龍安寺の山門。

方丈広間の扉に彫られた「阿吽の獅子」。
可愛らしい表情にグッと来ました。

三十三間堂。
何時見ても長〜いですな。

三十三間堂のお土産「錫杖交通安全お守り」。
マグネット付きの両面テープで車のダッシュボードに貼り付けます。車が揺れると「チャリン・チャリン」と良い音がしそう。
ナイスなお守りです。

龍安寺の有名な蹲(つくばい)。
真ん中の水の溜まる部分は「口」の文字。
写真では見にくいですが、中央の「口」文字を中心に、時計回りに禅語の「吾唯足知」と彫られています。これを龍安寺に寄進した水戸黄門(徳川光圀)、中々洒落ていますなぁ。

龍安寺の「石庭」。
みんな思い思いのスタイルで庭と対峙していました。屋根には雪が積もっていましたがポカポカ陽気の昼下がりでした。

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方丈前の石庭。
石と白砂・苔だけで構成された、禅寺らしくシンプルで美しい
「枯山水」です。

「グリル・アローン」
見仏クラブの京都での昼食はここに決まり。

国宝五重塔。
下から見上げると更に大きく見えますね。

ご存じ東寺の金堂。
遠くから見てもやはりデカイ。

靴下2枚の指示

今回のツアーはT隊員初の京都。
最近愚痴のの多いT隊員。彼の煩悩を打ち砕くために、東寺の立体曼陀羅&三十三間堂で圧倒させ煩悩を打ち砕き、禅寺の龍安寺の石庭にて人生を考えてもらおうとするツアー。
「冬の京都は底冷えするよ」のネット仲間の話に、他の隊員には「靴下2枚と厚着を忘れずに」の指示メールを送った私でした。
そして出発の3日前、T隊員から突然電話が…
T隊員「あの〜昼飯だけど、京都市内なら以前から行きたかった店があるんやけど」
私「いいよ、まだ決まっていないから」
T隊員「ラジオなんかで紹介されていた『アローン』という洋食屋なんや」
なんでもその店では値段の割にボリュームが半端ない量のでかいオムライスを出すそうな。「食」にウルサイT隊員の願い、聞きましょう。今まで奈良ではラーメン『天下一品』と決まっていましたが、京都でのランチの行きつけは決まっていなかったので、探そうとしていた矢先。とりあえずその『アローン』という店で食べてみて、我々の行きつけにするか決めようではないですか。
ということで、今回のツアーは、東寺〜三十三間堂〜アローン〜龍安寺という、「ガツン」・「満腹」・「癒し」という、変則ツアーになりました。
三人の乗せた車は朝7時に出発して京都を目指ます。


T隊員初体験「立体曼陀羅」

東寺に到着。いきなり「メイン・イベント」の講堂はパスしてまずは金堂から。
おっとその前に弘法大師に挨拶せねば。講堂に入らずに外から出口側にまわって、南門横に立っている「修行大師像」に向かって「ここに来るといつもここから弘法大師さんに挨拶するのよ」と合掌するN隊員と私につられてT隊員も合掌。そして再び金堂の入口に周って入ることに。
N隊員とはもう何度か来ているので、T隊員相手に「薬師三尊」の解説をします。
私「向かって左が月光菩薩、つまり夜の看護婦さん。だから昼間の看護婦さんの日光菩薩と比べてセクシーでしょう。」と煩悩丸出しの解説.に苦笑いのT隊員。T隊員は仏像よりも金堂内部の木組みの複雑さ・素晴らしさに感嘆し「これ、すごいな〜」と感心しきり。そして中尊である薬師如来の台座下での守備要員「十二神将」のコミカルな表情に見惚れる彼。
続いて講堂に向かいます。「講堂の中は、筋肉質のプロレスラーの控室です」と言う私の解説に笑うT隊員。入ってすぐに雰囲気に圧倒されたか「う〜ん」と唸る彼。早速各仏像の説明&立体曼陀羅の教義を簡単に説明しました。
そして講堂内で私の一番のお気に入りの「降三世明王」の前にT隊員を連れて行って説明をする。
T隊員「凄いなこのお方、誰か知らんが四天王のように人を踏んでいるな」という彼に踏まれているお二人(シヴァ神と妃のウマ)の説明を行う。
振り返ってN隊員を見ると彼はいつものように各仏像に向かって合掌&お祈りをしている。寒くて足がブルブル震えてきたので彼が全ての仏像のお祈りを終わるのを待って講堂を出ます。
続いて特別公開中の五重塔内部(初層のみ)に入ります。前回来た時には雨で内部も暗く壁画や柱に描かれた図画等が殆ど見えなかったのですが、今回は晴れていて内部も良く見えました。特に空海・恵果をはじめ、「真言八祖」のメンバー8人の表情がよく窺え、柱に描かれた龍や蓮華、そして初層内部自体が曼陀羅そのものに見える世界観にグッと来ました。
一通り拝観を終え「甘酒を飲みたい」というN隊員の要望で境内の茶屋で一休み。
初体験の東寺(彼は最初「東寺」を「東本願寺」の略と思っていた)の感想をT隊員から聞こうと思ったのですが、彼は何故か我らの高校時代の思い出や、家族の話など身の回りの話ばかり。お寺の感動よりも久しぶりに三人揃ってのツアーが嬉しかったのでしょう。
私「次は三十三間堂に向かいます」の合図に車に乗り込むメンバー。


三十三間堂で圧倒される

三十三間堂に車を乗り付けます。早速いつものように駐車場のオジサンがやってきて「40分以内に帰ってきてくださいね。駐車時間は40分です」といつものセリフを言ってくる。
「40分で充分見れるのか?」と不安げなT隊員を「まあゆっくりじゃないけど充分拝観は出来ますよ」と引っ張って受付のゲートに突入する私とN隊員。入口には靴係のおばちゃんが待ち受けていて、「ハイ、アンタは靴ここに入れてよ」と機械的に処理するのですが、平日で拝観者が少ないこともあってか、「どうぞ何処でも置いてください」とばかりに何も言わない。スリッパに履き替えていよいよ堂内に入ります。
堂内に入っていきなり千体の千手観音が並んだステージを見て「うお〜〜!」って声を発するT隊員。ここに連れてきて始めて堂内に入る人は一応に声を出して驚きますが、彼も予想以上に感嘆したのか「これは凄い」を連発。「一体誰がこんな凄いもん造ったんや?」と聞く彼に発願した後白河法皇と、造ってあげた平清盛の「パトロン関係」を説明しながら歩く。N隊員が付いてこないなと後方を見ると、彼はいつものように二十八部衆の一人ひとりに合掌している。遅れているN隊員を見て「40分で大丈夫なの?」と不安げなT隊員に「大丈夫ですよ、毎度のことだし。いつも何とか時間内に車に戻ってこれていますよ」
ようやく中尊の国宝「千手観音座像」の前に立つ。T隊員は圧倒されてか「俺、護摩を納めるわ」とお金を納めて護摩に筆で願いを書き始める。その間私は中尊の前に立って「般若心経」を唱える。そうしているうちにN隊員が追いついてようやく三人揃っての拝観。
T隊員「しかし何でこんな凄いもんを後白河さんは造らせたんかな〜?」
私「それは後白河さんに聞かんと解らんやろうけど、源平が争った『荒れた時代』だから明日は我が身も殺されるかもという不安があったんやろうな。」
丁度千手観音たちのステージの裏に「後白河法皇像」と「平清盛像」の絵画が並んで展示されていたので、それを指さして、
私「じつはこの二人『愛人関係』という話もあるようやで」と説明。
T隊員「当時の実力者の間にもそういう関係がよくあったって話をよく聞くわ」
私「でもな後白河さんは、清盛の次にライバルの木曽義仲に付いたり頼朝に付いたり、コロコロと実力者が出てくるたびに支援する相手を替えていったんや」
T隊員「世渡り上手やな」
セールスマンで、色々なタイプの人間をこれまで見てきたT隊員には、世渡り上手な後白河法皇がどう映ったか?
お堂を出て、土産物店を物色。そこでN隊員が「いいもんを見つけた」と嬉しそうに言う。見ると錫杖の交通安全御守りで、マグネット付きの両面テープで車のダッシュボードに立てるようになっている。「これはカッチョイイ!」と購入するN隊員と私。


京都の昼飯は「アローン」に決定

T隊員がかねてから行きたかった「グリル アローン」に向かいます。
店が京都市役所の付近だったので、周辺の駐車場に車を停めて、歩いて店に向かいます。店内は30人くらいの収容規模で、店に入ったのが11時20分位でしたが人気店の為かほぼ満席。T隊員は人気のオムライス(580円)、N隊員は日替わり定食(680円)私はCランチ(780円)注文。暫くしてやってきたオムライスのボリュームに圧倒。直径20cmで高さがあり、クリスマスケーキ程の大きさで明らかにデカイ。通常のオムライスの2倍以上はあろうかと思われる量に「とりあえず食ってみる」とチャレンジするT隊員。N隊員のランチも私のランチも値段の割には量も多く、味も良い!コストパフォーマンスは抜群。合計2,000円チョットで三人が満腹となり、店を出る時に「今後京都での昼飯はここにしよう」と全員一致で決定。「珍しく三人の意見がまとまったね」と再び車に乗り込んで、次に龍安寺に向かいます。


「結局答えは無いんだよ」

龍安寺では、有名な石庭をメインで見ます。当初、日本人が気にもかけなった方丈(住職が住んでいた建物)前に広がる石庭。哲学者のサルトルやエリザベス女王がこの庭を見て「スバラシイ!」と驚嘆したことによって有名になったそうな。
まさに「ディスカバー・ジャパン」の象徴。
一体この庭は誰が何の目的で造ったのだろうか、そして何を表現しているのだろうか?別名「虎の子渡しの庭」(親虎が三匹の子虎を川岸向こうに渡す様子に見える)とも呼ばれるこの庭。これまで色々な人が挑んだだけど、解釈は多岐にわたっており未だ解明されず。私は以上のあらましを二人の隊員に説明して、早速縁側の縁に座り込んで庭と対峙します。
丁度そのころから日が差し始め、ポカポカ陽気になってきました。塀の屋根に残った雪が風情です。白砂の紋様、15個の石、石の周りの苔、ただそれだけの「枯山水」ですが、見ているうちにドンドン引き込まれていきます…しばらく見ているうちに「解らん」と呟いて私は方杖の広間の扉に彫られた、以前から気になっていた「阿吽獅子」の写真を撮ります。傍には「解説」の腕章を付けたオジサンが居て「その獅子良いでしょう」と話しかけてくる。私はオジサンに「何度もこの庭を見ているけど、結局何か解らないんですよね。じーっと見ていると逆に庭の方から『そんなに焦って答えを出さなくても良いじゃないか、ある時ふと、そういう事だったのかと解れば結構なことじゃが。お前は焦っているのか?』なんて声が聞こえた気がしましたよ」というとオジサンは「そうですよ、答えなんて自由に解釈して貰って良いんですよ」と頷く。
私は縁に座っている二人の所に行き「どうだった?何か解ったかい」と聞こうと思って傍に座ると何やらT隊員がN隊員にお説教をしている。
T隊員「ふと思ったんだけど親孝行はすべきだと思うよ、ちゃんと親孝行しているか?」なんて説教をしている。何故石庭の前で親孝行の説教を始めたのか解りませんが私もT隊員に釣られてN隊員に「そうやな、『あの時親孝行しときゃ良かった』なんて思うことがきっとあるはずやから」と説教を始める。タジタジになるN隊員、少し可哀想だったかも…。
結局石庭の感想を二人から詳しく聞かないまま、「親孝行は大事だ」という結論に至った石庭。家族の繋がりは大事であるということを石庭がT隊員に教えてくれたのか?この石庭には普段忘れ去られている「大事なこと」を思い出させ考えさせてくれる不思議な力があるってことなのだろうか…?
それから方丈の裏庭に置いてある、水戸黄門こと徳川光圀が寄進したと言われる蹲(つくばい)を見に行きます。蹲には「吾唯足知」の禅語が彫られていて、「われ ただ たることを しる」と読み、『何事にも足ることを知り、今の自分を大切に出来る人は豊かな生活を送ることが出来る』という禅の教え。今まで龍安寺に行くたびに見逃していた蹲、今回は案内のオジサンに場所を聞いてようやく現物(レプリカという話もあるが)を見ることが出来ました。方丈の出口には土産売り場があり、「吾唯足知」Tシャツや「吾唯足知」手ぬぐいなど「吾唯足知」グッズが多く売られていました。時間を掛けてグッズも見たかったけど、駐車時間が「一時間まで無料」ということが頭にあって今回はここまでで龍安寺を出ることにした私たち(ちょっとセコかったかな?)。


自分の煩悩に反省した浄土寺

帰りの高速…
午後3時くらいになると日も傾き始め、運転していて眩しく感じます。その時ふと小野の浄土寺「阿弥陀三尊」を思い出しました。この西からの日差しなら今頃浄土堂の中は極楽浄土だろうな…
なんて考えると段々「これは行かねば」という気になってきました。
途中のサービスエリアで二人に行きたくなった旨を伝えるとN隊員は「おお、俺も行きたい」と、彼とは夏の午前中に行きましたがその時に「次は是非夕方に行きたいな」と言っていたのですぐに賛成。T隊員は「行っても良いけど拝観時間大丈夫かな?」と不安げ。とにかく今から飛ばしていけば何とか間に合うはず、高速道路も途中で降りれば浄土寺は近い。ということで浄土寺にも立ち寄ることに緊急決定。
少しスピードを上げて(といっても安全速度)高速を突っ走ります。私自身もこの時刻の浄土寺は初めてなので、車の中でN隊員と興奮気味。思わずいつものように見仏帰りでの煩悩話が始まります。「あそこのお寺の受付嬢がセクシーで良かった」とかそんな煩悩の塊り的な話を嬉しそうにする私とN隊員。それを後部座席で聞いて苦笑いするT隊員。
そうしているうちに浄土寺に付きました。時計を見るともう15時40分、急いで駐車場から境内に向かいます。境内には誰もおらず、いつもは開いている国宝浄土堂の扉が閉まっていました…おそらく平日なので誰も拝観に来ないだろうと見て早めにお堂を閉めたんでしょうね。
「ガーン!」私の頭の中で鐘が鳴る…
とりあえず社務所に向かうと鍵が掛けてあって入れません誰も居ないようです。「どうしよう?あと15分くらいで16時だよ」と途方に暮れる私。T隊員は「もう諦めよう、仕方ないよ帰ろう」と私に言う.。N隊員は浄土堂の外から阿弥陀三尊合掌している模様。まだまだ諦めきれない私は、境内外にある住居(拝観の場合はここに連絡くださいと書いてあった)を見つけてベルを鳴らす。ほどなく中からお坊さんが出てきて「いいですよ、鍵を持ってすぐに向かいますから」と。暫くして境内に若いお坊さんがやってきて浄土堂の鍵を開けてくれて中に入れてくれました。「拝観終了前に来て本当にスイマセン」と平謝りの私。
堂内に入ります。蔀戸(しとみど)はガラス窓に替っていて、外から日の光を受け入れています。三尊の前に座って見ましたが、後ろから来る直射日光が眩しい。本来は床に当たった日差しが反射し、堂内の梁や柱の朱色を照らして極楽浄土を演出しているこのシステム。時間が遅かったか…
お坊さんも「ちょっと遅すぎましたね。もう少し日が高かったら床の光が反射するのですがね。」と…再び「ガーン!」私の頭の中で鐘が鳴る…
急いで慌ててやってきて、結局時間が遅すぎた…「もう少し延長してもいいですよ」というお坊さんのお言葉ですが、やはり悪いので10分くらいで切り上げて「今度こそ良い時間に来ますね、急に来て本当にすいませんでした」とお礼を言って外に出ました。

T隊員「だからさっき煩悩の話ばかりするからそうなるんだよ」のキツイ言葉に「そうですね、まだまだ私には煩悩があるだろうな」と反省する私。N隊員は「まあいいじゃない?何度も来ている内に阿弥陀さんも『そろそろおいで』と声を掛けてくれた時が良いタイミングじゃなかな?今回はT隊員も挨拶程度で終わったけどこれで良かったんじゃないのかな?」と彼にしては珍しく大人で真面目な意見。
最初は「T隊員の煩悩を砕破する」なんて言っていましたが、一番煩悩があったのは実は自分かもしれない…強く反省したツアーでした。

帰りの車の中で石庭が教えてくれたことや「吾唯足知」の教えをふと思い出した私。

この教え通りになるのはまだまだ程遠い私です

2011年1月12日 第16回見仏ツアー 吾唯足知(我、唯 足ることを知る)
       (京都東寺・三十三間堂・龍安寺〜小野市 浄土寺)

西日に映える浄土寺の浄土堂。
少し時間が遅かったようです。反省しきり…




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