あらゆる人を魅了する笑み 千手面観音 (京都 法性寺) .

以前からお逢いしたいお方の一人です。
京都東山の法性寺(ほうしょうじ)。
平安時代中期、左大臣 藤原忠平(ふじわらのただひら)が、建立。広大な伽藍を誇り、以後藤原氏の私寺として栄えましたが、ひ孫の九条道家が法性寺を捨てて寺域に東福寺を建立してから衰退がはじまり、応仁の乱で堂宇が焼け、壊滅状態になります。
明治になって浄土宗の尼寺として再建したそうです。

そんな移り変わりを目にしてきた、本尊の国宝千手観音立像。
発願した忠平が難病にかかり、この千手観音に祈願したところ、たちどころに回復し、以後「厄除け千手」として女性にも信仰を集めているという。
私は前回の見仏クラブによる「京都見仏ツアー`07」で、拝観の事前予約をして「いざ法性寺」と意気込んで行ったわけですが、何かの間違いで伝わっておらず、まさに「門前払い」を受けたことがありました。
その時は悲しかったですが後から考えるとその方が良かったかな?と思いました。
その時はスケジュールを焦っていて、いくつものお寺を巡って、とてもじゃないけどじっくり拝観できるような状態ではありませんでした。
この後写真で、この観音様のお顔を見ていると「私に会いたいときは、心に余裕ができた時に来なさい」っているように思えてきます。

脇手を除いて桜の木一本から掘り出された檀像風彫刻。金箔など表面には施しはせず、素地のままを表す素木の像です。
そして「三面千手」といわれる形式で、本面の左右に憤怒相のを面つけ、25の頭上面と合わせて計27面をそなえた珍しいお方。
肩から首にかけて、当初はあったであろう瓔珞(ようらく:装飾具)は今は無く、それがかえって素朴感があってイイ。そして腰の「くびれ」がまたすごい。とてもありえないくびれ方で、それがかえってこの像の全体のバランスを取っているようにも思えてしまう。

そしてお顔がまたイイ!目を閉じ、かすかに微笑みを浮かべる口元。なんと可愛らしいお顔だろうか…。
じ〜とみていると「仏像」の枠を飛び出して、あらゆる信仰の元でも人々を魅了、安らぎを与えてくれるお顔(と言ったら大袈裟か?)といってもいいお方。ここ微笑みには、左右に配置された「憤怒面」さえ可愛らしく思えてしまいます。

やはりこういうお方はサシでじっくり時間をかけて拝観する方が良かったか…

次の京都ツアーこそお会いしたいお方です。

国宝千手観音立像。
腰のくびれが悩ませます。

この微笑みが私を魅了します…
合掌した指先が何故か開いているけど、それさえも素敵に思えてくる。
今度こそナマでじっくりお逢いしたい。

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