壇上伽藍で私が一番好きな建造物「御影堂」。
渋いお堂です。

聖地「奥の院」。平日なのでいつも以上にじっくり見て回れました。

壇上伽藍の中心「根本大塔」。青空とマッチする美しさです。

「水かけ不動」さんたちにお参りして御廟に向かいます。

霊宝館。今回は嬉しい事に無料でした。

ご存じ「嘗味地蔵(あじみじぞう)」です。
千年以上の長きに渡り、弘法大師の食事の味見をしてきたお地蔵さんです。

■ 戻る

いつもより30分早い出発

今回は記念すべき第20回目のツアーです。いつもは奈良・京都あたりに遠征していますが、今回は和歌山の高野山金剛峯寺、いつもより長距離です。
私は以前から奥の院で行われる「生身供(しょうじんく)」が気になっていました。

今でも奥の院の御廟にて生きて修行を続けていると言われる弘法大師の空海へ食事を届ける儀式。一日二回、高野山の修行僧と同じ量・内容の食事を欠かさず1200年もの間続けている儀式です。
現在も御廟の地下の石室内で居られる空海は、本当に生きているのか、ミイラになっているのか、あるいは身代わりに木像があるのか解りませんが、真相はその石室に毎日食事を届ける唯那(ゆいな)と呼ばれる空海の世話係しか代々知りえないと言われています。
その儀式が朝6:30と10:30に毎日か欠かさず行われていると聞きます。先日「TV見仏記」の放送で、その「生身供」の儀式を見て感動した私。是非今回のツアーで10:30の生身供をナマで見ようと思い、いつもより姫路を出発する時間を30分早くすることに決定しました。
ということで各隊員にはいつもより30分集合することを告げて今回の記念すべき20回目のツアーを迎えました。

予定通り6:30分に出発した私たち、しかし途中で道に迷ったり(ナビを使っていたが、高速道路を間違って降りてしまった)、休憩が予想以上に掛かったりして、奥の院参堂の中ほどにある「中の橋」辺りの駐車場に着いたのがすでに10:30でした。
生身供をナマで見るのは諦めて、奥の院の参道をゆっくり御廟を目指して歩きます。参道脇に並ぶ大企業の供養塔、有名どころの戦国大名の墓などじっくり見ながら歩くこと30分、ようやく御廟橋に到着しました。橋を渡る前に一礼、脱帽して渡るように各隊員に指示。ここからは写真撮影は禁止です。私はスマホもマナーモードに切り替えます。
燈籠堂(拝殿)に到着。いつものように若い僧がお香を携えて待っています。お香を両手に頂き、体にこすりつけて燈籠堂に入ります。燈籠堂奥に僅かに見える大師御廟に向かい般若心経を唱えます。とすると長持ちを担いだ僧侶と先導の僧侶(唯那)の3人が堂内に入ってきたではありませんか!御廟にいる空海にお供えを持っていった帰りだと思います。出発時に食事の毒味をする「嘗試地蔵(あじみじぞう)」の前での出発の儀を見ることが出来なかった悔いでしたが、実際に食事を運ぶ僧侶たちを生で見ることが出来たので感動。思わず込み上げるものが…


燈籠堂の地下初体験!

燈籠堂を出て、燈籠堂奥の御廟前に立ち再度礼拝。その後ぐるっと回って出ようと思ったところ、燈籠堂脇に地下に通じる入口を発見。F隊員が「入ってええんやろうか?」と言っていたが、私は「あかんやろ、勝手に入っていたら、何か秘密な秘儀法要が行われているんじゃないか」と言って燈籠堂から参道に戻ろうとするとN隊員が居ないことに気付く。
もしやと気付き、地下の入り口に戻ると階段から沢山のお遍路さんたちが、地下から出てくるではありませんか。「中に入れるんや」とF隊員、T隊員と3人で驚いていると、ひょっころりN隊員が続いて地下から階段で上ってくる。
「中は迷路のようになっているわ」と言うN隊員を先導に4人で地下に入ります。燈籠堂の名の通り、信者たちが寄進した無数の燈籠が地下室中に吊り下げられており、幻想的な雰囲気。たしか燈籠堂では大の燈籠が100万円、小の燈籠50万円で寄付の受付がされていました…
迷路のような地下を進むと最奥の拝場である廟窟前に到着。後で調べたらその15m先に弘法大師が今なお生きて修行を続けているという…まさに弘法大師に一番近い場所。

拝場では四国八十八か所を結願したと思われる遍路姿の巡礼者たちが廟窟前に座り込んで呪文のような言葉を唱えている…
この廟窟の先に弘法大師が居ると思うと感無量です。今まで数回、高野山に来ていますが、燈籠堂の地下で弘法大師のすぐそばまで来れるとは全く知りませんでした…(悔)
巡礼者たちの祈りに圧倒されて煩悩だらけの我々は長くこの場に留まる事は辞め、ゆっくり歩いて地下を出ていくことに…

中の橋に戻ってきて、近くにあるお土産屋さんの2階にある食堂で昼食に。
いつものように4人全員がラーメンを注文。和歌山名物の「和歌山ラーメン」を堪能。満腹になったところで次の目的地、霊宝館に向かう事に。一旦車に乗り込み、霊宝館近くの駐車場に車を停め歩いて霊宝館に向かいます。「一人600円でしたね」と受付でメンバーから集めた会費から4人分を払おうとすると、「今日は開館記念日なので無料です」と嬉しいお言葉が。早速スリッパに履き替えて入ることに。

霊宝館にて

最初の部屋で一番際立っているのは、やはり快慶作の重文「深沙大将立像」です。
確か今年の3月に2年かけて修復されると噂でしたが、未だ展示されてたので拝むことが出来ました。早速N隊員が喰いつく。「たしか以前、快慶の深沙大将見たけど何か違うんだな…」私も同じことを思っています。数年前、舞鶴の金剛院という寺院でN隊員と二人で同じ快慶作の無名時代の作「深沙大将」を拝みましたが、高野山のリアルに徹した「外に向けた怖さ」より、舞鶴のお方の「内に秘めた怖さ」の方が私たちの心に響きます。私の「こちらのお方は何かアメリカのアニメに出てくる悪役の様だね、とにかくアニメだ」という私に頷くN隊員。次に私たちの目を引いた快慶作の「四天王立像」たち。等身大でカッコイイ決めポーズをした四人の男たちが並んでいます。思わず足を止めて見入ってしまうF隊員。

次の部屋に移動。すると千手観音やら大日如来やら不動明王など、拝観する私たちと同じ目線(高さ)の凄いお方たちが並んでいます。早速N隊員が各仏像と見つめあって瞑想が始まります。私とF隊員、T隊員はドンドン先に進みます仏像のコーナーが終わり、最後に入った展示室に特別公開として巨大な「両界曼荼羅」が向かい合って展示されていました。5m四方はあろうかと思われ巨大な曼陀羅の間に立つと、凄まじい「気」に圧倒されてか足が何故か震えてきます…解説を読むと曼荼羅を染める染料の赤は人間の血を使っているとのこと。「何人分の血を使っているんだろうか…」と小さく呟くF隊員。


空海が表現したかったこと

霊宝館を出最後の目的地、壇上伽藍に歩いて向かいます。再建中の巨大な「伽藍中門」の横を通り過ぎて最後の聖地へ。巨大な根本大塔・金堂・鐘楼など、何もかもがデカイ建築物の世界。私たちを含め拝観者たちが小さく見える。「巨人の世界だね」というN隊員の言葉になんとなく納得。「そうなんだよね、空海という巨人が構想した世界観なんだろうな。われわれ凡人っていかに小さいかということを印象つけるためにこの空間を出現して見せたんじゃないかな…」と返す私。
古建築フェチのF隊員は、何かにとり憑かれたかのように黙々と伽藍の巨大建築物達をデジタル一眼に収めている。N隊員は小型ビデオカメラを手に広大な伽藍風景を撮影している。最近N隊員は、見仏ツアーをはじめ、私と最近よく出かける登山の時などに、デジカメよりビデオカメラを持ち出します。「現場の雰囲気を記録するには写真よりも動画が良いのよ、ビデオなら静止画として写真も撮れるしね」という納得の理論。付き抜けるような青空に根本大塔の朱色がマッチして美しく映えます。
T隊員はベンチに座ってボーっとこの空間を満喫しているよう。
四人が思い思いのスタイルで一時間以上過ごしていました
東大寺の三月堂に次ぐ我々の「第二の聖地」が見つかったようです…

お土産はやはり「こうやくん」グッズで決まり。私は携帯ストラップにして皆に差を付けよう。。

  2013年5月22日 第20回見仏ツアー 生身供が見たくて  (和歌山 高野山 金剛峯寺)

みやげもの屋さん、バス、道しるべなど、あらゆる場所で見つけられます

高野山のあちこちで見られる「こうやくん」。




■ HOME