、仏像の細部まで見れなかったのですが、堂内にスポットライトが設置してあって、今回はよく見仏することができました。
まず動きのある持国天に目が行きます。そして孔雀に乗った梵天。
N隊員を見るとこの持国天が気になるようで、ジッと動かず見つめています。
私のほうはそのまま先に進んで、中央の如来部の本尊、「大日如来」が気になりました。
他の菩薩部や明王部たちの引き締まったお顔と違い、やわらかい優しいお顔は講堂内の唯一の「癒し部」と言った感じで、しばらく見つめ合っておりました。大日如来にしては目を少し大きめに開き、私のほうをジッと見つめているようで、少しニッコリしたような口元にチョッと癒されました。
そうするとN隊員が私にようやく追いついて「持国天‥いいね、なんかパワーが貰える」とつぶやいてきました。たしか彼は東大寺の法華堂の持国天を見るたびに「パワーが貰える」と言っていたので持国天フェチになりつつあるのか‥。次に明王部です。
私が今回のツアーで一番逢いたかった「降三世明王」。小指と小指を絡め、人差し指を立てる「降三世印」、カッチョイイ。おもわずこちらもポーズまねしてしまいそう。そして足で踏まれている「自在天」(シヴァ)とその妻の「烏摩」(ウーマ)、苦しそうでいい表情。どっちが自在天でどっちが烏摩かわかりませんが、左足で踏まれている方から、うめき声が聞こえてそうでいい苦しみっぷり。衆生の三世(根本の三つの欲・迷い)を打ち砕く明王の前で、まさに三世の塊(かたまり)と言える我々オッサンたちはただ恐ろしさに震えるばかりか‥。でもこの仏像、好きです(やっぱり私はMなのか)。
圧倒されまくったのか、言葉少なめになったN隊員と講堂を出て、次に金堂に向かいます。
金堂には薬師三尊が居られます。しかし私は本尊の薬師如来より脇侍である「日光菩薩・月光菩薩」の手がなぜか気になりました。
やわらかそうな手をしていて、触ると弾力があるのではないかと思わせるような優しい手つきです。そして両菩薩ともおへそ付けられた法輪が今流行の「へそピアス」のように見えて面白かった。
金堂を出て、茶屋で抹茶ソフトを舐めながら五重塔を眺めていました‥。
「次は三十三間堂です」
「歩いていくか?暑いでー」
「‥‥」
「修行大師」の前で手を合わせるN隊員(手前)。スキンヘッドが眩しいぜ。
我々の持ち物。私はいつものウエストバック。N隊員はなんと子供が使わなくなった黄色の「ぞうさん巾着」。恥ずかしいゾウ。
「こんなに長い屋根だと瓦の葺き替え大変だなぁ」N隊員談。
青空に映える美しい仁王門。しかしN隊員、フレームインしまくっています。
胎内めぐりは修学旅行生(特に女子高生)で賑わったいました。オジサンたちはちょっと照れます‥。
御存知、清水の舞台です。風が心地いい。