今は無住の観音寺。
正直チョイ寂しかったです。

獅子の上に乗る文殊菩薩。

十二天のうち「火天」(左)・「閻魔天」(右)

石仏の前の灯篭には三本足のカラス、「八咫烏(やたからす)」が…
神仏習合のニオイがします

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09年7月11日 第3回自転車石仏巡り  石仏の立体曼陀羅
(不動院西国三十三番石仏〜観音寺隠れキリシタン地蔵)

「隠れキリシタン地蔵」。
写真では分かりにくいですが、背中に大きな「十字架」が。

地元の文化財資料を手に入れる

自転車によるご近所石仏巡りを始めましたが、実際に自分の住んでいる地域にどんな文化財があるのかは正直詳しく知りませんでした。
自転車でアッチコッチ行っていますが、実際は「行き当たりばったり」で、途中で出会った石仏などを見仏しているが正直なところ。
そこで姫路市に問い合わせたところ、市役所の文化財課には、姫路市の各地の文化財のパンフレットをバインダーしている資料が販売されているそうです。
これは買わねばなりません。早速市役所で手に入れました「文化財見学シリーズ」。読んでみると市内には、まだ自分の知らなかった謂れのある文化財が沢山あることに驚きを隠せません。
行きたい地区のパンフレットをバインダーから外して、アッチコッチ出かけることに…
午前中はたまたま予定がなかったので、梅雨の晴れ間を利用して涼しいうちに出かけることしました(朝7時出発)。


これぞ石仏の立体曼陀羅

今回は男山周辺を自転車でブラブラします。
男山周辺は、姫路城の西にあたる地区で、千姫神社や文学館などがある閑静な城下町。その地区にある不動堂の墓地にある「西国三十三番石仏」に向かいます。
資料(パンフレット)によると、寛政7年(1795年)に造立されたもので、中央主塔に三十三観音霊場の観音石仏を三段に配し、主塔四隅に四天王、前方左右の立石に、「火天」や「梵天」「帝釈天」「日天」「閻魔天」などの「十二天」が半肉彫で配されている全国的にも珍しい石仏群だそうです。
パンフレットに載っている地図を頼りに、汗をかきながら到着。
墓地には私以外に、掃除に来ていたオバアサンのみ。
墓地のほぼ中央に祀られていた「西国三十三番石仏」。
江戸時代に造立されたわりには剥落が進んでいて、各尊像のお顔の細かい表情は伺い知れませんが、グッとくるお方ばかりです。
中央の主塔の頂点に居られる阿弥陀仏、鼻が高く異国的な表情です。三十三か所霊場の本尊さん以外にも色々なお方が彫られており、「文殊菩薩」の獅子のとぼけた表情にも癒されます。主塔の四方を守る四天王たちも恐ろしい表情で邪鬼を踏みつけています。剥落が進んでいて、邪鬼の「やられっぷり」の顔の細かい表情が見れないのがチョイ残念でした。
正面の木製のベンチに座りながら、この石仏群全体をぼんやり見ているとなにか「立体曼陀羅」ぽく見えてしまう。一見配置はバラバラのように見えるけど、何か「一つの世界観」を創っているように感じてしまうのは気のせいだろうか…

暫く見仏していると、掃除をしていたオバアサンが
「アンタ、石彫る人かい?」と聞いてくる
「いいえ、見る方が趣味でこのあたりのお地蔵さんなんかを見て回っています」
「そうかい、ここのお方たちはみなイイ表情しているやろ」
なんて二言三言会話して、オバアサンは去って行きました。
日差しが強くなって汗が噴き出てきたので、タオルで汗を拭きながらの見仏となりました。


自転車でヘロヘロになりながら探した観音寺

次に向かうのは、観音寺の「隠れキリシタン地蔵」です。
観音寺のある新在家町は坂が多く高級住宅が並ぶハイソな町。
アップダウンが多く、自転車の14段変速を駆使しても、坂を駆け上るのは難しい(体力が衰えてきているのを実感)。
途中道に迷ったので、誰か訊こうと思いましたが、まだ朝9時位だったせいか、誰も外に出ていませんでした。ようやく見つけたオジサンに観音寺までの道を訊きましたが
「観音寺?今は誰もいないよ。自転車か?遠回りするか、急な坂を押していくかやな〜」
私は自転車を押していく道を教えてもらいました。そして汗を更にかきながら自転車をヘロヘロになりながら、押したり、時には自転車を担いで階段を登った坂の上でようやく見つけた観音寺。
オジサンの言ったとおり、今は無住で誰もいませんでした。
草は生え放題で寂しささえ感じる境内に、ひっそりと居られました「隠れキリシタン地蔵」。
確かに背中には大きい「変形十字」がありました。
しかし長崎あたりならともかく、姫路にもかつて「隠れキリシタン」が存在していたとは驚きです。迫害され続けても、各地に根付いた「信仰の強さ」というものを実感しました。
やぶ蚊の大群が襲ってきたのでそろそろ帰りましょうか…
スピードを上げて坂道を降りてくる時にチラチラ見える姫路城が疲れを癒させてくれました。

今回の走行距離は約12キロ。
これからも自分の知らなかった地元の文化財を、パンフレット片手にブラブラ巡ります。

「三十三番石仏」。
中央の三十三霊場の本尊が彫られた主塔の周りを四天王が守っています。写真には写っていませんが、さらに手前には「十二天」を彫られた石碑があります。

姫路市の各地区別の文化財を紹介するパンフレットを、バインダーして市役所の文化財課で販売している情報を得て、早速買ってきました。出かけるときは行きたい地区のバインダーを外して持ち運べば自転車でも楽ですね。もっと早く買っておけば良かった。

主塔の最上階に居られる「阿弥陀仏」。鼻が高くて異国的です。




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