08年7月16日 第11回見仏ツアー 熱くさせるぜ西大寺 
(西大寺〜東大寺 )

西大寺「愛染堂」。
この中に私たちを汗だくにさせた熱い愛染さまが居られます。

なぜゆえ西大寺?

「見仏ツアーで奈良に行くときはいつも『東大寺』ばっかり。東に対して西の『西大寺』も忘れないでいただきたい」ってどこからか天の声がしたかどうかは分かりませんが、何故か西大寺に行きたくなってきた私。
初めて行く西大寺。
私は以前から、火災にもメゲズ、四天王(多聞天)の踏みつけにもメゲズ、創建当初から唯一残っておられる「最古参」の踏まれ続けて1200年、いわゆる「どっこい邪鬼(勝手に命名)」が気になっていました。そして「長谷寺式十一面観音像」「清涼寺式釈迦如来像」も是非お会いしたいとかねてから思っていました。

いつものように気心の知れたオッサン三人を乗せた車は、姫路を出発して東へ東へ…


燃えた「不動明王」

駐車場に車を停めて早々に境内に突入。隣接する幼稚園から聞こえる園児の元気な声を聞きながら、オジサンたちも元気に参ります。
まず一番に入る「四王堂」。
堂内の正面には嫌でも視界に入る、巨大な「長谷寺式十一面観音像」。観音様としては錫杖を持つ珍しいお方で、上から拝む者を見据えている感じ。「よく来たな」って遥か天上から観音様の声が聞こえてきそうな壮大なお方です。
そして色々と堂内で位置を変えて見上げても、何故かこの観音様とは視線が合う。「何所へ行ってもお前を見逃さないぞ」って言っているのか?「何所まで行っても貴方のことを見ていますよ」って言っているのか?…私は前者のように感じました。それほど見る者を圧倒する壮大なお方でした。
しかしこの四王堂で最も私をグッとさせたのは、この十一面さんの前に立ちはだかる「不動明王立像」でした。
身の丈1m足らずの不動さんですが、厳つい表情にグッと来ます。
ここでお寺の職員さんの解説が入る。「不動さんは火の神様でもあるんですね。法要なんかで時々観音様の前で護摩を焚くのですが、その時に炎から観音様をお守りする役目もあるのです。」
たしかに凄いお方です。特に私が魅入ったのは「火焔光背」。
炎が凄まじい勢いで流れている。そして後ろからの激しい炎が前に回り込んで不動明王を後ろから包んでいる!珍しい火焔光背にグッと来ます。「このお不動さんは、自ら炎に包まれながら本尊さんを守っている熱いお方ですね」って言う私ににっこり頷く職員さん。
その後私の逢いたかった、「どっこい邪鬼」の解説を職員さんは熱くしてくれましたが、私は先ほどの不動さんが気になって仕方ない状態。解説が終わるとすぐさま不動明王の前に戻る私。
「いいなぁ〜。あの光背だけでも持って帰りたいよ」ってN隊員と話しながら四王堂を出る。


萌えた「文殊菩薩」

次に向かうのは本堂です。先に入っていたオバアサン達の集団がお坊さんの法話を聞いていました。私たちも本堂の入口のから聞いていましたが、さっきから視界に入る「文殊菩薩」が気になっていました。遠くから見るとチョイ「寄り目」気味の幼顔。早く法話が終わらないかヤキモキしていて「それじゃあごゆっくり御覧なさい」という言葉と同時に文殊様の前までダッシュ!
お坊さんが話していた、この文殊様に付き添う四人の従侍の一人「善財童子」(灰谷健次郎の小説のモデルになった可愛いお方)も全く視界に入らず、ただ文殊さんだけしか目に入りません。
まずお顔を拝見。幼顔なのに逞しさもある。そして赤い唇がセクシーです!「見仏記」でいとうせいこう氏が「恋をした」と言っていますがまさにその通り。見ているとドンドン惹き込まれていきます。この文殊さんイイ!
そして乗り物の獅子もまたイイ!鼻の穴を思いっきり開いて荒々しい鼻息がこっちまで届いてきそう。そしてお尻のシッポを思いっきりはね上げて躍動感があります。なぜか鼻先がピカピカに光っている…
N隊員「元気そうな獅子。鼻だけが何故かツヤツヤして光っている」
私「犬もそうだろ?鼻が乾かないように常に舐めている。獅子だって鼻が光っているのは元気な証拠。誰も見ていない夜中にぺろぺろ舐めていたりして」などとくだらない会話をしながら見仏を続ける。
T隊員は堂内に収められた300個の黄金の灯篭(お坊さんの話では1個200万円の灯篭なので総額6億円の寄進!)に彫られた寄進者の名前をチェックを一つ一つしている。「ほ〜っ、こんな企業が、こんな銀行まで寄進している。みんな金持ちだなぁ…」職業がセールスマンだけに現実派ですな〜
そして巨大な「弥勒菩薩坐像」や衣紋の流れが美しい「清涼寺式釈迦如来立像」を見ますがやはり私は文殊様。
中興の祖と言われる「叡尊坐像」の前に4か月前に供えられた、全く腐っていないリンゴが飾られていました。「これは叡尊さんのパワーなのでしょうかね〜?」のお坊さんの解説に、「いえいえ、リンゴが腐らないのは『若々しい』文殊さんのパワーですよ」って言いたくなるほど、若々しいパワー漲る文殊さんに悲しい別れを告げて、本堂を出ます。次は愛染堂です。


またまた燃えた「愛染明王」

愛染堂に入って中央に黒光りの厨子が目に入ります。実は本尊の愛染さんは秘仏で、「御前立ち」の愛染さんにお坊さんの解説が入ります。
御前立ちの愛染さんは、秘仏のお方とほぼ同じ大きさに造られていて造型も殆ど同じということです。
そしてこの愛染さんを拝みながら解説を聞いていると、何故か汗がだらだら出てきます。私たち3人と老夫婦を含めみんな汗だく。タオル無しでは聞いていられません。愛染さんから熱波のような波動が放たれて、見る者を熱くしているみたい…
「殆どの愛染さんは宝瓶の上に乗っていますよね。宝瓶から宝が噴き出すかのように愛の力、母親の慈愛が噴き出ているのですよ」って解説にみんな汗を噴き出しながら大納得。
赤い色を見ていると、心理学で見ているこっちまで熱くなるって話をよく聞きますが、この愛染さんはそれだけでは語れないような不思議な力を持ったお方だと感じました。

四王堂の不動明王は見るものを「ファイヤー!」のごとく一気に熱くさせますが、こちらの愛染明王は「電子レンジ」のようにジワジワ体の内側から熱くさせるお方でした…
汗のかきたい、体を熱くさせたい人にお勧めの西大寺です…(変なまとめ方だなあ)
外のムッとするような暑さにヘロヘロになりながら車に乗り込んで、東大寺に向かいます。


外人さんが燃えた「猿沢の池」

車をいつものように「高畑駐車場」に停めて歩きます。まずは腹ごしらえ。いつものように近鉄奈良駅付近にあるラーメン「天下一品」へ向かいます。その途中「猿沢の池」の畔で外人さんたちが集まっているのを発見。
「なんだなんだ?」と寄って行くと、みんなカメを見ている。
私「彼の国にはカメがいなくて珍しいんじゃない?」
T隊員「この池には外国産のミドリガメばっかしだな〜国産のクサガメは殆どいない」ここでT隊員にクサガメとミドリガメの見分け方をレクチャーしてもらう。
私「ミドリカメって外来種なんだ…」
T隊員「そう、だから外人さんたちが応援に来ているんだろうなぁ」
私「頑張れ国産、クサガメ」
って外人さんたちが意味が分からないことをイイことに、ショーモない話をしながら、ラーメン屋に再び向かいます。
ラーメン屋ではいつものようにカロリーを気にせず餃子定食を食べる。
こういうとき、3人とも話題は決まって健康に関して。3人とも会社での健康診断が終わったばかりで「メタボ検診」の結果を話し合いました。
「だったらラーメン屋なんか寄らなきゃいいのに…ってツッコミはやめましょう」っていうまとめでラーメン屋を出る。
近くのコンビニでアイスクリームを買い、奈良公園で食べていると早速、前回同様に鹿がやってくる(前回はシュークリームでした)。前回同様に「ガルル…」って吠えて威嚇しますが今回の鹿達に全く効果なし。頭を上下に振って「オクレヨ、オクレヨ」と迫ってくる。私の見仏バッグ(今回はワンショルダー)に頭突きを喰らわせる。ヤバイ、身の危険(アイスの危険)を感じた我々は早々にその場から逃げ出して歩きながらアイスクリームを食べる羽目に…
鹿達も食い物を見ると、熱く燃えるのですね…


N隊員はどんぐりに燃えている

奈良公園を歩きながら突然N隊員が話しだす。
N隊員「やはりこの時期ドングリ落ちていないなぁ」
私「また秋に来たらいいじゃん」
N隊員「ところで『どんぐらー』って聞いたことある?」
私・T隊員「なんじゃそりゃ?」
N隊員「どんぐりを拾って、いかに育てるか、日々試行錯誤しているマニアがいるんだけど、彼らは自称『どんぐらー』って言っているそうやで。」
私「あんたもその『どんぐらー』じゃない」
N隊員「そう言われればそうやなぁ〜」
※実はこの数日前、N隊員の家の前を自転車で通りかかった時、偶然庭の手入れをしていた彼に会ったのですが、このとき去年の『奈良産』のドングリが芽を出して、育っているのを見せてもらいました…彼は立派な「どんぐらー」ですな〜

そうしている間に東大寺に到着。ヘロヘロになりながら法華堂までのなが〜い階段を登ります。


法華堂内も燃えていました

「誰もいないでくれよ…」ゆっくり休みたいT隊員の言葉と裏腹に、法華堂は満員でした。人の熱気もあってとにかく暑い。
でもなんとかT隊員は本尊の「不空羂索観音」の正面に座れることができ、そのままどっしり構えて動かない。
N隊員と私はあっちこっち動き回って諸仏を堪能。
ここで彼が以前から私にメールで告知していた「秘密兵器」を出す。それは見仏スコープでした。コンパクトな双眼鏡で、彼はそれを使って奥に居られる吉祥天のお顔を真剣に見ています。
そうしているうちにまた汗が噴き出してきました。もう私はタオルを首に巻いたまま、拝観に来ていたオバアサン達にいつものように諸仏の案内を始めます。
T隊員はじっと本尊を眺めて動かない。
N隊員は見仏スコープで相変わらずアッチコッチ見て回っています。
思い思いのスタイルで法華堂を堪能。

一時間ほどして法華堂を出る。そしていつものように二月堂で涼しい風に当たりながら、奈良平野を見渡してようやくホットします。


また燃える秋に来よう

今回は燃えることばかりで、暑くて熱い奈良ツアーでした。
N隊員はしきりに「また秋に来たいね〜」と吠えている。
「西大寺にはクヌギやコナラの木があったので、きっと秋にはドングリがおちているはず…」完全に「どんぐらー」ですな…

私はあの文殊さんのお顔が未だに忘れられません。
きっと頭の中で聞いた、「西大寺も忘れないでいただきたい」の天の声の主はあの文殊さんだったのでは…?

西大寺…熱く燃えた素敵なお寺でした


本堂の屋根の上には「豚鼻」の獅子が…文殊様の獅子のように鼻息が荒そうです…可愛い!

四王堂。
この中に熱いお方、「ファイヤー!不動」が居られます。

愛染堂横に鎮座する巨大な緑の観音さん。
一体何者なのか?気になります。

皆さんそんなにカメが珍しのか?
畔に集まって写真を撮っています。

数少ない「国産」クサガメを発見。
思わず写真を。頑張れ国産!

とにかく暑い…
三人はとにかく法華堂へ向かいます。早く一休みしたい…

「一願石」を見つけると思わず回してしまう私達。

最後はお決まりの「二月堂」で熱い奈良ツアーを締める。

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