今回のお土産「せんとくんストラップ」。
愛嬌のある表情がイイ。
次回の奈良は「なーむくん」グッズを狙ってみようか?

09年3月28日 第二回初心者ツアーin奈良  
(東大寺〜薬師寺〜唐招提寺)

今回は7人のツアー

前回の第一回ツアー(京都編)に続いて今回は奈良を目指します。
初心者向けに東大寺〜薬師寺のいかにも「仏像初級王道コース」ともいえるコースを設定、メンバーを募りました。
その結果、前回のツアーよりも2名増え、私を入れて総勢7名の賑やかなツアーとなります。
今回は私(40代)、A君(20代)、B子さん、C子、D子さん、E子さん、そしてF子さん(20〜30代)の前回同様、幅広い年齢層のツアーとなり、総勢7名の大人が私の車に「寿司詰め」状態で乗り込むことに。しかも当日から施行された「ETCどこまで行っても1,000円キャンペーン」で高速は渋滞の予想。さらに丁度奈良は桜の開花時期にあたり、大混雑も予想されるので、早めの出発を考え、メンバーには悪いが朝7時に集合場所に集まることに決定したのでした。
当日、メンバー全員遅れることもなく時間通りに集合出来たので、予定通り7時15分に姫路を出発。予想された大渋滞はなく、思っていた以上に早く奈良に到着、なんと今回は大仏殿前の駐車場にも車を停めることができました。


大仏殿で「せんとくん」を思う

まずは大仏殿に居られる大仏さんにご挨拶。
私の説明「台座の蓮弁とお腹の一部分だけが天平時代のもので、後の部分は江戸時代」に各メンバーが驚く。みんな天平時代から大仏さんはこの姿と思っていたようです。そして大仏さんの周りを一周して大仏殿の出口を出ようとした時に、丁度法要が行われ始めて、一人のお坊さんが大仏さんの前で読経を始めました。しかし周りの参拝者たちの喧騒などで、読経があまり聞き取れなかったのがチョイ悔いでした。
そしてお土産売り場を物色、私は以前から「せんとくん」のグッズが欲しくてたまりませんでした。特に今回はストラップを探していました。それを聞いたC子さんが「ありましたよストラップ」ってを探してきてくれました。せんとくんの小さな金属製のストラップでした、さっそく購入。
考えると最初に「せんとくん」が発表された時に、奈良のお寺界は「仏様に角を生やすとは何事か!」と猛反発。その後地元デザイナー団体公募の「まんとくん」や、奈良のお寺界が考案した「なーむくん」など、「ゆるキャラ連立戦国時代」を迎えた奈良の観光界。しかし今ではせんとくんグッズが堂々と東大寺で売られている…色々な考え方があるのでしょうが、やはりそれだけ認知されてきたのでしょうね、「よかったねせんとくん」と心の中で呟く私。
次に売場の横にある受付で御朱印を頂く。朱印を全く知らないメンバーたちに、朱印の意味を伝授。初めて見る朱印に興味津津。オジサンが筆を滑らすように書く「華厳」の文字を食い入るように見るメンバーたち。
大仏殿を出て「おびんずるさん」を説明。メンバー全員がおびんずるさんの体をさすって(と言っても坐像が高い位置にあるので、膝あたりにしか手が届きませんでしたが)、次の目的地である法華堂に向かいます。


法華堂でガイドさんと張り合う

法華堂では老若男女の団体が、ガイドさん付きで既に20人ほど入っていて込み合っていました。A君は、これまで私が何度か見仏に誘っており、仏像に「開眼」した彼はこの法華堂にも既に何度も来ているので、一人で諸仏を見て回ります。
さっそく私はA君以外のメンバーに諸仏の説明を始めます。その後ろにいたオバサン達も「ウンウン」と頷きながら聞いている。向こうでは他の団体のガイドさん、こっちでは私と二人の案内役の声が堂内に響いていました(仏像さん達、うるさくてすいませんでした)。
特に今回私は四天王に踏まれている「邪鬼」のユーモラスな表情を説明。普段は何気にしか見ていなかった仏像にもよく見ると色々な意味があり、「奥深いものである」のだということが、メンバーにも伝わったことが説明を聞いている彼らの表情を見ればよく分かりました。
その後二月堂の舞台から奈良平野の景色を堪能する。A君以外のメンバーは、修学旅行では東大寺に来たことがるのですが、大仏殿以外は初めてでみんな満足そうでした。
そして二月堂から大仏殿に降りて行く途中、参道や咲いている美しい花、それをスケッチしている人たちの絵を堪能しながら歩いていきます。風が肌寒いが天気が良くて気持ちイイ。


「あぶない看板」で一人論争

大仏殿横にある池に着いた時に、私が以前から気になっていた看板を見つける。
それは古い看板で、小学生とおぼしき裸の少年が帽子を被って池でおぼれていて、それを魚が冷やかに見ている、「あぶない 東大寺」とかすれた文字で書かれた看板。
何時も見るたびにこの絵のシチュエーションが気になっていました。

以前奈良ツアーの時、見仏クラブのT隊員に「この少年は泳ごうとして溺れているのか?だったら帽子被るのは変だし…それともボールを取ろうとしたり、あるいは誤って池にはまってしまって溺れているいのか?そしたら裸なのは変だし…どっちだろう?以前から気になっていたんだ」と言ったら、
「そんなん、どっちでもええやん!看板書いた人に聞いてみなよ」って真剣に言われました。
私以上に「変わり者」のN隊員は、「この池は深くて危ないので気をつけなさいということなんだろうな、こんな目立つ場所で泳ぐ変わり者はまずいないだろうから、きっとこの坊やは溺れてている時に脱げてしまったのか、あるいはあまりの暑さに池に落ちる前から上半身裸だったんだろうな」なんて真剣に答えていたっけ…

以前から気になっていたことをA君に言うと、彼は返す言葉に困って笑っているだけでした(そりゃそうでしょう、まじめなA君には答えようがない)。
熱くA君に語りながら、看板の写真撮っている私を見て、通りすがりのオバサン達が「この人、なんで看板なんて撮っているんだろう」って不思議な眼で見ていました…


薬師寺で「お身拭い」に遭遇

東大寺を出て、途中のファミレスで食事を済ませ、薬師寺に到着。
私はメンバーに薬師寺で楽しい法話を聴かせたくてコースに入れていました。修学旅行生などを対象にいつもやっている「おもしろ説法」。これを聴かなくては薬師寺に来た甲斐がありません。
南大門をくぐると、金堂前は黒山の人だかり。
近づくと本尊の「薬師三尊」の前に僧侶たちが勢ぞろいして読経している。報道のカメラマンも数名来ていて撮影している。
堂内には読経がこだまして、メンバー達は初めて見る光景に真剣に「何やっているんだろう?」と見入っている様子。その間私はメンバーに薬師三尊の説明を行う。
するとB子さんが「今パンフレットを見ると、今日は『お身拭い』の日ですね」って。そうか今日は仏さんの魂を抜いて、汚れを拭きとる神聖な日だったか!僧侶たちは読経が終わると下駄に履き替えて、「カランコロン」と下駄の音を響かせながら、いそいそと金堂から大講堂に大移動。その後に全員付いていきます。今度は大講堂の本尊「弥勒三尊」の前で般若心経を全員で唱える。しかも管長(御住職)の安田映胤さんが鐘を敲きながら先頭に立って唱えているではないか!安田映胤さんの「ナマ般若心経」に聴き惚れながら、慌てて一緒に唱える私…
その後「玄奘三蔵伽藍」へ移動。「玄奘三蔵像」を拝んでから、本日後半のハイライト、公開中の平山郁夫作「大唐西域壁画」を観る。
この作品が出来上がる経緯(高田好胤さんと平山氏との口約束から始まって、好胤さんの死、完成までの歳月など)をメンバーに熱く説明。全員がこの壁画のスケール感、立体感に心が打たれた模様。
そして「白鳳伽藍」に戻って、最後に訪れた「東院堂」。丁度本尊の国宝「聖観音」の魂を抜いて信者たちが拭き始めたところでした。諸仏の説明をメンバーにしながら、「俺も観音様を拭きたいなぁ〜替わってもらおうかな?」なんて言うと、クスッとE子さんに笑われる…


唐招提寺で「なーむくん」を思う

薬師寺を出るときはまだ午後3時前。「もう一寺行かないんすか?」のA君の問いかけで、「よーし、お隣の唐招提寺に行こう」とメンバーに伝える。
唐招提寺に入ってみると受付のオジサンが、「残念ですが金堂は修理中で入れません、中に居られた仏像さんたちも修理中で拝むことは出来ません。でも新宝蔵館は無料で入れます…」
ガーン。金堂は2010年修復に向けて、今はまだ入れないのはある程度分かっていたのですが、中に居られた国宝の三尊(千手観音・薬師如来・盧舎那仏)は以前のように仏像修理所で拝観できるものと思っていました。
メンバーには申し訳ないような気持で新宝蔵館に向かう。
中にはいつののように、腕がなかったり、焼かれたりして五体満足でない破損仏がほとんどでした。
私的には、「ガンダーラ仏」的趣のある「仏頭」や、エキゾチックな木芯塑像の「大日如来座像」など、グッと来まくりの仏像もありました。
一番人気の、「唐招提寺のトルソー」は何故か居られませんでしたが…
しかし新宝蔵館を出てA君は言う。
A君「でもなかなかいい仏像が多かったですね〜」
私「おお、そうやな。あの空間には『一つの世界』が確かにあったな」
重たい気持ちが少しだけ軽くなりました。

唐招提寺を出て、駐車場脇のお土産屋さんに入る。
「ゆるキャラグッズ」ではやはり「せんとくん」がダントツで多かった。次いで「まんとくん」。後発の「なーむくん」に至ってはTシャツが一枚だけ…
しかもサイズはM。「LLだったら買ってあげようかな?」なんてチョット思ったりして…
今度は「がんばれなーむくん!」と心の中で叫ぶ私…
お土産を買って出てきたメンバーが揃ったところで、さあ姫路に帰りましょう。


今回の参加メンバーは、「新しい世界」に触れたような新鮮な眼で楽しんでくれたようで、皆満足げでした。

そこで次回は(あるかどうか分かりませんが)、更にステージを上げてディープな仏像(あまりメジャーでないけどグッとくる仏像や山岳系など)を絡めながら計画を練り始めている自分が怖い…
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大仏殿前の美ししい桜。カメラマンが後を絶ちません。

薬師寺に行ったら、必ず立ち寄る「木のトンネル」。
桜も咲き始めて、美しい。
トンネルの向こうには、いつもの美しい「西の京」の田園風景が。

私をいつも悩ませる看板。

大仏殿の前に立つ国宝「八角灯篭」。
各面に彫られた獅子の駆ける姿があまりにもカワイイので写真ポチリ。

法華堂に向う階段にて。
桜はもうすぐ満開か。

スケッチをしているオジサンたちに話しかけるメンバー達。
こういったふれあいもツアーの楽しみの一つ。

大仏の前で読経するお坊さん。よく聞き取れなかったのがチョイ悔いでした。




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