08年4月12日  誰もいない山寺でただ桜を見ていた  
(姫路市 増位山 随願寺 )

誰もいない随願寺にて。
本堂からこの桜をじ〜っと見ていました…
時々そよ風が吹くと、サラサラ花びらが散るのを見ていると飽きません。時間を忘れる素敵な空間でした。

久々のお寺巡りです。

昨年12月の見仏ツアー以降から忙しくて、中々お寺に行くことができず、悶々とした日々を過ごしていました。
出かけ先で見た看板「随願寺→」。
随願寺は姫路平野の北に位置する増位山に構える姫路市内で最も古い古刹の一つ。聖徳太子の勅願により、高羅僧の恵便(えべん)が開山し、行基が中興したお寺。戦国時代に焼かれたが、江戸時代に代々の姫路城城主の熱い信仰で再建・整備されてきました。
国の重要文化財である「毘沙門天立像」や県の指定文化財の「薬師如来坐像」などがあり、以前から気になっていましたが、恥かしながら未だに行ったことがありませんでした。
用事を済まして一旦家に帰ってから、デジカメを車に積んで再び北に向かって走り出します。


やはり誰もいませんでした。

姫路平野の北に位置する増位山をドンドン登って行きます。時々山肌に咲いている桜の花が美しい。
駐車所に到着、この当たりは隣の広峰山の山頂上にある「広峰神社」からキャンプ場に続くハイキングコースになっていて、ハイカー達の駐車場にもなっており私以外にも十台ほどが停めてありました。
駐車場から昨日の雨でちょっとぬかるんだ山道をしばらく歩いて「開山堂」に到着。やはり誰もいません。
正面三間、側面三間の正方形の、播磨地方のお寺の開山堂によく見られる「方三間」形式のお堂です。こじんまりしたお堂ですが安定感があり、見ていて飽きません。
更に進んで姫路城城主であった、榊原忠次の墓所を見る。中央には巨大な碑があって、忠次の功績を碑に彫られた3,000文字に表わしているという。そしてその文字全てを間違わずに読むと、碑石のカメが動くという伝説もあるそうです。是非その碑の文字を見たかったけど、墓所の入口の朱色の鮮やかな門の扉が固く閉められていて、中をうかがい知ることは出来ません。
暫く先に進んでいくと、どっしりとした造りの本堂が現れる。もちろん扉は固く閉じられていて、中を見ることはできません。本堂横には最近造られたと思う、コンクリート作りの事務所があって、玄関から中を覗いてみますがやはり中には人の気配はありません。
そのまま一人境内をぶらぶらします。
本堂南には見たかった「毘沙門天立像」が安置されている「毘沙門堂」がありますが、もちろん扉は閉められている。
毘沙門堂横にある境内の案内板に載っていたこの像の写真を見て、逢いたかったと悔やむ私。

と、ふと振り返ってみると、すぐそばを一人のハイカー(60歳くらいのおじさんでした)がこちらに向かって歩いてくることに気付く。広い境内で誰もいないと思っていた所なので、驚いて思わず「ウッ!」って言葉にならない叫びを発しますが、ハイカーは何事もないかのように私のそばを通り過ぎていく…


本堂前の桜に見惚れる

再び本堂に上がって回廊から外を見る。
本堂前には、立派な枝ぶりの一本の桜の木があり、それを暫く見ていました。
風が吹く度に桜の花びらが散っていく…
時間だけが静かに流れていく…。

人に集まる有名な大寺院で仏像を見るのもいいけど、仏像は見れないが山奥の静かな誰もいないようなお寺で一人のんびり時間を忘れて佇む、これもまた格別。
また来年の桜に季節に来よう、私の「隠し部屋」的なお寺がまた一つ増えました。

帰りの車の中で見た姫路平野の風景。
下りの山道で目の前に広がる城下町、そして姫路城。あの毘沙門天は昔から優しい眼差しで姫路の地を守ってきたのか…そう思うと開帳時期を調べて、今度こそお会いしなければと思いながら帰路に就く私でした。

是非会いたかった重要文化財の「毘沙門天立像」。
毘沙門天の中では珍しく優しい表情が印象的です。
境内にあった案内板の写真から。

「開山堂」。小さいけど安定感ある造りに存在感バリバリです。

榊原忠次の墓所。

「毘沙門堂」。この中に私が会いたかったお方が…。

立派な枝ぶりに暫く見惚れていた桜。来年も来よう。

本堂の垂木(たるき)に飾り彫りの麒麟(きりん)が。前足がカワイイです。

麒麟の眼先には垂木に取り付けられた防犯カメラが…
お互い睨みあっているようで面白い。

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