05年9月14日 第5回見仏ツアー 初の京都でテーマは「ガツン」
(東寺 三十三間堂 清水寺

テーマは「ガツン」、二人旅。

今回の目的地は見仏クラブ初の京都。東寺で空海が描いた立体曼荼羅の圧倒的な世界、三十三間堂では千体の千手観音に圧倒されまくって、疲れきった四十代の身体にガツンと喝を入れようと企てたツアーです。
今回はT隊員が突然所用のため欠席になり、隊長の私と、最近スキンヘッドにイメチェンしたN隊員の二人旅になりました。チョッと寂しいが、とにかくガツンと元気に参りましょう。
我々を乗せた「見仏号」(といっても私の運転する車ですが)は山陽自動車道、中国道、名神を通って一気に京都に向かうのでありました。車の中ではいつものように会社での悩み、社会への不満など、オッサンたちの会話を飛び交わしながら、あっという間に京都に到着。
京都駅の南にある駐車場に車を置き、歩いて東寺(教王護国寺)に向かいます。
9月も半ばだと言うのにとにかく暑い。歩きながら東寺は初めてのN隊員にレクチャーしながら歩いて、着く頃には体中汗まみれになる二人でした。
最初に目に付いた東門から入ろうとするN隊員に「やはりお寺は南大門から入るのがスジというもの」と説教して、更に歩いてぐるっと回り込んで南大門から入ることにしました(更に汗をかく)。


立体曼荼羅にガツンときたか?

南大門をくぐって左手にある「修行大師」の像を拝んで、講堂に向かいます。
しかし講堂・金堂の周りに柵が張巡らせてあり、北側に順路の入り口があるため、またぐるっと回り込んで更に歩かなけらばなりません(またまた汗)。
柵の北側にある拝観受付所で拝観料を払って久々の講堂の諸仏との対面です。
私には約20年ぶりの対面になりましたが、やはり圧倒されますね、立体曼荼羅。
以前は確かうす暗くて、仏像の細部まで見れなかったのですが、堂内にスポットライトが設置してあって、今回はよく見仏することができました。
まず動きのある持国天に目が行きます。そして孔雀に乗った梵天。
N隊員を見るとこの持国天が気になるようで、ジッと動かず見つめています。
私のほうはそのまま先に進んで、中央の如来部の本尊、「大日如来」が気になりました。
他の菩薩部や明王部たちの引き締まったお顔と違い、やわらかい優しいお顔は講堂内の唯一の「癒し部」と言った感じで、しばらく見つめ合っておりました。大日如来にしては目を少し大きめに開き、私のほうをジッと見つめているようで、少しニッコリしたような口元にチョッと癒されました。
そうするとN隊員が私にようやく追いついて「持国天‥いいね、なんかパワーが貰える」とつぶやいてきました。たしか彼は東大寺の法華堂の持国天を見るたびに「パワーが貰える」と言っていたので持国天フェチになりつつあるのか‥。次に明王部です。
私が今回のツアーで一番逢いたかった「降三世明王」。小指と小指を絡め、人差し指を立てる「降三世印」、カッチョイイ。おもわずこちらもポーズまねしてしまいそう。そして足で踏まれている「自在天」(シヴァ)とその妻の「烏摩」(ウーマ)、苦しそうでいい表情。どっちが自在天でどっちが烏摩かわかりませんが、左足で踏まれている方から、うめき声が聞こえてそうでいい苦しみっぷり。衆生の三世(根本の三つの欲・迷い)を打ち砕く明王の前で、まさに三世の塊(かたまり)と言える我々オッサンたちはただ恐ろしさに震えるばかりか‥。でもこの仏像、好きです(やっぱり私はMなのか)。
圧倒されまくったのか、言葉少なめになったN隊員と講堂を出て、次に金堂に向かいます。
金堂には薬師三尊が居られます。しかし私は本尊の薬師如来より脇侍である「日光菩薩・月光菩薩」の手がなぜか気になりました。
やわらかそうな手をしていて、触ると弾力があるのではないかと思わせるような優しい手つきです。そして両菩薩ともおへそ付けられた法輪が今流行の「へそピアス」のように見えて面白かった。
金堂を出て、茶屋で抹茶ソフトを舐めながら五重塔を眺めていました‥。
「次は三十三間堂です」
「歩いていくか?暑いでー」
「‥‥」

初のタクシー移動

ついに楽をしてしまった。三十三間堂までは、歩いて行けば行けない距離かもしれないけど、暑さですでにヘロヘロになった二人にはもう歩くバッテリーが切れかけて、見仏ツアー初のタクシー移動をしてしまいました。
「昨日よりはましですけど、今日も暑いねー」とよくしゃべる(ヘロヘロで返事をあまりできななかった)運転手さんのタクシーであっという間に次の目的地である蓮華王院(三十三間堂)に到着。
まず入り口がいくつものゲートで別れていて、入り口をチョッと間違えて恥ずかしい思いします(昔はこんなややこしいUSJ風のゲートなんぞなかったぞ)。
靴を脱がされて、お堂に入ります。いよいよ久々に千体の千手観音との対面です。


三十三間堂でガツンときたか?

お堂に入った瞬間、まず千体の千手観音に圧倒されます。正面から見るとなんか「ナイアガラの滝」のように、上から千手観音たちがドドーっと流れてくるように見えて圧巻。まるで甲子園球場のアルプススタンドでタイガースを応援するファンのうようにも思えます。
千体の中に必ず自分とよく似た千手観音がいるいると言われていますが、ただ圧倒されてそんなことさえも忘れてしまった私。
そして御存知の「雷神像」。髪の毛をオッタテテ太鼓の乱れ打ちに圧倒されます。
さらに二十八部衆。この中で一番好きな「婆藪仙人(ばすせんにん)」。こちらに向かって何か話しかけているようで、思わず「ウン、ウン、何々?」と頷いてしまいそうです。そうしているうちに振り返るとまだN隊員は遥か彼方にいました。彼は何と二十八部衆一人一人にお祈りをしていたそうです。何をお祈りしていたのかはあえて聞きませんが、「ガツンとパワーが欲しいのよ」と言っていただけに、色々願い事があったのでしょう。
そうだ、今回のツアーに参加できなかったT隊員のためにも祈っておこう。「千体の千手観音?1000×1000で100万本の手!?見たかった!」とうらやましそうに言っていたT隊員の為にもお祈りしましょう‥(ホントは一体42手だけど)。
「ガツンときましたか?」
「うん、うん、きたきた」としみじみ頷くN隊員。

お堂を出て、しばらくボーっとお堂を眺めていました。
「しかし長い屋根やなぁ、瓦の葺き替え、大変だろうな」とN隊員がつぶやくので
「一応国宝だから国がいくらか費用を出すんじゃないの?」
「ウチの実家も以前、瓦の葺き替えやったけど結構費用かかるんだよ」
「アンタの実家も国に費用出してもらったら?」
などとわけのわからない会話をして、次の目的地、清水寺に向かいます。


初体験、清水寺で「胎内めぐり」でガツンとくる

清水寺まで歩いていきます。あまりの暑さで清水寺に着くまでポカリスエットのペットボトルを歩きながら2本も飲む私。
そうこうしている間に清水寺の仁王門に到着。最近修復されたそうで、青空と柱の朱色がマッチしてとても美しい。
仁王門を過ぎるとなんと「胎内めぐり」の看板があるではないか!
「タイナイメグリとはなんぞや」と、わけのわからないN隊員を引っ張って、無理やり連れて行こうする私。
清水寺の随求堂(ずいくどう)の本尊である大随求菩薩の梵字「ハラ」の彫られた石碑が暗闇の中にあるので、真っ暗闇の地下に入ってそれをさすって下界に出るという、とてもエキゾチックな胎内めぐり。しかし先に入っている修学旅行の女子高生の騒がしい声で、神聖な胎内めぐりが、ただのお化け屋敷のように騒がしいものになってしまってチョッと残念。
オマケに壁に額をぶつけて、意味のない「ガツン」にみまわれてしまいました。

そしていよいよ清水の舞台に向かいます。
しばらく舞台から下界を見下ろしていました。そうしているとふとN隊員が「そういえばこないだここのご本尊が何百年に一度、見られるというので家族と来たっけ」と言うではないか!「なんで俺を連れて行ってくれなかったの!」と心の中で叫ぶ私。
知らずのうちにN隊員も仏像マニアになりつつあるのでチョッとうれしい気持ちになりました。
しかし「家族見仏」とはうらやましい。
今度はいつ御開帳になるかわからんけど(多分何百年後だろうなぁ)、とりあえずご本尊のいる厨子の前に居られるレプリカの「御前立ち」にうっとりする私でした。


ところてんにもガツンときました。

清水の舞台を降りてすぐの茶屋でひと休み。私はカキ氷を注文。N隊員はところてんを注文。根っから関西人の私は「ところてんってうまいんか?」と聞くと「うまいデーいっぺん食べて見るか?ガツンとくるから」と言うので、ちょっと一口もらうと酢の酸っぱさでガツンと来ました。でもウマイ!「この酸っぱさがガツンとくるのよ」
なるほど疲れ切ったおじさんたちにはやはり「ガツン」が必要なのです。


帰りの車の中で考えた

前半は仏像で、後半は変なところでガツンときましたが、最初から最後まで刺激の強かった今回のツアーでした。
N隊員もガツンときまくったようで満足げでなによりでした。
でも疲れた‥
清水寺から京都駅まで、またまたタクシーに乗ってしまった私たち。
「次回は初心に還って見仏クラブお決まりの奈良癒しコースにしましょう」

異論なし。
でも、たまには今回のようなガツンとくるツアーもいいもんだなぁと、タクシーの中で流れる京都の風景を見ながら考える私でした。

「修行大師」の前で手を合わせるN隊員(手前)。スキンヘッドが眩しいぜ。

抹茶ソフトを舐めながら見た五重塔。

我々の持ち物。私はいつものウエストバック。N隊員はなんと子供が使わなくなった黄色の「ぞうさん巾着」。恥ずかしいゾウ。

「こんなに長い屋根だと瓦の葺き替え大変だなぁ」N隊員談。

青空に映える美しい仁王門。しかしN隊員、フレームインしまくっています。

胎内めぐりは修学旅行生(特に女子高生)で賑わったいました。オジサンたちはちょっと照れます‥。

御存知、清水の舞台です。風が心地いい。

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