08年6月6日  一人見仏 竜宮城でのんびりする  
(高砂市 十輪寺 )

共に二重屋根の本堂(左)と仁王門(右)。
共に壮厳な造りで圧倒されるのですが、なぜか絵本で出てくる「竜宮城」をイメージしてしまった私…

家でゴロゴロ出来ません

6月6日は会社がお休みの日。今日は家でゴロゴロしようと思っていましたが、やっぱり行ってしまったお寺へ…

前回の時光寺と同じく高砂市にある十輪寺です。
以前から、ネットや本で見ていて気になっていたお寺です。立派な仁王門、裳階(もこし)が付いたような二重屋根の本堂を是非ナマで見たくて機会があれば行ってみようと思っていました。
丁度高砂市に出かける用事があったので、そのままついでにお寺に向かうことに(って本当はお寺がメインだったりして)…

十輪寺はかの弘法大師こと空海が入唐の際、播磨灘で紫雲に乗った地蔵菩薩に出会い感動。この地に一堂建立を誓って旅立つ。帰国後嵯峨天皇の勅命により創建したといわれています。しかし鎌倉時代の戦乱で荒廃した時代、一時期衰退したのですが、浄土宗の法然が讃岐の国へ流罪で向かう途中この地に立ち寄り、高砂の漁師だった八田治郎太夫(はちだじろうだゆう)夫婦に教えを説いたことをきっかけに、真言宗から浄土宗に改宗して一気に復興したといわれています。

山陽電鉄の高砂駅を南に歩いて商店街を通り過ぎて10分位で到着。住宅街と商店街に囲まれたお寺です。

やはりイイですね〜この仁王門。
享保年間(18世紀)の建立で、市の指定文化財である仁王門、屋根の下の組み物が白く塗られていて良いアクセントになっています。しかも二重屋根の構造の仁王門なんてあまり見たことありません。
そして仁王門には手書きで「自分の足あとをふりかえりながら進む」と貼り紙が…
いい言葉だぁ〜
仁王さんたちも厳ついお顔でお寺を守っておられます。
「いいか、今まで自分が行ってきたことを何時も振り返りながら生きていくだぞ!」って御住職が書かれたであろう言葉を、この仁王さんたちがこっちに語りかけているようにさえ思えてしまいます。


生き物たちのパラダイス

仁王門に見惚れている私をよそに、猫が私の前を通り過ぎて仁王門からお寺に入っていきます。
仁王門の屋根の上には鳩が「グルッポー」と…
本殿の屋根の上にはカラスが「カア〜カア〜」と…
皆のどかにお昼前のお寺のひと時を楽しんでいるようです。

本堂に上がるが、やはり入口は固く締められていました。
本尊の「阿弥陀如来立像」、弘法大師が彫ったといわれる「地蔵菩薩立像」、そして国の重要文化財の「絹本着色五仏尊像図」は拝めるとは最初から思っていませんでしたので、それほどガッカリはしません。
「最近『一人ご近所見仏』ではあんまり仏像見れてないジャン」って見仏クラブの隊員は言っていたけど、仏像見れなくてものんびりお寺で伽藍で過ごすのも悪くないなと思うようになってきた私…

そしてこのお寺で仏像以外で是非見たかったのは、「宝篋印塔(ほうきょういんとう)」。
豊臣秀吉が朝鮮出兵(文禄・慶長の役)の際に、高砂の地から20歳〜50歳までの100人の漁夫たちが水夫として駆り出され、戦死や溺死で96名が死亡、無事に高砂の地に帰ることが出来たのはわずか4人という悲しい出来事があった。その鎮魂、菩提を弔うために建てられた「溺死供養塔」。
中心の「宝篋印塔」に肩を寄せ合うように小さい石塔が集まっています。暖かい日差しを受けて皆この地に眠っている…
誰かがお参りしたのでしょうか、線香がまだ灯いていました。


高砂の竜宮城

振り返ると鐘楼の鐘の下でさっきの猫が足を延ばしてゴロンしていました。

広い伽藍で私一人(庫裏や社務所には誰かいたはずですが)。
あとは猫と鳩とカラス…

まるで時間が止まっているようです。

「ここにいると時間が止まっているみたいだなぁ〜」なんて考えてながら、二重屋根の本堂と仁王門を見ていると、何故か絵本で出てくる「竜宮城」を連想してしまいました…
「鯛やヒラメの舞い踊り」やお宝、美味しそうな料理、そして「美しいオネエチャンたち」(なんとオッサン的な表現だこと)は居ませんが、ここにいると確実に竜宮城にいるように時間は止まっている。
「溺死供養塔」に眠っている漁師たちものんびりしているようです。

かつてはこの十輪寺のすぐ傍にまで海はあったそうで、潮の香りが絶えずしていたことでしょう…

さあ、浦島太郎にならないうちに姫路に帰りましょう(ホントは小腹が空いてきたので…)

高砂駅から電車に乗ってゴトゴト揺られて帰る途中、ウトウトしてしまいました。

やはり夢物語だったのか?竜宮城…


おニャンコさまがノンビリと、足あとをふりかえらずに歩いています。

おカラスさまも本堂の屋根の上で羽を広げて気持ちよさそう…

「自分の足あとをふりかえりながら進む」…
う〜ん深い。

「溺死供養塔」。「宝篋印塔」を中心に小さい石塔が固まって並んでいます。それぞれが溺死した漁師さん達なんでしょうね…

「蓮華座」に直接,、観音さまの足や首が…!
一瞬ドキッとしましたが、多分災害などで倒壊したのでしょうね…痛々しいお姿です…

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本堂の登り口の石段に靴ベラが…
置いてあるというより落ちたままという感じ、小さな親切にニッコリ




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