現在金剛院の宝物館では「深沙大将」のお隣に、同じ快慶作の、こちらも重要文化財の「執金剛神」も並んで展示されています。
東大寺のあのお方並みの、凄まじいド迫力の表情で迫ってきます!

このお二人ならきっと世界を守ってくれることでしょう…
そう思わせる「世界最強タッグ」です。
劇画タッチのド迫力守護神 深沙大将 (舞鶴 金剛院) .

私のまだ見ぬ仏像で会いたいベスト5に入るお方です。

若狭地方は昔から、大陸の玄関口として色々な文化が流入してきた歴史ある地方でもあります。
その若狭地方の舞鶴にある金剛院。
このお寺に快慶作といわれる重要文化財の「深沙大将像」が居られるのです。

深沙大将(しんじゃたいしょう)…
あの三蔵法師こと、玄奘三蔵が西域に経典を求めての旅の途中、砂の河から現われて三蔵を守護したといわれる守護神。三蔵が実際にインドから持ち帰った経典のひとつ、「大般若経(だいはんにゃきょう)」に説かれる鬼神でもあります。
一説によると、三蔵は前世では何度もこの深沙大将に食われたのですが改心して、三蔵が天竺までの道のりで、水を得ることができない砂漠で倒れようとした時に、砂の中から現われて助けたという。
髑髏(どくろ)の首飾りを付け、「象皮(ぞうひ)面」といわれる象の顔の付いた膝当て。前に張り出した右腕に蛇を絡ませ、お腹には人面(今まで食ってきた前世の三蔵の顔とも言われている)を付けているという異形中の異形なお方。
後にあの「西遊記」の沙悟浄のモデルになったと言われています。
そして日本では「川の神様」として各地で祀られているようです。

この金剛院のお方を見ていると…
現在は、当初はあったと思われる髑髏の首飾りや人面、蛇などは欠落しているようですが、快慶作らしく筋肉隆々、血管浮き出しのリアルな造形に息を飲む。
特に劇画タッチのド迫力なお顔にただ圧倒されます。特に飛び出した目!いかにも「慶派」の仏像らしくやはり目が活きています!こんな表情で迫られたら、三蔵を襲いに来る悪魔たちはきっと逃げ出しそうになるはず…
「守護神」というよりもう「鬼」ですね。
そして象の膝当てがカチョイイ!象のようにズンズン響かせながら大地を駆けるのだろうか…
ところでこの深沙さん、海外でも以外に人気があるようで、近年ではなんとニューヨークに出展されたそうな…これを見た本場の「ヤンキー達」もさぞや度肝を抜かしたことでしょう…

しかしこんな表情で突然砂漠の中から現われたら、流石の三蔵も腰を抜かしたに違いない…
「これまであなたを前世で食い続けてスイマセン、これからどんな苦難な道のりでもあなたをきっとお守りします!」って言ってもさすがに信じてくれないだろうな…(笑)

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快慶作の深沙大将。
リアルで今にも歩きだしそうなお方。象の膝当てもカッチョイイです!

見よ、この劇画タッチのド迫力の表情!
この顔で迫られたら、誰だって三蔵に手出しできません…
※ここに掲載する写真は、内田和浩著「ふるさとの仏像をみる」からスキャンしたものです。
  まずかったら訴えずにまずご一報を。
                                



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