08年8月17日 家族見仏 とくかく圧倒「越前大仏」 
(勝山 清大寺 )

家族旅行のついでに立ち寄る

お盆休みの福井旅行のついでに立ち寄ってみました。
勝山市にある大師山 清大寺(だいしさん せいだいじ)。
臨済宗の妙心寺派のお寺で、昭和62年に多田清という人が資材(なんと500億円以上)を投げうってこの地に建立したとか。
バブリーな時代、わが国にはいわゆる「巨大仏ブーム」が巻き起こっていました。その時代に作られた巨大仏、これは行かねばなりません。家族を乗せた車は越前大仏目指して車を走らせます。
そして勝山の山のふもとにいきなり巨大建造物群が現れます。
「でかー!」って思わず叫ぶ私。興味を示さなかった我が子たちも、「いったい何だこりゃ?」といった表情で窓越しに異空間を見ている。


本家を意識しすぎ?の建造物

駐車所に車を止めて境内に突入します。
駐車場から入口である「大門」までは「門前町」として土産物屋さんや休憩所などが数十軒ありましたが、開いているのは大門までのメインストリート沿いの数軒だけ。我が家族以外に拝観者はいない…
巨大な大門に到着。看板に「第五日曜日は無料拝観日です」という案内。
「あれ?今日は第五日曜日か?たしか第二だったよな?」と思わずカミさんに聞く私。でも受付の窓は閉じられていて、自由に入れる雰囲気がビンビンだったのでそのまま突入します。
大門を守る仁王のお二人は、本家の東大寺のお二人にそっくり。大門の造りも本家の南大門とそっくりで、本家を意識しているのが次第に分かってきました。
でも子どもたちは、このこの広大な空間を独り占めできる嬉しさからか楽しそうに走りまくっていました。
「中門」を過ぎていよいよ大仏殿前に到着。
とにかくデカイ!このでかさはやはり実際に来てみないと実感できません!
東大寺の大仏殿の同じ様な造形で更に一回り大きくした印象。
そこで正面の「八角灯篭」が目に入る。これも東大寺の国宝と同じ造形。
「もしやここにも東大寺の『音声菩薩』さんが居られるのでは?」と思ってみると、なんとそこには戒壇院の四天王さん(ぽいお方たち)が居られました。これにはビックリ。
「もしや大仏さんもそっくりでは…?」という不安をチョイ抱きながらいよいよ大仏殿に入ります。


ただ圧倒されます

やはりデカかった「越前大仏」。大仏殿入口にある銘文にも『奈良の四十九尺にたいして五十六尺』と、「こちらの方が大きいぜよ」って言いたげに記してありました。
しかしお顔は奈良の本家とは全く違う表情。
奈良の大仏のように、上から下にいる衆生たちを優しく見下ろすのではなく、目を開いて正面をまっすぐ見据えている。お顔だけみると、中国風の仏像に見えてくる。
白豪(びゃくごう:額のホクロ)のない額、螺髪(らほつ)もブツブツのパンチパーマではなく、渦巻き状の変わった形状。唐から伝わった「清涼寺式」の螺髪っぽい。再び入口に戻って銘文を見ると、やはり「中国洛陽の『奉先寺』がモデルであり…」って記してありました。そういえば回廊や伽藍配置やあちこちに配置されている石造を見ると日本ではなく、中国っぽい。
両脇侍である2体の観音様や羅漢様も10m以上もあるデカさで見る者を圧倒している。
広大な大仏殿の中に、私たち家族4人だけ…なんか寂しく思っていると、ようやく後から2家族やってきました。一応にみんな「おお〜」って驚きの声を上げています。我が子とカミさんが焼香をしている間に、大仏の周りをぐるっと回ることにします。
大仏の周りには1200体以上の仏像が壁に配置されていて、皆なんかガンダーラ仏像のような石像でした。
東大寺を意識したような建造物・中国風の巨大大仏・ガンダーラ石像のような1200体の仏像…私の頭の中がチョイ混乱していくのを感じます。「ここはお寺ではなく、なんかのテーマパークなのでは?」戸惑いを感じながら大仏殿を出て、五重塔を見上げる。パンフレットを見るとなんと興福寺や東寺を抜いて「日本一の高さの五重塔」らしい。
その奥には日本庭園や九龍殿(中国で国宝第1号になった装飾壁を再現したものがあるそうです)があるようでしたが、もう大仏殿より先は行く気も起らず、「そろそろ行こうか?」と家族を連れだしました…


これからどうなるのか「越前大仏」

結局この清大寺にいる間に、お坊さん(もしくはそれと思われる人)には一人も出会わなかった…
家族は意外に「楽しかった」って言ってくれたので来て良かったのですが、私自身チョイ「消化不足」か?大仏自体は優しそうなお顔で印象も良かったのですが、お寺自体の雰囲気(周りの環境を含め)がマッチせず、ここに置かれた大仏さまもチョイ困惑している(?)ようにも思えました…

旅行から帰って色々調べると、現在この清大寺は「市税の滞納」で、一部の建造物が差し押さえされているようです。
「日本一の五重塔」も競売にかけられたそうですが、金額が高すぎて入札者はいなかったみたい。
この先どうなるのでしょうか?このまま拝観者が激減して、閉鎖になって…なんて考えるとここに置かれた大仏様を含め、数多くの仏像たちが可哀そうにさえ思えてしまう。「バブル時代の負の遺産」なんて言われればそれまでですが…

大仏さまの優しそうな「前向き」な眼差しが未だに忘れられません。

「大門」を守る仁王さん。
まんま本家のお方と同じです。

大仏殿前の広大な広場。
誰もいないことをイイことにわが子たちは走りまわっていました。

八角灯篭には本家の四天王さんぽいお方たちが彫られていました。

広大な大仏殿内部。
巨大な大仏たちの周りを1,200体以上の仏像が取り囲んでいます。

大仏殿から見た景色。
これまたデカイ五重塔が青空に映えています。

お顔もなんか中国風ですね〜

帰りに「門前町」を振り返る。向こうに大門。
人もまばらでチョイ寂しい。このまま寂れてしまうのだろうか…

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