08年4月26日  初心者見仏ツアーin京都  
(東寺 三十三間堂 六波羅密寺 清水寺 )

テーマは「圧倒」初心者ツアー

今回は男女5人しかも私(40歳代)からA君(10代)・B君(30代)・C子さん・D子さん(共に20代)という老若男女(?)の混成団体ツアー。しかも私以外の4人はほぼ仏像初心者という、賑やかなツアーになりました。当初から彼らには仏像に関する予備知識は入れさせずに「とにかく新鮮な目で見て感じろ」っていうスタンスで挑みます。行先は東寺〜三十三間堂〜清水寺という「ガツン&癒し」の京都王道ツアー。彼らには「テーマは『圧倒』です」の一言だけ伝えました。
朝早くの集合でしたが、全員未体験のツアーだけに興奮しているのか、京都に向かう車の中でのテンションは上がる一方(といっても一番盛り上がっていたのは運転手の私かも…)。

まずは東寺。京都駅南の駐車場から東寺までの道のりで、軽く東寺の歴史等をレクチャー。私の説明「東寺の仏像は簡単に言うと『エロカッチョイイ』仏像です」という説明にメンバーは興味津津。
東の玄関「慶賀門」にて「今日の弘法大師の教え」を見る。
『悪を断ずるが故に苦を離れ、善を修する故に楽を得』
悪いことをしなければ苦しむこともなく、善いことことをすれば楽を得るのである、ということ。いい言葉です、メンバーに読み聞かせていよいよ突入です。


圧倒された立体曼陀羅

いきなりメインの立体曼陀羅を見せず、にまずはジャブとして金堂。
巨大な「薬師三尊」の前で、薬師如来の脇侍である日光月光菩薩の意味(日光さんが日勤、月光さんが夜勤の看護婦の働き)、薬師如来の光背にある「七化仏」、両菩薩のセクシーな腰の捻りなどを説明。
ここでB君が「質問です。よく仏像などで蓮の花がセットでありますが、意味があるんでしょうか?」これに対して私「おっ、いい質問です。蓮の花は美しいですが、実は下の部分、池の底にある泥の部分で根を張って水面から出てきて美しい花を咲かせる。人間も泥の中でもがいて努力してこそようやく地上に出て美しい花を咲かせることができる、そういう仏教の教えも関係しているんでしょうね」って答えにメンバーは「ウンウン」と頷くばかり。仏像の深さが徐々にボディーブローの様に効いてきたところで、いよいよメインディッシュの講堂です。

講堂に入ったとたん、「おお〜」って声が。
煌びやかに配置された21体の仏像は、全員が大日如来の化身で、序列がなく、私たちの救済のために役割を異にする尊像に変身する働きを現したのもであることを説明。メンバーは特に「五大明王」に興味を抱いたらしく、真剣に見仏していました。ここで私は自分のお気に入りで、梵天と並んで『エロカッチョイイ仏像』の代表と言える「降三世明王」の説明に入ります。すると後ろで聞いていたオバサンの団体が「そういう意味があったのね、この仏像はどうなの?」って…私がボランティアの説明係と思ったのかドンドン聞いてきます。
「しかし降三世明王って踏んでいるのがヒンズー教の神様(シバ神とその妃)なので、ヒンズー教徒の人が見たら怒るで〜」って私の説明にオバサンの団体含めてメンバー全員が笑う。

講堂を出て一休み。メンバーに聞くと全員やはり圧倒されたみたい。とくにC子さんは「名前は解らないけど、入ってすぐのあの刀を持った仏像が凄いと思いました」って、持国天のことでしょうね〜。全員満足げだったので私もホットしました。
丁度五重塔が特別公開中でしたが、次のスケジュールがありましたので涙を飲んで次の目的地である三十三間堂にタクシーに乗って向かいます。


圧倒の連続三十三間堂

三十三間堂に到着。入口で待ち構えているオバサン達にいつものように「靴はここ、あなたはここの靴箱、ハイハイあなたはこっちよ」というように事務的に靴を脱がされ、裸足になっていよいよ千体の千手さんとの対面。私以外は全員三十三間堂も初めてだったので、みんなどんな表情をするのか私の方が興奮します。そんなことで私もいつも以上に興奮して、「くるぞくるぞ、…キターーー(^O^)ーー!」っておバカに叫んでしまった…
またまた全員「おお〜」
特にみんながグッときたのは中尊である国宝「千手観音坐像」でした。
巨大で煌びやかでなおかつスッキリしたお顔で気になったみたい。
「あれって木で出来ているんですか?ブロンズか何かで型に流し込んで造られているかと思いました」ってA君。
「そうだよ、木を彫りだして造っているんだよ、しかも82歳の作者(湛慶さん)が鑿を振るって手間暇かけて造ったんだよ」って説明で全員「おお〜」って溜息。みんな仏像の奥深さ&凄さが解ってきたみたいです。
そして私の大好きな二十八部衆の一人、婆藪仙人(ばすせんにん)の前で説明。後ろのほうで「ウンウン」と聞いている他の観光客たちの輝いた目が印象的でした。
「しかしこれだけの数もいたら、奥の千手さんはみんなに見てもらえないので可哀そうかも。席替えをたまにしないといけないかもね」の私の独り言に全員が「席替えさせるだけで大変ですね」って笑いが…

そして堂内の裏に回る。有名な「通し矢」のこれまでの記録が掲げられた江戸時代の絵馬が展示されていました。見ると記録を塗り替えたのは18歳や11歳(!)の少年ばかり。一昼夜矢を射続けて8,000本以上の矢を通すことに成功。全員またまた興奮。
しかし三十三間堂、興奮ネタが尽きませんね〜


「ロクハラ 行っちゃう?」

次に向かうは清水寺。キツイ日差しの中歩いて向かう途中に突然A君が「六波羅密寺に行きたい」と言い出しました。彼はみうらじゅんの「見仏記」を読んでいて、口から仏を吐き出す「空也像」に是非会いたいと以前から言っていました。
私も「じゃあ、ロクハラ行く?」って言葉にA君「ロクハラ行きましょう!!」
他のメンバーは「ロクハラって何??」
三十三間堂から清水・六波羅密寺はほぼ同じ方角にあり、チョイ寄り道ついでに寄ってみることに決定。途中に出会った地元のオジサンに道を聞いて向かいます。
六波羅密寺に着いて早々に宝物館に突入。いよいよA君はお気に入りの「空也上人像」、私には前回恐怖を覚えた「運慶坐像」との対面です。
恐る恐る入口の扉を開けます。


「目が動く」運慶坐像にまたまた恐怖

いつものように入ってまず視界に入る「空也」さん。
「意外に小さいんですね〜」ってA君。
「ほんとうにちっちゃい人だったかもね」って答える私。
「なに言ってんの?」って呆れる他のメンバー。
「空也像って歴史の教科書に写真載っていたでしょう?」の私に、20歳代&10歳代のメンバーは「知りませ〜ん」。30歳代のB君は「あ、載っていましたよ確かに」って。逆に平清盛像は若いメンバーの教科書に載っていて、30代以上の教科書に載っていない。変なところでチョイ時代を感じました。
そして運慶さんとの対面です。前回の恐怖体験を伝えると今度はB君が運慶と見つめ合います。私は他のメンバーとその他の仏像を見て回ります。
女性のC子&D子さんが面白がったのは、閻魔大王の脇侍である「脱衣婆」。地獄で罪人が、裁判で閻魔さんの前に引きずり出される時に罪人の服を脱がせる恐いお方。上半身裸で恐い表情の「鬼婆」的なお婆さんですが、何かユーモラス。
そうしているうちにB君が「面白いことを発見しました。この運慶さんって左右に動いて見ると、目もこっちの後を追っていて、どこから見ても視線が合いますよ」って。何と!?私も試してみます。運慶さんを暫く見つめて「ツボ」に入った時に目を合わせながら左右に移動してみると、運慶さんの黒眼も動いてこっちを追っているように見えてくる。恐怖!私は素早く運慶さんから視線を外して再び他の仏像を見に行きます。やはりこの像には何かが潜んでいるみたいです…恐れをなして私は早々に宝物館を出ます。
本堂に入って、お土産を物色するA君。まだ若い彼が選んだお土産は、空也さんが6体の阿弥陀仏を吐き出して念仏を唱えているイラストが描かれた手ぬぐい。シブイ!

六波羅密寺を出て、すぐ北にある「幽霊子育て飴本舗」で以前から気になっていた「幽霊子育て飴」を買う。試食の飴を全員で舐めながら清水寺へ向かいます。


清水寺でにて

途中見つけた蕎麦屋さんで昼食をとってから、清水寺に向かいます。
清水寺へ続く坂道でA君が「なんか清水寺ってアジア系の外人さんが多いっすね、逆に東寺は白人系の観光客が多いですね。何故だろう?」私は「さあ〜、奈良だって東大寺はアジア系、法隆寺は白人系だったし…やはりそれぞれの国での日本の観光ガイドにそのお寺が載っているか載っていないかの違いだけじゃないかな…?」なんて言いながら清水寺に到着。

まずは「随求堂(ずいくどう)胎内めぐり」。
もちろんお寺などで胎内めぐりなんて初めてのメンバーたちに説明。ある程度中の様子を説明しましたが、やはり入ってみると全員興奮。キャーキャー言いながら地上に出てきました。
そして本堂に到着。「清水の舞台」から写真をバシバシ撮りまくっていました。
しかし観光客の多いこと。私は普段、平日に休みをとって見仏クラブのメンバーと来ているので、この混み具合には正直疲れます。他のメンバーが舞台にいる間、私は一人本堂の中で鐘を叩いて、般若心経を唱えてお参りを済ませる。
すると女性の二人が「ちょっと向こうに行きたいのですが…」と、その向こうには「地主神社」、縁結びの神様で有名です。若い女性らしいですね〜
男性の我々3人は先に奥の院に行って、待つことに。その時B君が「ここにも仏像沢山ありますね〜」と。奥の院にも本殿同様、二十八部衆が本尊を守っている。三十三間堂の二十八部衆をそのまま「SDガンダム」チックに小さくしたかのようなカワイイ造形に暫く見惚れていました。
そして全員揃ってからそろそろ帰ることにします。
帰りの参道で、女性たちはお土産屋さんに入り浸っている間、男性たちは見つけたベンチで一休み。そのまま眠ってしまいました…

参道の坂道を降りてからタクシーを捕まえて京都駅南口にある駐車場まで。そこから運転して姫路に帰ります。


満足のツアーでした〜

帰りの車の中で急に話し声が無くなったと思って、ルームミラーを見るとみんな寝ていました。集合が朝早かったので仕方ないか…
私は眠るわけには行かないので途中に何回もサービスエリアに寄って缶コーヒーを飲んだり、B君の持っていた「フリスク」を舐めたりして睡魔と闘いながら姫路までひた走りました。

「また機会があれば行きましょう」と集合場所で別れました。
今回のツアーで仏像の奥深さが少しでも分かってくれたと思うし、それだけでもヨカッタかな、と思う実りのあるツアーでした。

その日は満足と、疲れ(子供達にお土産の飴を殆ど食べられたショックも)ですぐ寝てしまいました〜

お寺に行くたびに「クリアファイル」を思わず買ってしまう私、三十三間堂でも買っちゃいました。
丸めて見仏バッグに入れたので前回の阿修羅と同様に折り目がついた(涙)。

本日の弘法大師のお言葉。
『悪を断ずるが故に苦を離れ、善を修する故に楽を得』

おなじみの巨大な東寺金堂。
青空が気持ちいい。

長〜い三十三間堂(全長約120m)。

遂にゲットした「幽霊子育て飴」。
あっさりした味がイイ!しかし持って帰ったら子供やカミサン達に殆ど食べられてしまった…写真撮ろうと思ったけど先に包みを開けられてしまった…

六波羅密寺でいつものように私たちを出迎えてくれる「十一面観音」と「一願石」。

清水寺への坂道で見つけたお土産屋。寂れた看板が気になって写真撮りました。イイ寂れ具合です。

本堂内にある「ふれ愛観音」。親子が触りまくっていました。

とことん触りまくっている親子。
なんか観音さまに、相撲で言う「ツッパリ」や「喉輪」をしているかのよう。なんか観音さん、災難ですね〜

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「これぞ京都」と言える風景、清水の舞台を奥の院から見てホットする。しかし土曜日だったので、観光客の多さに正直疲れました。




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